『あなたの生き方を変える』 金井嘉宏(神戸大学大学院経営学研究科教授、インタビュアー)
発行:2002年3月 学生社
難易度:★★☆☆☆
資料収集度:★★★☆☆
理解度:★★☆☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:ページ
【本のテーマ】
安藤忠雄氏や、河合隼雄氏等、各業界の前線で活躍する著名人と、インタビューアー金井嘉宏氏との対談。
安藤忠雄氏や、河合隼雄氏等、各業界の前線で活躍する著名人と、インタビューアー金井嘉宏氏との対談。
【目次】
はじめに
第一章 李御寧(韓国初代文化相)
第二章 安藤忠雄(建築家)
第三章 河合隼雄(文化庁長官・臨床心理学者)
第四章 福原義春(株式会社資生堂名誉会長)
第五章 葛西健藏(アップリカ葛西株式会社代表取締役会長)
第六章 グレン・S・フクシマ(日本ケイデンス・デザイン・システムズ社社長)
第七章 松永真理(元NTTドコモゲートウェイビジネス部企画室長)
第八章 杉本八郎(エーザイ株式会社創業第一研究所所長)
第九章 中谷彰宏(作家)
第十章 山田脩二(瓦師)
あとがき
【概要】
第一章 李御寧(韓国初代文化相)
日本と韓国、そして西洋との文化比較について述べていました。アジア文化には「理」と「気」の考え方が存在し、日本は特に「気」を重視する文化である。日本は自然に手を加え人工的な物を作るが、韓国は自然派であり、「融合」させるのが得意である。「融合」は「正反合」とは少し違い、対立する関係ではなく、じゃんけんの「ぐーちょきぱー」の用にそれぞれが独立し循環している。
これからの社会ではこの「融合」により生み出される「中間文化」の存在が不可欠である。
また、教育に関しても、「education」と「entertainment」を融合した「edutainment」の概念が重要視される。
第二章 安藤忠雄(建築家)
安藤忠雄氏の生い立ち、そしてこれからの日本の問題点・懸念点について述べていました。
幼少時代から独立した教育を受け、独学で建築を学び仕事にした、との経歴が語られていました。
日本人は「発言」をあまりしない、女性の社会進出について国がもっとサポートをすべきであること、怒ることの大切さなどについて述べ、大阪人として、優秀な大阪人が東京に流出してしまっていることが心配だと言っていました。
第三章 河合隼雄(文化庁長官・臨床心理学者)
始めは数学者としてスタートし、心理学の道に進んだこと、チューリッヒのユング研究所で教授と対立したことについて述べていました。「自己実現」をテーマに研究する中で、人は、中年を超えるころから自己実現という「競争のない世界」に戸惑いやすいと述べていた。また、「論理的に矛盾するものが存在の中で両立するということが、その人が生きていることだ」と述べていた。他にも、Individualityという訳語を「個人」とするが、日本人にとっての個人は「eachness」の方が近く、欧米のindividualityは、神を絶対唯一の支えとした、他者と繋がりのない個人であるのに対し、日本人はなかなか完全につながりを断った個人というのは存在しにくく、それを「日本人病」と呼んでいた。
第四章 福原義春(株式会社資生堂名誉会長)
「クモの巣上の主」として、様々な趣味を持ち、それぞれに一流の師を持っている。その秘訣として、自分をしっかり持っていると階級にとらわれずに誰とでも話せる。と述べていた。また、リーダーシップ理論を語るときには、リーダーシップを実践できても論理を説明できない人、というのが存在していることも理解し、最終的には「部下がついていきたくなる人」こそがリーダーシップがある人である。と述べていた。男女参画基本法の作成の際には、経済界からは日経新聞の社員と共に資生堂の社長として参加していた。第五章 葛西健藏(アップリカ葛西株式会社代表取締役会長)
幼児を相手にした産業であり、「子どものために祈りなさい」と機会があるたびに言っている。祈りは死んだ人のためだけではなく、子供は自分たちの生きる未来よりも先の未来を生きる存在であり、現在・過去・未来の仏心である。と述べていた。不況に陥っても、社員をリストラせず、社員のために社長は死ねる、という言葉を掲げて「幸せ育児産業」を完成させようとしている。
第六章 グレン・S・フクシマ(日本ケイデンス・デザイン・システムズ社社長)
日系アメリカ人として思う、日本とアメリカの会社の違いについて、日本の方は「天下り」があるのに対し、アメリカでは「民」の立場が高く、逆に「天上り」という現象も起こっている。その意味では日本の方が「官」から「民」へ一方向的であると述べていた。これからよりグローバル化する社会では、専門知識と語学のどちらか(できればどちらも)を身に着けるのがよいと述べていた。
第七章 松永真理(元NTTドコモゲートウェイビジネス部企画室長)
リクルートで働いた20年間の話、そしてそこで見つけた、「編集力」と「ヒューマンリソース」の掛け合わせという自分の強さについて語られていました。また、NTTドコモに転職した際には、技術者が多い中で、「消費者」目線から意見を述べ、価格設定などに大きな効果を発揮した。短期的には採算が合わなくても長期的に採算が取れる、という「効果性」について述べていた。
第八章 杉本八郎(エーザイ株式会社創業第一研究所所長)
新薬の開発に関わる杉本さん。苦労して自分たち兄弟を育ててくれた母親が痴ほう症になったことが、野心や信念に繋がっている。と述べていた。また、「クマンバチの羽」のたとえ話で、物理的にはクマンバチは飛べないけれども、クマンバチ自身が飛べると信じているから飛べる。という話を紹介していた。「ノミの曲芸」では、ノミの曲芸を仕込む時は、飛び出せない程度のガラスの器に入れ少しずつ天井の低いものにしていくと、飛んだら飛び出せるのに、飛ばなくなる。という話を紹介し、野心を持って、種の真理(良い種を蒔けばいい植物が得られる)を信じ、恩への感謝を忘れない気持ちが大切だと述べていた。
第九章 中谷彰宏(作家)
昔から創造的なことに興味を持ち、映画研究会をつくったり、短歌の会を立ち上げたりしていた。
映画監督になりたいがゆえに、月100本ペースで映画を見、四年間で4000本を見、自らアマチュアであるのに「映画監督」という肩書の名刺を作っていた。『面接の達人』という本を出版し、「メンタツブーム」を巻き起こした。今後は、日本国内だけに通用するものではなく、世界に通用するモノを作り出したい。と述べていた。
第十章 山田脩二(瓦師)
割愛。
【感想】
分けて読んでて、十章以外読み終えた!
色んな人の、キャリアについて書いてあった。「正反合」とは違う「融合」について、安藤忠雄さんの「独学力」、河合隼雄さんの「日本人はなかなか完全につながりを断った個人というのは存在しにくくい「日本人病」がある。という指摘、福原さんのリーダーシップとフォロワーシップについての話、祈りは死んだ人のためだけではない。という葛西さんの話、グレンさんのアメリカと日本の「官」と「民」の関係性の違い、松永さんの女性としてキャリアを積むという話、杉本さんの信念をもって仕事に取り組む姿勢と、「セレンディピティ」と、「クマンバチの羽」の話、中谷さんの「創造」を追い求める姿勢、「個別への配慮」という話、など、
様々な業界で活躍する人々の含蓄にとんだ話がちりばめられていました。
発行されたのが12年前ということもあり、実感が湧かなかったり、分からない話もあったけど、
気になってスマホで調べたりして、見聞を少し広めることができました。
最後の瓦師のお話も、いつか時間があれば読みたいです。
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