2014年1月15日水曜日

読書マラソン47/100『竜馬がゆく(一)』 司馬遼太郎

読破っ!!
『竜馬がゆく』 司馬遼太郎(作家)
発行:1998年9月 文芸春秋
難易度:★★
理解度:★★★☆☆
個人的評価:★★★

ページ数:446ページ




【本のテーマ】
坂本龍馬の生い立ちを描いた歴史小説。
一巻では生まれから、江戸に向かい、剣の腕が認められていく過程が描かれていた。

【目次】
門出の花
お田鶴さま
江戸へ
千葉道場
黒船来
朱行燈
二十歳
淫蕩
寅の大変
悪弥太郎
江戸の夕映え
安政諸流試合

【感想】

歴史小説を読んだのは初めてでしたが、思っていたより読みやすいです。
好きなシーンがいくつかありました。

まずは、竜馬が土佐で剣の名をあげ、江戸に向けて出発するシーン。
道場の者何人かで数日間お供して領石まで見送りに行くのですが、
その間、竜馬は時々ふっと消えて、勝手に自由に行動していたりする。
ある時は、通りがかった家の玄関から見えた合戦の絵が書かれた屏風が気になって、
玄関口で腹這いになって見つめていた。
小説の中では描かれていないけど、
ぼんやりと絵を見つめながらこれから起こることを考えているような、
そんな竜馬の姿を想像しました。
物語りの始まりとして、印象に残ったシーンでした。

他にも、剣術に関してのエピソードで、
竜馬が江戸でお世話になる道場の息子・重太郎が話す兵法噺で、
「サトリ」という獣の話が印象に残りました。
ある木こりが山で木を切っていると、後ろに「サトリ」と名乗る獣が現れ、
(珍しいから生け捕りにしよう)と思ったら、
「『珍しいから生け捕りにしよう』と思ったな」と言われ、
(心の中が読まれているのか、捕えるのはやめよう)と思ったら、
それも見透かされてしまい、木を切る作業に戻った時、
斧の先っぽが取れて飛んでいき、それが「サトリ」に当たり、
「サトリ」は死んでしまった。という話があった。
剣術の境地として、心妙剣と無想剣というものがあり、
心妙剣は、自分が狙いを定めたところを外さず、さらには「サトリ」のように相手の動きを敏感に感じ取り、把握できる、という境地である。
しかし、心妙剣に唯一打ち勝てるのが無想剣である。
つまり、心を無にし、無念無想でうごく。それこそが剣術の境地である。と述べられていた。
竜馬の剣術の試合を見ていた道場の持ち主貞吉が、竜馬には心妙剣の素質がある。
と言っていたけど、そのエピソードが面白いなぁ。と思いました。

そして、もう一つは、ペリーの黒船が来た時の竜馬の対応。
黒船征伐のために武士が集められていたのに、竜馬は黒船に興味津々で、
夜中にこっそり抜け出して、船で漕ぎ出して黒船に乗りに行こうと計画するという。
あまりにも無謀で、あまりにも子供過ぎる、
黒船を操縦することを考えてワクワクしている竜馬が、すごく子供っぽくて、おかしかったです。

あとは、竜馬の肩書へのこだわりの無さが印象に残りました。
剣の腕を見込まれ、いくつも試合に出るように勧められるのですが、
ある試合で竜馬も知る強豪と戦うと言われたとき、「相手が勝つ」と最初から言ってしまい、
幼馴染の武市に「武士として弱音を吐くな」と言うと、
「武士武士とがみがみ言わンすな。耳がなるわい」と言って、
肩書きはあくまでこの世の借り着で、正真正銘なのは人間いっぴきの坂本竜馬である、
という竜馬の生き方が描かれていました。

他にも、道中で泥棒と仲良くなったり、泥棒を通して知り合った娼婦の敵討ちに手を貸そうとしたり、長州にスパイに行った時、桂小五郎に見つかってバトルになったけど、結局仲良くなってしまったり。

あっけらかんとしていて、小さなことに拘らずに、手の内を明かしているかのように見せて、
けど人に流されているのではなく、自分の中に軸を持っていたり、野望があったりする。
そういう生き方、いいな。と思いました。

あと、昔は日本の中でも、土佐から江戸へ来たら、「留学」っていう感覚で語られていて、
藩が違えばその場所の雰囲気も違うし、人も違う、っていうのが描かれていて、
今にはない感覚だなあ。と思ました。

ところどころに、「後に、~となろうとはこの時思いもしなかった」みたいな伏線があって、
今後の話の展開が気になります。頑張って続きを読みます。

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