『キャラ化する/される子どもたち』土井隆義(社会学者)岩波ブックレット
発行:2009年6月
難易度:★☆☆☆☆
ページ数:63ページ

「人間関係格差」や「人間関係のカースト化」について述べられていた。
個別に狭小化した日常世界の中で、予定調和の世界から出ることなく、相補関係を傷つけないような対立は表面化しないように慎重に回避する。(=優しい関係)
また、中曽根内閣のもとで、「個性重視」の教育になったことにより、
価値観がより多様化し、身近なその場の周囲の評価をより気にする「空気を読む」コミュニケーションが増えた。ということがのべられていた。
第二章では、外キャラ(キャラ)と内キャラ(=アイデンティティ)に分類し考察していた。
外キャラとは、大きな物語を外れた、二次創作的なイメージことであり、それを演じることで、その場その場に合わせた行動や発言で、グループ内のよどんだ空気を活性化させる役割がある。その反面、欺瞞的で一面的な自己であり、一貫的な自己ではない、と感じることもある。それに対する内キャラは自分のアイデンティティとなる部分であり多面的で複雑である。しかし近年、若者の間で、そのアイデンティティもキャラ化しようとする傾向があり、「宿命主義」という、自分の内面も固定化してしまい、変えようとする努力を放棄する傾向がある。
第三章では、青少年犯罪を例に犯罪者を社会から切り離す傾向の強まりを考察していた。
子供を犯罪から守るためにセキュリティや監視を厳重にしても、内側から犯罪要因が発生してしまう。それを発見する度にゲートの内側から外側へ排除するのは、根本的な解決方法ではない。犯罪者の背景について考える傾向が弱まり、犯罪者も「キャラ」とし、個人の性格に原因をもとめる傾向が強まっている。
第四章では、キャラ化が進む社会との向き合い方が述べられていた。
同質者の集団の中に居続けることは、「異質排除」の恐怖におびえ続けなければならない。
ゲートを異質な世界に向けて解放し、積極的に異質な人に出会い「不気味な自分」と向き合っていくことで、脅迫観念から解放される。
発行:2009年6月
難易度:★☆☆☆☆
ページ数:63ページ

【本のテーマ】
価値観が多元化した社会で感じる閉塞感。気遣いに満ちた「優しい人間関係」のなかで圏外化におびえる恐怖感。ケータイやネット、家庭から学校といった日常は、過剰な関係依存と排除で成り立っている。子供たちにとって、現実を生き抜くための羅針盤、自己の拠り所である「キャラ」。
この言葉をキーワードに現代社会の光と影を読み解き、「不気味な自分」と向き合うための処方箋を示す。
【キーワード】
圏外、スクールカースト、KY、キャラ、キャラを演じる、キャラが被る、個性、人間関係のフラット化、外キャラ、内キャラ、大きな物語、宿命主義、排除型社会、「不気味な自分」
【目次】
第一章:コミュニケーション偏重の時代
第二章:アイデンティティからキャラへ
第三章:キャラ社会のセキュリティ感覚
第四章:キャラ化した子供たちの行方
【概要】
第一章では、秋葉原無差別殺人事件や、ケータイを通したコミュニケーションをとりあげ、「人間関係格差」や「人間関係のカースト化」について述べられていた。
個別に狭小化した日常世界の中で、予定調和の世界から出ることなく、相補関係を傷つけないような対立は表面化しないように慎重に回避する。(=優しい関係)
また、中曽根内閣のもとで、「個性重視」の教育になったことにより、
価値観がより多様化し、身近なその場の周囲の評価をより気にする「空気を読む」コミュニケーションが増えた。ということがのべられていた。
第二章では、外キャラ(キャラ)と内キャラ(=アイデンティティ)に分類し考察していた。
外キャラとは、大きな物語を外れた、二次創作的なイメージことであり、それを演じることで、その場その場に合わせた行動や発言で、グループ内のよどんだ空気を活性化させる役割がある。その反面、欺瞞的で一面的な自己であり、一貫的な自己ではない、と感じることもある。それに対する内キャラは自分のアイデンティティとなる部分であり多面的で複雑である。しかし近年、若者の間で、そのアイデンティティもキャラ化しようとする傾向があり、「宿命主義」という、自分の内面も固定化してしまい、変えようとする努力を放棄する傾向がある。
第三章では、青少年犯罪を例に犯罪者を社会から切り離す傾向の強まりを考察していた。
子供を犯罪から守るためにセキュリティや監視を厳重にしても、内側から犯罪要因が発生してしまう。それを発見する度にゲートの内側から外側へ排除するのは、根本的な解決方法ではない。犯罪者の背景について考える傾向が弱まり、犯罪者も「キャラ」とし、個人の性格に原因をもとめる傾向が強まっている。
第四章では、キャラ化が進む社会との向き合い方が述べられていた。
同質者の集団の中に居続けることは、「異質排除」の恐怖におびえ続けなければならない。
ゲートを異質な世界に向けて解放し、積極的に異質な人に出会い「不気味な自分」と向き合っていくことで、脅迫観念から解放される。
【感想】
薄い本だったので、逆にまとめるのが難しかったです。
印象に残ったのは、著者が、身分制度の両面性を述べていたことです。
身分制度には、選択の余地がない、自由がない、という負のイメージを抱きがちですが、逆に身分制度がなく選択が自由になったことで、自己の拠り所を見失い、存在論的不安定に陥ってしまう。という話がありました。だから、現代の若者は自己の拠り所を決めてくれる「宿命」的な何かを求め、それが「キャラ」として表面化している。という話は大変説得力がありました。
現代社会は表向きは身分がなくなり、「自由だ」という認識でありながら、実際は「宿命」的ものが存在し、結局少なからず選択できない格差が存在している。(イケメン、ブサメン、モテ、非モテなど)
という感想を抱きました。
全編を通してアイデンティティについて考えられる本でした。
【個人的理解度】
50% 薄かったので理解が浅いかも。
【個人的評価】
70点 キャラをキーワードにしたテーマが核心をついていると思いました。
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