2014年3月28日金曜日

97/100『厄除け詩集』井伏鱒二


読破!!
厄除け詩集』井伏鱒二(作家)
発行:1994年4月 講談社文芸文庫
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:168ペー


【本のテーマ】(裏表紙より抜粋)
そこはかとなきおかしみに憂愁を秘めた「なだれ」「つくだ煮の小魚」「歳末閑居」「寒夜母を思う」等の初期詩編。”ハナニアラシノタトヘモアルゾ「サヨナラ」ダケガ人生ダ”の名訳で知られる「勧酒」、「復愁」「静夜思」「田家春望」等闊達自由、有情に充ちた漢訳詩。深遠な詩魂溢れる「黒い蝶」「蟻地獄(コンコンの唄)」等、魅了してやまぬ井伏鱒二の詩精神。四部構成の初の文庫版『厄除け詩集』。


【目次】
厄除け詩集
訳詩
雨滴調
拾遺抄
人と作品 河盛好蔵
こんこん出やれ――井伏鱒二の詩について
年譜
著書目録

【概要】
割愛

【感想】
 故・やなせたかしさんが好きな詩人として紹介されていたので読んでみました。
僕的にも「勧酒」がすごく好きで、他の詩も読んでみました。
詩を読むことはあまりないので、読み方がまだよくわからないのですが、
それぞれの詩は、読むとなんとなく情景が浮かんでくるので、
なんだか美術作品を見ているような、そんな気持ちになりました。
見返してみると、タイトルを見るだけで、その詩の内容のイメージが思い出されて、
これが「詩の醍醐味」なのかなぁ。とか思いました。
そして、日本語のリズムが「五七五」みたいな感じで、読んでいてリズム感のある詩が多いと感じました。
訳詩も、中国語の方を見ながら訳詩を見ると、ひねってあったり、日本の地名が当てられていたり、かなり「意訳」をしているのが、味があっていいあなぁ。と思いました。

その中でも、特に気に入ったのが、「冬」という詩です。
そこでは、詩を書くことは、「風邪をひかないおまじない」と述べられており、

書いては消し書いては消し 消したきりでもいいだらう
屑籠に棄ててもいいだらう どうせ棄てるもおまじなひだ

と書かれているのが、なんだか共感できて心に響きました。
感情とか、思い浮かんだことを日記に書いたり、詩にしたり、何らかの形で表現することは、
心の健康にとっていいことだと思います。
たとえ誰の目に触れることが無くても、自分のために、
「風邪をひかないおまじない」として、表現をする。
そんな井伏さんの表現者としての姿勢に共感できました。
あと、井伏さんの詩は、「別れ」や「郷愁」をテーマにしたものが多く、
ノスタルジックな雰囲気があるのがいいなぁ。と思いました。

と、いろいろ書きましたが、最後の方に詩の解説が乗っていて、そこからいろいろ言葉を借りました。読んでいる時は感じるだけでしたが、解説を読むと、「あー、確かに!」と思いました。
井伏さんの良さが分かった上で、また時間をあけて読んでみたいです。

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