『ニコニコ動画が未来を作る』 佐々木俊尚(ジャーナリスト)
発行:2009年10月 アスキー新書
難易度:★★★★☆
資料収集度:★★★★☆
理解度:★★☆☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:302ページ
【本のテーマ】(表紙裏より抜粋)
いまネット界でもっとも注目されるサービス「ニコニコ動画」。それは、廃人と奇人と天才によって生み出された。オンラインゲームでマニアをうならせ、ケータイ着メロで一世を風靡し、ニコニコ動画で新しい文化を想像しつつある会社・ドワンゴは、いかに生まれ、育ってきたか?才能たちが織りなすビジネス群像劇。
いまネット界でもっとも注目されるサービス「ニコニコ動画」。それは、廃人と奇人と天才によって生み出された。オンラインゲームでマニアをうならせ、ケータイ着メロで一世を風靡し、ニコニコ動画で新しい文化を想像しつつある会社・ドワンゴは、いかに生まれ、育ってきたか?才能たちが織りなすビジネス群像劇。
【目次】
プロローグ
第一章 Bio_100%の強者たち
第二章 ドワンゴ創世
第三章 デスマーチの日々
第四章 ケータイの世界へ
第五章 同期と非同期の狭間に
第六章 ニコニコ動画が作り出す未来
エピローグ
あどがき
【概要】
第一章 Bio_100%の強者たち
パソコンが登場し始めた時代。インターネットもまだナローバンドの時代に、そこに可能性を見出した若者が、BBSを作り出し、プログラミング・キャラクターデザイン・音楽などそれぞれの得意分野を融合して作品を作り出していた。そんな中でも、際立って最先端のゲームを作っていた集団が「Bio_100%」であり、彼らのつくるフリーゲームは、無料で質が高く、一部では高く評価されていた。
第二章 ドワンゴ創世
その技術を買われてマイクロソフト社に転職した森氏は、川上氏と出会う。海外のゲームを日本ンパッケージ化作業、質の良いモデムを安く仕入れるなどの仕事を経て、ソフトウェアジャパンという会社の倒産をきっかけに仕事が存続できなくなり、やむを得ず起業したのが「ドワンゴジャパン」であった。
第三章 デスマーチの日々
ドワンゴとして、仕事を請け負うようになった頃、川上氏は「廃人軍団」と言われるゲーマー集団と仲良くなり、会社に引っ張ってきた。そしてプログラミングの技術もまだ不十分な彼らにどんどん仕事を任せていった。「SEGA RALLY2」というセガのゲーム開発など、大口の仕事を彼らは会社に段ボールをしいて住み込んでやるようになり、まさに「デスマーチ(死の行進)」的な過酷な働き方をしていた。同時に彼らは成長とやりがいを感じていた。途中からはかつての「Bio_100%」のサイトで「弟子」を募集して働かせる、ということも行った。しかし、開発が佳境になったころ、仲間の一人が交通事故で無くなった衝撃から「廃人軍団」のリーダーであった佐藤がプロジェクト終了後、仕事を投げ出してしまう。彼は結局仕事をやめ、今はフリーライターとして活躍している。
第四章 ケータイの世界へ
当時、世間ではiモードが出回っていたころであり、ドワンゴはそこに可能性を感じ、携帯ゲームの開発に取り組んでいた。ドコモにその案を採用してもらえ、「釣りバカ気分」、「海運ジェネレーション」「サムライロマネスク」など、ゲームを開発し、ヒットさせた。その後、ある社員の率直な提案から「着メロ」に着目し、音大生との繋がりを利用し、また、後発組でありながら、豊富な音数と、質の高さから、「いろメロミックス」は他社を抜いて使用されるようになった。さらに、「着ボイス」の発想を生み出し、芸能人の世界に繋がりを求め、その結果Gacktに協力してもらい、話題性とともに会員数を増やすことに成功した。さらには「着ラップ」というものも生み出し、日本に青山テルマなどのヒップホップを広める一役を担った。しかし、成功は長くは続かず、「着うた」がレコチョクの独占状態で登場すると売り上げが下がり始めた。
第五章 同期と非同期の狭間に
着メロ事業が長くはないと考えた川上はあらたに動画コンテンツに目を向ける。当時Youtubeが人気であったが、「同期」「非同期」という観点から捉え、youtubeでは「非同期」的なコミュニケーションの場であると考え、より「同期的」なコミュニケーションを、と考え、2ちゃんねるの「実況版」と動画コンテンツを融合させる構想を生み出す。そのさいにはかつてからつながりのあった2ちゃんねる創始者のひろゆき氏の協力を得、ついに「ニコニコ動画」を生み出す。
第六章 ニコニコ動画が作り出す未来
始めのうちはYoutubeから動画を引っ張ってきていたが、そのうちYoutube運営側に気付かれ、遮断されてしまった。しかし、すぐに動画共有サイトを利用して、ニコニコ動画のサービスを継続した。ニコニコ動画内でクリエイターが登場し、彼らが作った作品をさらにアレンジし、動画をつけ、そこでは、より同期的なコミュニケーションが生まれている。
【感想】
ガチのドキュメンタリーだった!!!佐々木さんすごいよ。半年間も取材して30人以上の人にインタビューをして書き上げたそうです。パソコンが普及し始めた時代から、ゲーム、ケータイゲーム、着メロ、着ボイス、そしてニコニコ動画へ。コンテンツ産業の最先端を垣間見ることができました。内容も本格的で専門用語が多くて、分からないところもありましたが、プログラマーすごいなぁ。と思いましたし、「ゲーム」と一言でいうと、遊びだろ、って思われがちですが、今できる技術で様々な可能性を追求するためのゲームであるならば、それは実生活に応用させる前段階の「テスト」的な意味があると思います。そういう意味でのゲームは今後もどんどんチャレンジングに登場していってほしいな。と思います。利用者からいかにお金をふんだくるか、という目的のゲームよりも。。。
そして、いわゆる「ベンチャー企業」が不安定だと言われる理由を垣間見ることができました。時代時代によって、何が最先端であるか、というものが変わり、流行も変わり、そんな中で、一昔前の栄光にしがみついていたら、どんどんおいていかれる世界であり、常に新しいものを追求しないといけないのだ、ということがよくわかる本でした。もちろん、ベンチャー以外でもその精神はある程度必要だとも思います。
要所要所に気になるゲームやコンテンツが出てきて、その度にスマホで調べて見てたら時間がかかってしまいました( ;∀;)
何気なく使っていたものの裏には、こんな風にたくさんの人の苦労があるんだ。と実感させられる本でした。
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