2013年8月24日土曜日

100冊読書 17/100 『不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか~』

読破っ!!
『不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか~』高橋克徳+河合太介+永田稔+渡辺幹、講談社現代新書
発行:2008年1月
難易度:★★☆☆☆
ページ数:205ページ
 
 
【本のテーマ】
会社に漂う「不穏な空気」の原因の一つに「協力できない」という点があげられる。
その現状を社会学的視点から分析し、実践的な取り組みをしている組織を参考に、解決策を模索する。
【キーワード】
役割構造、評判情報、インセンティブ、仕事の属人化、組織のタコツボ化、
社会交換理論、信頼、協力、援助、「感謝」と「認知」
 
【目次】
はじめに
第一章:いま、職場で何が起きているのか
第二章:何が協力関係を阻害しているのか
第三章:協力の心理を理解する
第四章:協力し合う組織に学ぶ
第五章:協力し合える組織を作る方法
最終章:協力への第一歩の踏み出し方
おわりに 
 
 【概要】
第一章では、職場に広まるギスギスした関係の現状例を述べていた。
成果主義の導入をきっかけに、仕事がより個別化され、自分の仕事を果たすことで手いっぱいになり、他者への協力・援助がしにくくなり、また、各個人の仕事の専門性が深まる(組織のタコツボ化)ことにより代わりが効かなくなり、各人のプレッシャーがより高まってしまっている。
このことに起因して、個人に対する負担の問題だけでなく、組織に対しても、生産性や独創性が低下したり、品質問題や不正が生じたりするような影響を与えてしまう。
 
第二章では、このような問題が起こる原因を分析していた。
検討のフレームワークとして①役割構造②評判情報③インセンティブの3つの観点から考えていた。①の役割構造とは、仕事の責任の範囲であり、かつての日本は責任の範囲が曖昧であったが、成果主義の導入により、より明確化されるようになった。生産性を高め、フリーライド(働かないで給料もらう)という状況を減らせるメリットと、自分と他者の間にあるような仕事に手を出しにくくなるというデメリットが生まれた。②の評判情報とは、人脈形成のことであり、かつての日本では社内サークルや社員旅行があったが、成果主義による効率化推進により削減の対象となり、交流の機会が減少した。③インセンティブ構造とは、仕事に対するモチベーションのことであり、かつての日本は、一つの会社が社員の生活を保障してくれていたので、「会社への貢献」に大きな意味があった。しかし、会社が社員の生活を保証できなくなってきたことにより、「会社の貢献」よりも「自分のキャリアアップにつながるか」がモチベーションの根本へと変わってきている。
 
第三章では、協力の心理を社会学的観点からのべていた。
「社会的交換理論」とは、人や組織間の関係を有形無形の資源のやり取りとみなすこと。
資源の例(金銭・商品・情報・サービス・地位・愛情など)
「協力」とは、社会的交換を行うことである。しかし、その関係が破たんする「裏切り(もらい逃げ)」により、協力関係は失敗し、不信感情の負の連鎖が起こる。
 
第四章では、「社員が楽しく働ける職場づくり」を実践している組織を考察していた。
グーグルでは、協力行動を生み出すための理念の共有、交流の場の創出の仕組みの例をあげていた。サイバーエージェントでは、理念の共有を始め、社員の意見発表の場、交流の場の創出、の仕組みの例をあげていた。ヨリタ歯科では、社員のやりがいを充実させるような仕組みの例をあげていた。
 
第五章では、協力し合える組織を作る方法を3つのフレームワークの視点から述べていた。
①役割構造については、社員の意見を発表する場やシステムを作ること、そして、組織のタコツボ化を防ぐために、マニュアルを作り、特定の人以外でもある程度対応できる仕組みを作る、という仕組みを一例としてあげていた。
②評判情報については、ただ交流の場を復活させるだけでなく、「今の時代に合った」楽しくて魅力的なイベントや仕組みを作ることが大切だと述べていた。
③インセンティブについては、「感謝」と「認知」をきちんと行えるシステムや仕組みをつくることで、「協力」に対して社員が「効力感」を得ることができ、協力関係を築くことができる。と述べていた。
 
最終章では、五章で述べた理想にむけて、どのような行動がとれるかを述べていた。
まずは現状を第三者から客観的に分析してもらい、その課題や問題点を話し合い、共有する。「協力できている」組織の例を映像で見て、感想を共有し合う、協力行動が難しいなら、まずは援助行動から始める、「感謝と認知」を徹底して、援助行動を促進する。などの例をあげていた。
 
【感想】
「協力」をテーマに書かれている本で、組織について考えるとてもためになる本でした。
協力を「社会的交換」と定義づけ、お互いの何らかのメリットの上に成り立っている。
という考え方はとても共感できました。社会的交換においては、「愛情」すらも「資源」の一つとして交換されている、と言う点も興味深いです。この理論で考えると、「見返りを求めない援助」というのも、「自分が人助けをした満足感」という「資源」を得られる一種の「社会的交換」なのだと思いました。そう捉えることで、相手への「恩着せがましさ」を軽減できると感じました。
 
協力に対する「感謝と認知」の重要性についてはとても説得力がありました。自分も継続的な協力関係を得るためにも、今後はより「感謝と認知」を積極的に行っていこうと思いました。社員の組織に対する考え方は時代によって変わってきている、ということが具体的事例をもとに述べられているのも説得力があり、働く際には、自分もそのことを意識しておきたいと思いました。
 
【個人的理解度】
80% 四人の共著のためか、まとまっていてわかりやすかったです。
【個人的評価】
80点 「社会的交換理論」という新しい概念を得ることができました。

0 件のコメント:

コメントを投稿