2014年1月26日日曜日

読書マラソン59/100『県庁おもてなし課』 有川浩


読破っ!!
『県庁おもてなし課』 有川浩(作家)
発行:2011年3月 角川書店
難易度:★
感動度:★★
共感度:★★
個人的評価:★★
ページ数:461ページ



【本の紹介】
高知県県庁に実在する「おもてなし課」、そこで掛水は高知県を観光地として広めるために苦戦していた。ある日、観光特使として協力を仰いだ流行の作家・吉門から、そのやり方、将来性に対して厳しいダメ出しをされる。それにめげずに、高知県をより良くするために、彼からアドバイスを聞き出し、その結果、大規模なツーリズム計画が動き出す・・・。


【目次】
ことのはじまり
1.おもてなし課、発足。――グダグダ。
2.『パンダ誘致論者』、招聘――なるか?
3.高知レジャーランド化構想、発動。
4.順風満帆、七難八苦。
5.あがけ、おもてなし課。――ジタバタ。
6.おもてなし課は羽ばたく――か?
あとがき
参考文献
巻末特別企画「本」から起こす地方活性・観光振興!

【感想】

ネタバレ注意!!
 保安的で民間感覚が欠如し、手際も悪く、そんな悪いイメージを凝縮したような公務員的性格であった「おもてなし課」が、観光特使として協力を仰いだ吉門の助言、一般人からとして雇った多紀の助言により、良い方向に成長してゆく。さらには、かつて高知県内に新設される動物園に「パンダ誘致論」を提唱し、公務員の世界から追放された清遠に頼み込み、コンサルティング、プロデューサー的立場で、ツーリズムの本質について教えてもらう。

 「地元」、「おもてなし」、「ツーリズム」、という、最近注目されているテーマで高知県の観光業再生物語でした。最初と最後の主人公・掛水の成長っぷりはフィクションとはいえ、痛快でした。
ストーリーの合間に、恋模様や、家族愛についても描かれており、わりと分厚い割にさらっと読めました。物語の比重的にはおもてなし課:恋愛:家族=5:3:2という感じでした。それぞれの登場人物の心情の変化や掛け合いが沢山描かれている本で、文章表現とかが、特に女性には人気だろうな。と思える物語・表現でした。
 本の中では、いわゆる「田舎」を観光地として誘致するには、都市に比べ「便利さ」では勝てない上に、予算にも制限があるので、今ある「田舎らしさ」を前面に押し出し、民間が行っている観光業を「有機的に結合」する。という方法を取り、その実践の過程が描かれていました。
 高知県は山も川も海もアウトドアのすべてが揃っており、その地質的特性を活かし高知県全体を「レジャーランド化」する。という計画は、インパクトがあり、納得のいくものでした。「田舎らしさ」を前面に押すためには、まず、現地の「おもてなし課」の職員が、視点をずらして、日常を客観的に見る。ということが必要だ。という話も、説得力がありました。
 清遠が最終的にはプロジェクトから外されてしまい、残された「おもてなし課」が主体的に完成へと持っていくという話では、清遠から教わったノウハウや考え方をしっかりと受け継ごうとする掛水・多紀の姿と、それをそっと見守る吉門の姿に、胸が熱くなりました。
 ただ、気になる点としては、清遠の妻の描かれ方があまりにも悪役的すぎる、という点でした。
最後まで登場しなかったし、その方が分かりやすくて良かったけど、物語の中で唯一の悪者、という感じ描かれているのが少し気になりました。
 後書きでは、物語の冒頭の観光特使のエピソードは実際にあったもので、それがきっかけでこの物語を書くことになった。というのが、おもしろいなぁ。と思いました。「パンダ誘致論」も実在かと思いきや、それは著者の父がお酒を飲みつつテレビのニュースで動物園を新設するニュースを見て言ったことをもとにしている。と述べ、父が清遠のモデルにもなっていると述べられていました。
本の中にも何度も出てきた「民間感覚」というのを体現しているのが、著者の父であり、清遠であったのだと思い、フィクションでありながらも、現実をモデルにしてつくられている物語なんだなぁ。と思いました。
 現実世界では、もっと複雑なことが多いのかもしれないなぁ、と思いつつも、公務員の堅い世界にぶつかったり、厳しく指摘したり、されたりする様子や過程は、読者としても、どうしたらよいのか、考えながら読むのが面白かったです。

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