2014年1月24日金曜日

読書マラソン57/100『ただトモ夫婦のリアル』 牛窪恵


読破っ!!
『ただトモ夫婦のリアル』 牛窪恵(マーケティングライター)
発行:2010年9月 日経プレミアシリーズ
難易度:★★
資料収集度:★★
理解度:★★
個人的評価:★
ページ数:235ページ


【本のテーマ】(裏表紙より抜粋)
草食系イクメン×おひとり妻=ただトモ夫婦…!?人知れず増殖する新型夫婦の生態や価値観、彼らの周辺に発生する消費市場を、人気のマーケティングライターが徹底解剖。新しい夫婦像や家族像、彼らと企業、メディア、コミュニティの新たなかかわりなどを探る。

【キーワード】
アイラブ自分世代、ガールズ・ママ、おひとり妻、DINKS、反バブル、
イエラブ族、保温家族、3低、見栄消費から幻想消費へ、平等志向とシェア欲求、
インビジブルファミリー、親孝行旅行、パパ・クォーター制度、

【目次】
はじめに
第一章 ママになっても「おひとり妻」したい!
第二章 草食系イクメン、スカートをはく?
第三章 わさびをケチって、4万円のベーカリーを買う理由
第四章 夫(妻)より親、の「親ラブ族」
第五章 これからも「ただトモ夫婦」でいいですか?
おわりに
データーの出所一覧

【概要】
はじめにでは、近年の夫婦の価値観の変化について述べていた。
夫婦の関係について、インタビュー調査をする中で、かつての夫婦関係とは違った、独身時代の自由さ、私的領域を確保しながらも、ルームシェアの友達のような「さらっとした」関係になっている今の世代の夫婦を「ただの友達のような夫婦=ただトモ夫婦」と名付け、分析していくと述べていた。

第一章 ママになっても「おひとり妻」したい!では、ただトモ夫婦の妻に焦点を当て分析していた。
ただトモ妻は、夫と束縛し合わず、お互いが「空気のような存在」であることを望み、ママ友との交流を重視し、母として、妻として、女として、といういくつかの「タグ」をうまく使い分け、曖昧な自分を生きながら、趣味や消費活動により、自分の可能性をさらに引き出そうとしている。バブル世代の価値観が自分をしっかり持つ「アイラブ自分世代」であり、目立つことを好むのに対し、ただトモ夫婦世代は、空気を読み、ママ友の中で「浮かない」ことを重視する特徴がある。その理由が、ママ友ネットワークが大切な情報収集源であり、相互扶助のネットワークであるからである。しかし、だからと言って完全に心を許しているとも言えず、受験などの競争においてはライバルであるため、手の内を明かさない事が多い。また、経済状況なども、ママ友の中で比較的リッチであると妬まれるてしまうことがあるため、そう思われないように気を遣い合っている。
不況の原因もあり、休日を家で家族過ごすことが増え、意識的に家族の団らんを過ごすようになった状況を、博報堂生活総研は「保温家族」と名付け、「家族ならではの心地よさを意識的に保持しようとする日本の家族」と定義づけた。家族の時間も大事にしつつ、自分の個人の時間も大事にする。というのがただトモ夫婦の理想である。
ただトモ妻は結婚して子供が出来ても7割は仕事を止めずに続け、稼いだお金を自分のためにも使う。高学歴、高収入、高身長、の3高から、低リスク、低依存、低姿勢の3低を望むように変化してきている。また、結婚自体に憧れを抱く人は減り、「片づけたい」という意識を持っている人が多い。夫に対する期待値も高くなく、争いごとを避け、妥協し合う関係を築く。

第二章 草食系イクメン、スカートをはく? では、ただトモ夫婦の夫に焦点を当て分析していた。
会社では家庭との両立を前提に無理をしすぎず、おしゃれにも気をつかう人が多い。子作り以外の夜の営みは「無駄」であると感じる傾向が高く、子育てや家事にも積極的に参加しようとする意識が高い。子供と一緒になって自分自身も楽しみ、習い事を一緒にしたりもする。しかし、子育てや家事に関してはまだ「ロールモデル」が少なく、どうしたらよいのか分からない現状がある。

第三章 わさびをケチって、4万円のベーカリーを買う理由
バブル世代は対立があった場合徹底的に抗戦する「ハムラビ系(目には目を、歯には歯を)」であるが、ただトモ世代は「ガンジー系(非暴力、不服従)」暗に抵抗したり、条件を突き付けたりする。
Wiiやルンバなどの消費が、家族の「ゆるいつながり」を生み出している。他にも、ホームベーカリーが売れたりしている現象も根本には「家族幻想」(家族とこんな過ごし方をしてみたい、)という幻想消費が存在している。「楽ができる」商品では売れにくいが「家族の健康、幸せのため」であると広告すると売れやすくなる。(例:食器洗浄機、ルンバ)

第四章 夫(妻)より親、の「親ラブ族」
ただトモ夫婦の配偶者への愛は3年ほどで失われることが多く、配偶者よりも、自分の親とのつながりを大切にし、最終的に頼る傾向がある。結婚後、実家から30分以内の距離に住む夫婦が65%を超えており、頻繁に子育ての手助けをしてもらっている。結婚後関係がうまくいかなかった場合、子供を連れて実家に帰ることを勧める親もいる。結婚後3組に1組が離婚する時代であり、出産時に「離婚」を意識する妻が半数近くいる。それは、夫が妻に対する「共感の姿勢」が欠けていること。が理由としてあげられ、正しい正解を与えるのではなく、話を聞き、共感することで不満が解消される。と述べられていた。

第五章 これからも「ただトモ夫婦」でいいですか?
親の実家の近くに住み子育て援助をしてもらう「インビジブル・ファミリー」(見えない家族)が、精神的に結びつき、それが2世代、3世代と続いていき、2015年頃にはそれが一般化する。と述べていた。ただトモ夫婦世代は親を大切にし、積極的に子育てに参加させ、親孝行として、旅行に連れて行ったりする。(しかし、費用は親もちが多い)
夫は、子育てに参加したくても、仕事が忙しくて無理であったり、やりかたを教えてくれる機会が少なくて出来ないことが多い。
小さい頃から、「男女平等、男も家事・子育てをし、女も働けるようにするべき」という価値観で育てられてきたが、実際結婚し、子供を産んでみると、女性は育休をとると降格されたり、男性は育休をとることが難しいなど、制度面で整っておらず、ギャップを感じてしまうことが多い。日本の育休取得率は、女性は90.6%であるが、男性は1.23%しかない。国の目標では、2015年頃までに男性の育休を10%にまでするとしている。職場で育休する人を応援する雰囲気づくりをすることが大切である。

【感想】
面白かった!牛窪さんの本は、「今」のことがインタビュー調査と、アンケート調査等のデータをもとに書かれていて、リアルに感じることができました。冷蔵庫の中を夫婦でテリトリーを作って使っているとか、ルンバを買ったおかげで夫婦の仲が良くなったとか、色んなエピソードが、「今」を感じさせてくれました。
全体に共通する部分としては、今のただトモ夫婦世代は性別によって「かくあるべし」という意識が低く、男性も家事・子育てをし、女性も働くのを良しとしていますが、実際には制度がその意識においついておらず、無理が生じてしまい、そこを、実家の親であったり、ママ友のサポートを得て、
子育てを行っている。という印象を受けました。

今の現状では、女性の方が、働くことを良しとされながら、依然として家事子育ても女性中心でしなければならない状態で、すごく「タフさ」が求められるのだろうな。と思いました。
情報・相互扶助ネットワークである「ママ友」に対する「パパ友」も存在はしているけれども、
まだそこまで普及しておらず、制度面でも、意識面でもまだ完全な男女平等には至っていないと実感させられました。また、「イクメン」という言葉が認知されてきていても、具体的な「ロールモデル」が職場にもまだ少ない状況なのだと理解しました。

統計データ集

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