2015年7月28日火曜日

140/200 『エスパー・小林の「運」がつく人「霊」が憑く人』エスパー小林(霊能力者)


読破っ!!
『エスパー・小林の「運」がつく人「霊」が憑く人』エスパー小林(霊能力者)
発行:2015年4月 王様文庫

難易度:★☆☆☆
資料収集度:★☆☆☆
理解度:★☆☆☆
個人的評価:★★☆☆☆

ページ数:221ページ



【本のテーマ】(表紙帯より抜粋)
人生の「要所」でつまずかないために・・・
私は「見えない世界」の真実を視る力を使って、人生相談を受けたり、
将来展望のアドバイスをしている。
そこで感じるのは、ちょっとした行動、考え方、習慣で
「運」を大きくつかむ人もいれば、運を落とす人、さらには「霊」に憑かれてしまう人がいる、
ということだ。では、どうしたらいいか、
本書で余すところなく明かしていこう。

【目次】
第一章 あなたの「運気」の守り方
第二章 「低級霊」に憑かれる人 「高級霊」が味方する人
第三章 「運気の波」に乗れる人 乗れない人
第四章 最高の「縁」を手に入れる技術
第五章 運を呼び寄せる「パワー」アクション

【感想】
こんなにタイトルからして胡散臭い本を、初めて読んだ笑
こないだ実家に帰省した時に、母親が「これ面白かったで」といって渡してくれた。
母がなんでこんな本を読む気になったのかは謎だけど、
想像したよりも胡散臭くない内容やった。という感想が気になり読破。

その結果の感想は、、、やっぱり胡散臭い!!笑
けど、霊の話について書いているかと思いきや、
「どんな環境に自分を置くかが大事」だとか、人との「縁」を見極め、
悪い縁からはなるべく身を置くようにしろ。だとか、
そういう自己啓発書的な部分は、胡散臭くもなく、理解もできた。

ここからは個人的感想。。
「霊的なパワー」が存在しないことを証明できないから、
一概に「胡散臭い」と切り捨ててしまうのも良くないと思うし、
実際に「運が良い人」というのはいると思うけど、
それを自分から切り離した外部的要因に結び付けて、
「高級霊」や「守護神」がいる、という風に結論付けるのは、
どうも納得がいかない。(もしほんとにいたらごめんなさい笑)

外部的要因ではなく、内部的要因であるとすると、
どんな人が「運」が良くなるのか。それを端的に表した言葉が、
「Serendipity (セレンディピティ)」(日本語に訳すると「掘り出し上手」)だと思う。
「運」が良い人は、「チャンス」を掴むのがうまいんだと思うし、
「チャンス」を与えてもらうのもうまいんだと思う。
そして、「君子危うきに近寄らず」じゃないけど、悪運や悪縁から遠ざかるのもうまいと思う。
けど、そんな人を周りの人が見たら、「あの人は運がいい」という言葉で片付けてしまう。
つまり、外部へのアンテナをどれくらい張っているか、
チャレンジ精神がどれくらいあるか、(無謀であるか、とも言える)
結局はそういうハングリー精神とか、バイタリティとか、
内面的性格が「Serendipity」に繋がるんだと思う。
・・・とはいっても、やっぱりそういう本人の努力だけではどうにもならないこともあるから、
そこは「運」なのだとも思う。
(て、彼はおそらくその部分の「運」の話をしているのだろうけれども。)

そして、「運気」が上がる、下がるというのを、霊的なものと外的要因っぽく言うのも
やっぱり胡散臭い。
やはり、それも本人の捉え方次第で、プラシーボ効果じゃないけど、
「効果がある」と思うから効果が出るということがあり、
また、いわくつきの物件や過去に悲惨なことがあった場所で運気が下がるとか、
パワースポットで運気が上がる、というのも、
結局は本人がそこに何かが存在しているかのように感じ取る
そこで起こったこと昔のことを意識的・無意識に想像し、
「臨在感的に把握」することで、その場所に対する印象を抱き、
またそのイメージを膨らませ、その結果心身に少なからず影響が出てくる現象だ。
というのが科学的で、現実的だと思う。

話がそれるけど、この「臨在感的に把握する」という言葉は、
「空気の研究」をしていた山本七平氏が用いた言葉で、
僕はすごく気に入っている。
というのは、「空気が読めない」という言葉の「空気」というものは、
誰かがその「空気」を定義したわけでもないのに、
その場にいる人たちが多少の違いこそあれ、
似たような「場の流れ」や「集団の思惑」を「臨在感的に把握」し、共有しているから成り立つ。
それは、自分とは切り離して存在している概念ではなく、
あくまで、自己の中から曖昧な存在として生み出されたものであり、
しかし、それでいて確固とした存在感や影響力を持つものである。
ここで、「臨在感的」というのがポイントで、
この言葉があることで、実際の存在以上に存在感を感じている。という事実が際立つ。
(あえて何も存在していないのに、とは書かない。笑)

霊能力者といわれる人は、この「臨在感的把握」能力が高いのだと思う。
その場所の歴史的な意味や意義を感じ取りそれを「霊」だと言ったり、
また、過去の経験から、他人の細かい特徴やの類似性を読み取り、
新たに出会った人の性格や過去を、
さも「臨在感的」に存在しているかのように「把握」するのである。
それは外れてしまうとただの「思い込み」であるが、
当たると「過去の経験の積み重ねの中の、類似的データから導き出された統計学」となる。

結局、占いとは、そういう曖昧だけどどこか説得力のある統計学だと思う。

普段の生活の中で、
全く関係性のない二人が(例えば、地元の大学の先輩と、職場の先輩とか)
どこか似ていると思ってしまうことがある、
どちらか片方と接していると、もう片方の存在を思い出してしまう。
ということがある。それはきっと、その二人にどこかしらの類似点があり、
生活面や思考面においても何らかの共通点があるかのかもしれない。
そういった人のパターン分けや分類を深めていけば、
占い的なことができるのかもしれない。と考える。

何千、何万もの人の人生のサンプルデータを取り、集計し、分類し、
類似性を研究すれば、そのパターンごとに、それなりに役立つ人生訓ができるのかもしれない。
新しく出会った人をそのデータに基づいて分類し、
その人の人生に類似したデータを取り出してくることで、
その人の人生の決断に役立つアドバイスができるかもしれない。

近年流行りのビックデータを駆使した、統計学に基づいた最強の占い、
というものを作ってみて欲しいです。
そうすれば、少しは悩める人が減るんではないでしょうか。

2015年7月25日土曜日

139/200 『愛着障害~子ども時代を引きずる人々~』岡田尊司(精神科医・作家)


読破っ!!
『愛着障害』岡田尊司(精神科医・作家)
発行:2011年9月 光文社新書

難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:313ページ


【本のテーマ】(表紙帯より抜粋)
従来、愛着の問題は、子どもの問題、それも特殊で悲惨な家庭環境で育った子どもの問題として
扱われることが多かった。しかし、近年は、一般の子どもにも当てはまるだけでなく、
大人にも広く見られる問題だと考えられるようになっている。
しかも、今日、社会問題となっているさまざまな困難や障害に関わっていることが明らかとなってきたのである。
また昨今、発達障害ということが盛んに言われ、それが子どもだけでなく、
大人にも少なくないことが知られるようになっているが、この発達の問題の背景には、
実は、かなりの割合で愛着の問題が関係しているのである。
実際、愛着障害が、発達障害として診断されているケースも多い。

【目次】
第一章 愛着障害と愛着スタイル
第二章 愛着障害が生まれる要因と背景
第三章 愛着障害の特性と病理
第四章 愛着スタイルを見分ける
第五章 愛着スタイルと対人関係、仕事、愛情
 1.安定型愛着スタイル
 2.回避型愛着スタイル
 3.不安型愛着スタイル
 4.恐れ・回避型愛着スタイル
第六章 愛着障害の克服
 1.なぜ従来型の治療は効果がないのか
 2.いかに克服していくか
 (1)安全基地となる存在
 (2)愛着の傷を修復する
 (3)役割と責任を持つ

【感想】
近年話題になりつつある発達障害の根本的な原因を親との人間関係による
愛着障害にあると述べたチャレンジングかつ、斬新な本でした。

テーマが重い本で、読み進めていくのが辛かったですが、
自分の生まれ育ってきた環境や過去について振り返られり、向き合える本でした。

本書の前半では著名人が抱えていた愛着障害について述べており、
夏目漱石、太宰治をはじめとした作家から、ビルゲイツ、オバマまで、
さまざまな著名人の家庭環境とそれがその人物に与えた影響、
彼らの心の闇について書かれていました。
そういう面ばかりの話を読むと、こんなに心に闇を抱えている人が、
どうしてこんなに表舞台に立ったり、作家の場合作品が教科書にのるようにまでに
なったのかな、と疑問に思うくらいでした。

それを、これだけの著名人「だからこそ」の過去と愛着障害と捉えるのか、
これだけの著名人「でも」辛い過去と愛着障害がある、と捉えるのかで後半の内容の
入ってきやすさが変わってくると思うのですが、
自分は後者、著名人「でも」愛着障害がある、と捉え、
一般人でも程度の差はあれ、似たような事例が存在している。と考えました。

克服方法に関して、
自分が親に対して不満を抱いたり、怒りの感情を抱いていることをまずは受け入れ、
しっかりとそのことに向き合うことが大事だと述べていた。
その上で、親が自分にしてくれなかったこと、与えてくれなかったものを、
外の世界に求め、「安全地帯」となるような心の拠り所や他者を自分で見つけ出し、
その「安全地帯」によって、心に空いた穴を埋め、
親がくれなかったもの、発達しきれなかった部分の埋め合わせをし、
最終的には親のことを許す。
親以外の人間関係の中で、ギブアンドテイクでお互いに埋め合わせをしていく。
そのような過程が愛着障害、発達障害を克服する方法だと理解しました。

自分の過去を振り返り、親がしてくれなかったこと、自分の発達不足なところ、
そして、自分にとっての「安全地帯」となってくれた存在のこと、
色々考えました。
そして、「安全地帯」となってくれた存在に、心から感謝したいと思いました。
そして、親に対するわだかまりや不満についても見つめ直すことができ、
その感情を否定するでも、見て見ないふりするでもなく、
きちんと向き合った上で、許すことができるようになりたい。と思いました。

小さい頃に親と過ごした時間に対する「愛着」が、
その後のすべての「愛情」に関する感情に関わっていく過程を知ることができ、
愛情のメカニズムや由来について考えることができました。
そう考えると、家庭環境が違えば「愛着」の概念も変わり、
そうすると、「愛情」に対する概念や価値観も人それぞれ、様々になるのだということを、
再度認識させられました。

心身の健康に関わる問題の根本は生活習慣や思考習慣であり、
その生活習慣や思考習慣は親から学び、身に付いたものであるとすると、
この本は健康の根本に関わるテーマを扱っていると思いました。
教育の大切さと同時に教育の不完全さを感じることができる本でした。

ただ一つ気になるのは、本の表紙。
重版に伴って表紙を作ったようですが、「子供をだっこしてください。」
なんて、そんな簡単な話ではありません。
子供を愛することが必ずしも良い方向に繋がるとは限りません。
子供との関係が出来上がった後、図らずしも親との離別があった場合には
子供に残す心の傷が深くなってしまう恐れがあります。
この本の一番のテーマは「子供を愛すること」ではなく、
「親の不完全さと向き合い克服し、許すこと」だと思うので、
もうちょっとそのテーマにあった表紙の絵とか、キャッチコピーにして欲しかったです。