SMAPがカバーをして一躍有名になり、紅白歌合戦でも歌われた。
「世界に一つだけの花」その歌詞の解釈について考えてみたいと思います。
まずは、世界に一つだけの花の歌詞を、一番だけ見てみます。
No.1にならなくてもいい
もともと特別な Only one
花屋の店先に並んだ
いろんな花をみていた
ひとそれぞれ好みはあるけど
どれもみんなきれいだね
この中で誰が一番だなんて
争う事もしないで
バケツの中誇らしげに
しゃんと胸を張っている
それなのに僕ら人間は
どうしてこうも比べたがる?
一人一人違うのにその中で
一番になりたがる?
そうさ 僕らは
世界に一つだけの花
一人一人違う種を持つ
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい
<表向きの解釈>
「競争なんてしなくても、もともと自分たちは「only1」であり、
自分らしさを発揮することを頑張ればいい。」
という感じだと思います。
さて、ここからは、他の解釈をいくつか考えてみたいと思います。
twitterなどで検索した、色んな人の解釈や理解を集めてみました。
<「No.1との比較」解釈 twitterより引用>
「短期的にNo.1になることは誰にでもできる。そんな目先の順位より自分にしかできない才能を見つけて活かしてたったひとつのOnly oneになることの方が難しいし、その分、価値があるよね。」
<「完全否定」的解釈 yahoo知恵袋より引用>
「Only oneはNo.1を目指すためのものであり、企業でもNo.1を目指して、結果的にOnly oneになれることが多い。だからこの歌詞によってNo.1を否定すると、努力しない人の共感を得てしまう。」
<「頑張らなくていい、のではない」解釈 twitterより引用>
「あの歌を『頑張んなくていい』と解釈されるのに違和感があります。だって歌詞の中にちゃんと『一生懸命になればいい』ってあるじゃない、」
<「理系」的解釈 twitterより引用>
「花屋の花は色や形を揃えたり、栽培しやすさや病気にかかりにくいように品種改良している。
すなわち『全部同じ花』だ。」
<「前提に選別がある」解釈 twitterより引用>
「まず、前提として『花屋の店先に並ぶ』必要があって、選ばれるために『頑張って咲いた』必要が明示されていることも重要。」
「花だって店先に並ぶ前にいっぱい選別されているんだよ、と思うよね」
肯定的なものや、ひねくれたものや、現実的なもの。いろいろあって面白いですね。
いろんな解釈がある中、僕が提案したい解釈は、
<「世界に一つだけの花」は農家と花屋に感謝しろ!>というものです。
歌詞のサビの最後に、
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい
という部分があります。
しかし、その部分の解釈の危険性について述べたいと思います。
花が『花屋に並ぶ』までに、研究者が品種改良を重ねたこと、花同士の競争があったこと、は、
twitterでも指摘がありました。そこにさらに、僕は、「他人の手間」について指摘したいです。
つまり、花がきれいに育つために、色んな人が手間をかけてくれたこと。
農家の人、運送業者の人、花屋の人、そして、花を買ってくれる人。
花が『花を一生懸命に咲かせる』条件を満たすためには、周りの人の協力が不可欠なのです。
野生の花は、虫に食われたり、栄養が足りなくて枯れたりします。
「世界に一つだけの花」の中に、そんな「泥臭さ」がないのも、時代の象徴だと思います。
大切に育てられてきた中で、自分らしさを大切にできる。
そんな環境に生まれたことを当たり前だと思わないようにすること。が大切だと思います。
しかし、歌詞の中の「その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい」というメッセージを受け取りすぎると、その人たちに対する「感謝」の気持ちに意識が向きにくくなる気がします。
もちろんこの歌のテーマが「個性の多様性」というところにスポットライトがあてられた歌なので、
「その個性を作ってくれた環境に感謝!」までは伝えきれない、のかもしれませんが、
歌詞の意味が独り歩きしてしまうということがちょっと心配です。
ちなみに、作者の槇原敬之さんは12年4月7日付の朝日新聞で歌詞の解釈を述べているそうです。
「自分に植えられている種を真剣に見つめて、きちんと水をやろう。
そうすればその種が相手にもあることに気付くはず。競う相手は他人ではなく自分自身だ」
また、この歌が生まれたモチーフとなったのが、仏教の「天上天下唯我独尊」(この世の中の一人一人はみな尊い存在である)という言葉である。という逸話もあります。
歌詞の解釈は、自由で、深くて、それでいて時代を反映していて、おもしろいです。
皆さんはどんな解釈をしますか?
当時、この曲にはまった1ファンとして、この歌詞の良いメッセージを受とりました。
先ほど指摘した部分も、描かれていない意味を補って、
(自分を大切に育ててくれた人たちに感謝しながらも)
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい
という理解をしたいですし、自分の胆にも銘じたいです。
行田知広
0 件のコメント:
コメントを投稿