『火車』 宮部みゆき(作家)
発行:1998年2月 新潮文庫
難易度:★★★★☆
感動度:★★★★☆
共感度:★★★☆☆
個人的評価:★★★★★
ページ数:590ページ
【本の紹介】(裏表紙より引用)
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を探すことになった。自らの意志で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
【目次】
1~29までの節
あとがき
解説
【感想】
読み応えがあるミステリーだった!!
失踪した関根彰子を追って、刑事が探し回って、謎を解いていく物語に一気に、引き込まれました。
時系列に起こった事件の真相を、様々な人からの断片的な情報をもとに、少しずつ繋がっていくのが、ややこしくもあり、読みがいがありました。
ネタバレはいかんよなー。と思いながらも、時系列に整理してみているうちに、
書きたくなったので、以下、ネタバレで書きます。これから読無かもしれない人は、読まないでね。
読んだことある人は、間違ってたら教えてください。
以下、ネタバレ注意!!
関根彰子は、宇都宮で育った。父を早くに亡くし、卒業後上京就職。
クレジットカードでどんどん買い物をする癖があり、いつの間にか債務返済できなくなり、ホステスのアルバイトで働くが、過労で体調を崩し、取立てが職場にも来るようになり、会社を退職し、弁護士のもとへ自己破産の申告をしていた。
そんなある日、母が酔って階段から転落死。保険金が200万円入ったが、墓を持っていなかったため、墓のツアーに参加。そこで、自分と同年代の新条喬子に出会い、若いのに悲しい人生を歩んだ者同士が偶然出会ったと思いこみ、意気投合する。
新城喬子は、福島県に生まれた。親がマイホームをローンで買ったことで借金をし、サラ金にも手を出し、取立てに追いかけられるようになる。17歳で高校中退し、一家離散。母娘で名古屋にいたが、病気の父の見舞いにいったところから取り立て屋にかぎつけられ、母が帰ってこなくなったことから危険を察知し、求人広告で目にした伊勢の旅館で働き出す。そこで倉田と出会い、結婚。しかし、結婚したことで戸籍が変更され、再び取立てにかぎつかれる。父が自己破産を知らなかったため、父への取立ては終わらず、取り立て屋には債務者の娘として追いかけられ続ける。子供には返済義務がないため自己破産もできず、結局そのせいで夫と夫の会社に迷惑をかけ離婚。通信販売会社で働き出したころ、自分の「逃亡者」人生から抜け出すために、顧客データを入手し、身寄りのない誰かの人生に乗り替わることを計画する。ターゲット候補を同世代の女性何人かに絞り、少しずつ準備していたころ、候補者のうちの一人・関根彰子の母が違法建築の階段から転落事故死したことを新聞で知り、彼女をターゲットに絞り、接近する。墓のツアーで仲良くなり、殺害する。関根彰子の住んでいたアパートを夜逃げのように去り、新たな場所で関根彰子としての人生を歩み始める。社員3人の零細企業に偽りの履歴を書いた履歴書で入社、事務として働く。取引先の銀行員・栗原和也と知り合い、恋愛関係になり、婚約する。今後のことも考えクレジットカードを作った方が良いという栗原の勧めにより、栗原を通してクレジットカードを申請しようとするが、本物の「関根彰子」は以前自己破産申請を行っていたため、クレジットカードを作成できない。そのことを不審に思った栗原が、その旨が書かれた書類を見せると、新城喬子は青ざめて失踪する。
残された栗原は訳が分からず、遠縁の刑事、本間俊介に相談を持ち掛ける。
この最後の一行、栗原が本間さんを頼ってくるところから物語が始まって、本間さんが少しずつ真相に近づいていきます。最初の内は、関根彰子が偽物だなんて思わないので、イメージが一致しないなぁ。。と思っていたら、まさかの別人。浮かび上がってくる「新条喬子」という女性。最後は彼女の存在を突き止め、声をかける瞬間で終わる。話が練られすぎていて脱帽です。一回読んだだけでは把握しきれず、ネットのネタバレを見返して整理されました。笑
新条さんの「逃亡者」人生が切なくて、不幸な境遇にありながらも、なおしっかりと強く生きようとしている姿が印象的でした。途中からは、憂いを帯びた感じと、芯のある強さを持ち合わせたイメージで、自分の中で勝手に橋本愛さん(あまちゃんのユイちゃん)をキャスティングしていました。(映像化された際は佐々木希さんだったそうです。)そして、結果的には殺人者でありながらも、新条さんのそれまでの人生は何人かの彼女を愛した人から証言され、語られており、殺してしまい人生を乗り替わってしまった関根さんに対して「情がある」ととれる行動をしているのが描かれていました。関根さんについても、カードで自己破産してしまうような人だったけど、幼馴染がずっと気に掛けていたりして、二人のことを大切に思っていたり、気に掛けていた接点のないそれぞれの人々から少しずつ形作られる二人の人間像が、本人の描写がないはずなのに、すごく存在感のある描写に感じられました。
映像版も見てみたいです。
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