2016年2月29日月曜日

149/200『世界は終わらない』益田ミリ(イラストレーター)


読破っ!!
『世界は終わらない』益田ミリ(イラストレーター)
発行:2015年8月 幻冬舎文庫

難易度:★☆☆☆☆
共感度:★☆☆
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:191ページ



【本のテーマ】(裏表紙より抜粋)
書店員の土田新二・32歳は、後輩から「出世したところで、給料変わんないッスよ」と
ツッコまれながらも、今日もコツコツ働く
どうやったら絵本コーナーが充実するかな?無人島に持っていく一冊って?
1Kの自宅と職場を満員電車で行き来しながら、仕事、結婚、将来、
一階きりの人生の幸せについて考えを巡らせる。ベストセラー四コマ漫画。

【目次】
なし

【感想】
文庫本の四コマ。
四コマと言いながらも、本一冊が連続したストーリーになっている。
また、主人公視点だけでなく、様々な人の視点に切り替わりながら物語が進んでいく。
そして、基本的に登場人物はなんとなく、「孤独」を背負っている。
物語を全体通してもどこか「鬱鬱」とした、重い、というより、
滞った、閉塞的な「どうしようもないや」というイメージが漂っている。

しかし、そんな中でも、人と人との交流を通して、心が温かくなる瞬間を描いたり、
昔の思い出や、昔読んだ「本」にまつわるエピソードを思い出し、再び感銘を受けたり、
その頃の気持ちを思い出したり、その頃とは違った想いを抱いたり。
日常の中にありそうな心の動きを描いている本だと思いました。
ただ、節々に非日常的なエピソードや話題を放り込んでくるので、
その辺はフィクションだなぁ。と感じさせられましたが、
言葉にするか、しないかは別として、
人は普段こんなこと考えていたりするのかなぁ。と思わせられる本でした。
他人の頭の中を覗けたような気分になって、
その孤独さに寂しくなったり、素朴さにほっこりしたり。
地味だけど、共感できる。そんな一冊でした。
物語の中に出てくる本や作品も、見ていたいと思いました。

148/200『嫌われる勇気』岸見一郎(哲学者)・古賀史健(フリーライター)


読破っ!!
『嫌われる勇気』岸見一郎(哲学者)・古賀史健(フリーライター)
発行:2015年3月 ダイアモンド社

難易度:★☆☆☆
共感度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:294ページ


【本のテーマ】(表紙裏帯より抜粋)
フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称され、世界的名著『人を動かす』の著者・
D.カーネギーなど自己啓発のメンターたちに多大な影響を与えたアルフレッド・アドラーの思想を
1冊に凝縮!!悩みを消し去り、幸福に生きるための具体的な「処方箋」が、
この本にはすべて書かれている。

【目次】
第一夜 トラウマを否定せよ
第二夜 全ての悩みは対人関係
第三夜 他者の課題を切り捨てる
第四夜 世界の中心はどこにあるか
第五夜 「いま、ここ」を真剣に生きる

【感想】
対話形式で進められていたため、読みやすかった。
「トラウマの否定」「原因論ではなく目的論」「課題の分離」など、
人間関係のしがらみの中を生きていくうえで大事な考え方が書かれていた。

気になった点としては一点。この本のタイトルについて。
「嫌われる勇気」というタイトルは、誤解を生むと感じた。
アドラー心理学の中で述べられているのは、
「あえて嫌われるような人間になれ」というような主張ではなく、
「他者から理解されなくても気にするな」、「自分と他人を切り離して考えろ」
という自他分離の考えが根底にあると考え、そこに「感情論」はありません。
人が持つ承認欲求と、自己実現の過程を他者に認めてもらえない、
という相反する感情をどうコントロールしていくか、
その考え方を示してくれる哲学だと考えます。
タイトルは「他者に理解してもらえない状態」を「嫌われる」という感情論に直結させてしまっている
と感じ、それはアドラー心理学的な発想ではないと考えました。
もちろん、売れるため、印象に残すためにこのタイトルをあえて付けたのだろうと思うし、
思惑通り、ヒットしたのかもしれないけれど、
タイトルだけで勘違いする人が増えないことを願います。

アドラー心理学が広めたかったのは、「嫌い合い、憎み合う」社会なんかではなくて、
他者と自分を切り離すことができる人が増えることによって、
他者のことを「完全に理解・共感はできないけど、承認」することができる社会となり、
自他の課題を分離できる人は結果としては人を「嫌う」ことも少なくなります。
つまり、極端に言えば「嫌われる勇気」を持つことができる人は、「他人を嫌う」ことがありません。
その後半の部分が大事なはずなのに、タイトルは前半だけ。

タイトルのイメージが独り歩きしてしまいそうだと思いました。
という自分も、読んでからしばらくたってちょっと内容の記憶が曖昧なので、
あまり多く語らないようにしておきます。
また読み返したいと思える本でした。

147/200『本音で生きる』堀江貴文(実業家)


読破っ!!
『本音で生きる』堀江貴文(実業家)
発行:2015年12月 SB新書

難易度:★☆☆☆
共感度:★☆☆
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:191ページ



【本のテーマ】
本音を言わず、いいことがあるのか?
「後でなにか言われそうだから、言わない」「失敗が嫌だからやらない」・・・・・・。
しがらみも多い日常の中で、本音を言わずに、本心を殺して過ごしてしまうことも多い。
しかし、自分に言い訳ばかりしていて、後悔はしないだろうか?
世間の声に惑わされず、常に本心を伝え、本音で生きてきた著者。
本書では、本当に後悔しない人生を送るために必要なことを伝授する。

【目次】
序章 なぜ、本音で生きられないのか
1章 言い訳をやめる
2章 バランスをとるな!
3章 本音を生きられない理由は「自意識」と「プライド」である
4章 すべてを最適化せよ
5章 本音で生きるために必要なこと


【感想】

仕事場で理想的なのは、「セミドライ」な関係という発想には共感できた。
仕事のことに関しては熱心に話し合うが、互いに寄りかからない関係が良い。
「若者の聖書」とも言われる「ワンピース」の中の仲間関係をバッサリ辛辣に批判していた。
しかし、正論であると思うので、読んでいてすっきりした。
また、互いに分かり合うことができると信じるのも問題であり、
「分かり合えないこと」を「分かり合う」(=agree to dissagree)ことが大事であると述べ、
日本人はそれが苦手だから、空気を読んだり、他人に合わせて
本音を伝えられない。と述べていた。

読むだけで、合理的なホリエモンの人間性が感じられた。
だけど、ただ一点、自分の得意分野以外を他人に任せよ。という話については考えさせられた。
もちろん、最適化を考えればそれが一番いいけれど、
みんながみんなホリエモンのような思考で生きると、
「面倒くさい仕事」が「誰か」の身の上に一気に降りかかってしまうようになる。
資本主義・競争主義社会の根本的な問題とも考えられるが、
能力主義・自己責任主義的であり、貧富の差を助長する考え方かもしれないと感じた。
皆が皆ホリエモンみたいに頭良い(もちろんそのための努力をたくさんされたのも分かりますが)
わけではなく、また、もし皆が皆ホリエモンみたいな考え方になったら、
社会はよりギスギスした、他人を蹴落としてでものし上がってやる!的な
そんな世界になってしまうのではないかなぁ。と考えました。

一番良い学び方として、「情報をたくさん浴びる」と述べていたのは、
とても良いと感じた。暗記してもそれを役立てられなかったら意味がないし、
たくさんの量の情報に接することで、感覚を養っていくことこそが学びであると思う。

2016年1月4日月曜日

146/200『窓際のトットちゃん』黒柳徹子(タレント)

読破っ!!
『窓際のトットちゃん』黒柳徹子(タレント)
発行:1984年4月 講談社文庫

難易度:★☆☆☆
共感度:★☆☆
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:322ページ


【本のテーマ】(amazonより抜粋)
「きみは、ほんとうは、いい子なんだよ!」。
小林宗作先生は、トットちゃんを見かけると、いつもそういつた。
「そうです。私は、いい子です!」 そのたびにトットちゃんは、ニッコリして、とびはねながら答えた。――トモエ学園のユニークな教育とそこに学ぶ子供たちをいきいきと描いた感動の名作。

【目次】
割愛

【感想】

小学校の頃読んだ本を再読。
所々記憶に残っていて、小さい子供でも理解でき、心に残る良い本だと
改めて感じさせられました。
文章の書き方は、読点が多く、話しかけるような文章だと感じました。

トモエ学園の自由な校風の中で過ごす自由奔放なトットちゃんのエピソードは、
時にはハラハラさせられたり、時にはワクワクさせられたり、
トットちゃんが一生懸命に生きる姿に読んでいてほっこりしました。

身体が不自由な友達を木に登らせてあげようとトットちゃんが奮闘するシーンや、
愛犬のロッキーとの友情のエピソード、(遊びが過ぎてロッキーに耳を噛みちぎられかける。。。)
トモエ学園のプールは水着も着ない素っ裸で泳ぐというエピソードや、
トモエ学園の教室は、使わなくなった電車を運び込んで使っていて、
新しく教室となる電車が運ばれてくる夜には、その様子を子供達に見せてあげたり。
あとは、農家のおじさんを「先生」として、畑づくりについて教えてもらったり。
体育館の床一杯をつかってみんなで「落書き」をしたり。
あとは授業は自分が好きな科目から好きに取り組んでいい。とか。

そんな自由なエピソードがいっぱいで、子供ながらに、
「うわぁ!楽しそうだなぁ」って読みながらワクワクしたのを思い出しました。

二回目として読み直すと、このトモエ学園が、フリースクールや塾という扱いではなく、
ちゃんと国から認められた教育機関であったことや、
戦争時代のお話でありながらも、今の子供達がよんでもワクワクできる
魅力を持っている事がすごいなぁ。と思いました。

今回文庫本ということで、後書きに黒柳徹子さんが出てきて、
この本の読者の反響について述べられていていました。
教師をされている方が、この本を読んで励まされていたり、
道徳の教科書に一部のお話が掲載されていたり。
自分も読んで感じたことは、他の人も感じているんだなぁ。
と共感できていることに感動しました。

後書きが本編の裏話として読むことができ、
二度楽しめました。