2014年3月17日月曜日

83/100『「エコ恋愛」婚の時代』 牛窪恵


読破!!
「エコ恋愛」婚の時代』 牛窪恵(マーケティングライター)
発行:2009年6月 光文社新書
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:227ペー



【本のテーマ】(表紙裏より抜粋)
買い物や日常生活で”エコ”を重視する今どきの男女は、恋愛にもエコを求める。無駄な告白はしない、余分なパワーは消費しない、交際しもどっぷりとはハマらない、むやみにセックスはしない。(「はじめに」より)――時代の必然である”エコ恋愛族”の増加は何を意味するのか?
男女ともに未婚の人生がレアケースではなくなった現代、”趣味”の領域に入った恋愛事情、結婚・離婚が不況と結びつく理由、草食系男子誕生の背景、恋愛の賞味期限、現代における男らしさと女らしさ、結婚の新しい形など、その実情に様々な角度から迫り、これからの男女の在り方を考える。

【目次】
はじめに
第一章 趣味化した、恋愛と結婚――恋愛と結婚の意外な過去
第二章 不況で愛する理由、フラれる理由――日本経済と変わりゆく恋愛市場
第三章 恋愛が、なぜ3年しかもたないのか?――恋愛脳科学と恋愛心理学
第四章 萎える草食系男子・お嬢マン――オトメン増殖で「男らしさ」は死語
第五章 結婚と恋愛のグローバルな明日――「エコ恋愛」がもたらす、結婚の新たな未来
おわりに

【概要】
第一章 趣味化した、恋愛と結婚――恋愛と結婚の意外な過去
 恋愛や結婚をしたがらない若者が増えている現状を述べ、データ的にも、未婚率が急増している(2005年 男性30歳~34歳未婚率 47.1% 女性30~34歳未婚 32.0%)もはや「結婚しない」という選択がマイノリティではなくなってきている現状を述べていた。
さらに、「見合い結婚」から「恋愛結婚」への時代の変化の流れについて述べ、また、「結婚と恋愛」が強く結びついていたのも70~90年代の間だけであり、90年代後半からはその「恋愛万能主義」も破たんし始めていると述べていた。

第二章 不況で愛する理由、フラれる理由――日本経済と変わりゆく恋愛市場
 景気の変動と結婚に関係性がある。と述べ、景気が落ち込んだ時に離婚率が上がり、景気が良くなれば離婚率が上がる、という近年の法則をデータをもとに述べていた。更にいうと、離婚率の方が景気に先導しており、そこには「女の勘」が存在しているのではないか、と述べていた。(景気が悪くなってきそうなのを直感的に感じて、離婚を決意する。)ちなみに、離婚件数も景気の変動に左右されながらも増加しており、2007年では年間254,822件発生している。(同年の結婚件数は719,822件)
 そんな中で、若者たちの結婚に対する価値観が変化しつつある。親ぐるみで仲良くし、デート代などを割り勘し、デートより仕事を優先し(デート優先の割合が増えたのは90、91年だけ)、旧来の「男らしさ」、「女らしさ」というものにとらわれない価値観が生まれ始めている。

第三章 恋愛が、なぜ3年しかもたないのか?――恋愛脳科学と恋愛心理学
 「大恋愛」が3年しかもたないということを、脳科学と心理学や生物学から説明していた。
恋愛をしている時は、脳内物質(ドーパミンなど)が発生し、幸福感や快楽を感じ(同時に判断力を低下させる)が、結婚し、安定してしまうことでそれらの脳内物質の量が減り、同時にテストステロン(男性ホルモン)も減ってしまう。統計によると、「結婚三年目あたりの離婚」が一番多いというデータをもとに説明していた。そのように、大恋愛は一気に燃え上がるが、その分燃え尽きるのも早い。それならば、小さな炎でも「エコ恋愛」として長く続ける方が良いのではないか。
 恋愛相手としては「大恋愛」ができる人を求めるのは良いかもしれないが、「結婚相手」としては向いているとは言えず、著者のインタビューからも、そのような声を得られることができた。

第四章 萎える草食系男子・お嬢マン――オトメン増殖で「男らしさ」は死語
 「草食系男子」とは、消費や恋愛に対してガツガツせず、女性と肩を並べて優しく草を食む男性。のことである。70年代から少しずつ旧来の「性別観」とは少し違う流行が生まれ始めていた。それは、男性の女性化、女性の男性化という流行語から読み取れる。(90年→オヤジギャル、94年→フェミ男、06年オトメン、07年働きマンなど)草食系男子は、「ヘタをうちたくない」という意識を基にすぐに女性に手を出したりしない。
 著者は草食系男子の登場を、分子生物学の見地から考察し、もとは女性が基本で、男性はその派生として生まれた。という青山学院大学の教授の主張を基に、男性が「男らしさの呪縛」から解き放たれ、本来の姿に戻りつつあるのではないか。と述べていた。

第五章 結婚と恋愛のグローバルな明日――「エコ恋愛」がもたらす、結婚の新たな未来
 西欧では日本に先行して女性の社会進出が進み、いわゆる日本の「負け犬」を描いた「セックス・アンド・ザ・シティ」が03年に放映されていた。その5年後に日本にもそのような現象が起こった。
世界と比べた日本の男女関係について、性生活の頻度から比較していた。05年の調査によると世界の年平均は103回であるのに対し、日本は45回、しかしその反面、買春を利用する男性の割合が先進国の中でもトップレベルの13.8%であった。そんな日本の現状を、夫婦間の誠意が足りないと述べ、その理由として、結婚してからお互いに手を抜いてしまって魅力を失ってしまうことが原因だと述べていた。
 そして、世界における未婚化・晩婚化について述べ、各国で存在していることを述べ、そんな中でも、「プラム」という社交ダンスパーティーを国や地域が親ぐるみで支援して行い、縁結びにつながっている、という事例を紹介していた。日本においても、男女の出会いを温かく見守る場を作っていくべきだ。

【感想】
 毎度ながら、牛窪さんの本はデーターが多くて、スピード感のある著書でした。
書かれたのが09年と言うことで、今から5年前の日本の現状を述べていたのですが、
今の時代でも十分理解できるところが多かったです。
特に、「恋愛と結婚」は別物である。という主張が印象的で、「恋愛」とは短編の幻想的な映画であり、「結婚」とは、長編のドキュメンタリーである。という比喩が印象的でした。
大恋愛が3年しか続かないということを心理学、生物学などをもとに述べ、「大恋愛と結婚」を結び付ける価値観はもう古くて、「結婚」というものを男女が共生してゆく「システム」であると割り切って捉え、「エコ恋愛」として小さな炎を燃やし続けて長く関係を維持することが今の時代に合っている。という話に、納得しました。

 また、世界の現状と比べているのも興味深かったです。あとは、晩婚・非婚の原因が女性の社会進出だけではなく、家庭環境や引きこもり問題、などのさまざまな社会的要因と複雑に関係しあっている。という主張は正しいと思いました。
 あと、不況と離婚が大きく関係している。という論述も興味深く、景気と恋愛は関係があるんだということをデータから納得させられました。

 スピード感があるので、順序だって理解するというより、部分部分で理解できた感じなのですが、それでも、発見や再確認をさせてくれる本でした。

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