2014年1月20日月曜日

読書マラソン52/100『銀二貫』 高田郁


読破っ!!
『銀二貫』 高田郁(作家)
発行:2012年4月 集英社文庫
難易度:★
感動度:★★★
共感度:★★
個人的評価:★★
ページ数:345ページ


【本の紹介】(裏表紙より引用)
大阪天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之助を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引き取られ松吉と改めた少年は、商人の激しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が街を襲い、真帆は顔反面にやけどを負い姿を消す・・・・・・。

【目次】
第一章 仇討ち買い
第二章 商人の矜持
第三章 真帆
第四章 同月同日の大火
第五章 再会
第六章 約束
第七章 更なる試練
第八章 結実ひとつ
第九章 迷い道
第十章 興起の時
最終章 銀二貫

【感想】
めっちゃ感動した!!!
最初に天満宮に奉納しようとしていたお金・銀二貫を、偶然見かけた、父親の仇討に巻き込まれ殺されかけていた松吉を救うために、仇討を「武士から買う」うところから物語が始まり、度重なる火事に苦しみながらも寒天屋を経営し、発展させ、最終的に30年近くかけて、銀二貫を奉納するところに辿り着く。和式サクセスストーリーでした。

物語の中に色んな人の人情が出てきていて、しかもそれがあからさまなものではなくて、
実は見えないところで人が動いていてくれていて、そのことに後から気付かされたり、
そういう形の人情が多くて、感動的でした。
それぞれの人の心情も分かりやすく描かれていたので、共感しやすかったです。
松吉がいつも、色んな人の言葉を大切に胸に留めていて、
大変な時にその人たちの言葉を思い出して乗り越える姿が、素敵だと思いました。

あとは、商いのお話だったので、経営的な話もあって、
「看板」と「中の人」ということについて考えさせられました。
つい最近あった「産地偽装」も物語の中に登場していました。
先代の後を継いで「看板」を掲げても、「中の人」がしっかりしていないと、
その「看板」の名が廃れてしまう。ということを物語を通して感じました。
寒天の新製品の開発とか、物流とか、販売戦略とか、江戸時代のそういう経営的なものを垣間見ることができました。

あとは、丁稚奉公という制度がやっぱりいいな。と思いました。下積み時代として、厳しいながらも、しっかりと躾をしてもらえる。それが日本的経営の終身雇用の始まりだったのかな。と思います。
「古き良き日本」じゃないけど、「丁稚奉公」と「暖簾分け」っていう制度は、「師弟関係」みたいな感じで、知識だけでなく、その分野における精神的な信条まで学ぶことができる、というのは、素敵な制度だな。と思ってしまいます。(それが今にも適応できるのかは別として。)

また、表紙の絵にもなっている「天神橋」の上でのシーンが、始まりから終わりまで登場し、
それが回想的に思い出されるのが、すごく印象的でした。
あとは、一人の視点に固まってしまうのではなく、登場人物のそれぞれの立場や思いっていうのが
描かれていて、それが交錯し、歯車がかみ合っていくことで物語が進んでいく感じが、すごく人間味があると感じました。

最初に出て来る「銀二貫」の伏線の回収が上手くて、随所に人情が綺麗に描かれている小説でした。それと同時に、「経営にまつわるヒント」みたいなものもたくさんつまっている本だと思いました。いつか困難にぶつかった時にもう一度読み返したい本です。

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