2013年8月21日水曜日

100冊読書 16/100 『前田敦子はキリスト教を超えた~<宗教>としてのAKB48~』濱野智史

読破っ!!
『前田敦子はキリスト教を超えた~<宗教>としてのAKB48~』濱野智史(批評家)ちくま新書
発行:2012年12月
難易度:★★★☆☆
ページ数:205ページ

 【本のテーマ】
AKB48になぜ多くの人が魅力されているのか?なぜ前田敦子がセンターだったのか?
AKB特有のシステムを読み解くことから、その魅力と社会的な意義を、
キリスト教という<宗教>の観点から考察する。

【キーワード】
アーキテクチャ、利他性、超越性、純粋匿名性批判、相対主義の絶対化、資本主義の「搾取と疎外」、リアルの身体とネットの身体、偶然性、キャラ的暴力(認知の暴力)、秩序の経済、否定神学、
(AKB48キーワード)
アンチ、握手会、握手、良対応、劇場公演、レス(目線)、コール(声援)、推しメン
 
【目次】
はじめに
序章:AKBは「いま・ここ」にある宗教である
第一章:前田敦子はキリスト教を超えた
第二章:なぜアンチに耐えられるのか
第三章:なぜ人を「推す」のか
第四章:AKBは世界宗教たりえるか
あとがき
 
 【概要】
序章では、 なぜ著者がAKB48を<宗教>という側面から論じようと考えるのかを述べていた。
また、法(恋愛禁止)・経済(AKB商法)・政治(総選挙)などのシステムが社会の縮図としての特徴をもっていることについても述べていた。

第一章では、AKB48と前田敦子が世間にどのように受け入れられていったかがのべられていた。
震災支援の活動と、「私は嫌いになっても、AKBのことは嫌いにならないで」発言に共通してみられる「他利性」を取り上げ、AKBの肯定的認識が広まっていく過程を述べていた。また前田敦子はセンターとして、多数の「アンチ」と向き合い、特にネット上の批判を「純粋匿名性批判」として、目をそらすのではなく、真摯に受け止めて成長していったことにより魅力が増したと述べていた。

第二章では、前田敦子がアンチをどのように乗り越えたのかについてAKBのシステムから述べていた。握手会や講演会、総選挙、全体を通して、「近接性」によるファンとメンバーの相互補完的関係、つまりAKBメンバーがファンを勇気づけ、ファンがAKBメンバーを支えているというフラットな関係が大きな理由のうちの一つであるとのべていた。マルクスの資本主義の原理に「搾取と疎外」というものがあるが、その2つの原理のうちの「疎外」をなるべく緩やかにしようとする動きが「AKB48」であると述べていた。

第三章では、ファンがなぜAKBに魅力を感じハマていくのかについて述べていた。
自身の経験から、劇場公演の観覧位置がビンゴで決まるという「偶然性」を述べ、「近接性」の高いコミュニケーション(目線が合う、声が届く)を通し、一方的に片思いをしているような疑似恋愛的感情を抱く。と述べていた。その感情は恋愛のようであったり、家族のようであったり、成長を見守る気持ちである。そのため、「センター」に来るのは、もっとも成長しそうな「ぽんこつ」となるようなシステムであると指摘していた。

第四章では、AKB48の宗教性について述べていた。
AKB48の持つ「近接性」と「偶然性」が人々に「生きる意味」を与える宗教的役割を担っている。と述べていた。また、今後の展開として、「世界宗教となりうる要素」として、①「ロングテール型アイドル」(メンバーがたくさんいて、自分の好みを選べる)②「選挙がもたらす正当性」の二点をあげていた。


【感想】
僕はAKB48の流行りについていけていなかったのですが、著者自身の、AKBにはまってしまった1ファンとしての視点と、学術的な視点とを掛け合わせた斬新な本だと思いました。アイドル、というものが「キャラ」を売っているという点は、宗教における「神」と同じように、皆で作り上げた「偉大な存在」として共通する点が確かにあると感じました。著者が「サリンをまかない新興宗教」のニーズにこたえる形としてのAKB48を語っていたのが、衝撃的で、鋭いと感じました。
また、ネット上の匿名批判は「無視するべきもの」というのが従来のネットリテラシーの常識であったのが、AKB48のメンバーはそれらの「無意識的で純粋な」批判に真摯に向き合うことを求められる。というような主張は、自分のこれまでの「匿名批判」の捉え方を見つめ直させられました。そして、若い世代で人気がある、ニコニコ動画におけるパフォーマンスも、リアルタイムな匿名による無意識的な純粋批判に触れる機会が多いと感じ、AKB48と共通する社会の風潮に気付きました。
「成長しうる無能者」をトップに立てるという「ポンコツポピュラリズム」に関しても、最近ブームとなっている、「ゆるキャラ」(悪く言えば無能な存在)が市や県などの責任のある公共機関のイメージを背負っているという現状に少し似ているのではないかと感じました。「無能なキャラ」を立てることが、組織の活性化につながり、組織内外ともに親近感を与えやすいのだと感じました。しかし、本の中にもあったように、「人間」は成長するが「キャラ」は成長しない。と言う点で、AKB48のメンバーはファンが期待する「キャラ」と、自身の「人間性」との間で板挟みになっているのではないか、という想像も働きました。

【個人的理解】
50% ところどころ出て来るキリスト教に関する学術的論説は専門的すぎて難しかったです。
【個人的評価】
70点 タイトルからのインパクトが大きく、AKBをとりまく現状を知ることができ、今の若い世代についてと、とこれからの未来について想像することができました。

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