『わたしが正義について語るなら』 やなせたかし(作家)
発行:2013年11月 ポプラ新書
難易度:★☆☆☆☆
資料収集度:★☆☆☆☆
理解度:★★★★☆
個人的評価:★★★★☆
ページ数:158ページ
【本のテーマ】(表紙裏より抜粋)
正義とはなにか。絶対的な正義なんてないし、正義はある日逆転する。正義のためには悪い人がいなくちゃいけないし、悪人の中にも正義がある。正義を生きるのは大変だけれども、その中で僕たちが目指すべき正義とは――。私たちの絶対的なヒーロー「アンパンマン」の作者が作中に込めた正義への思い!
【目次】
はじめに
第一章 正義の見方って本当にかっこいい?
第二章 どうして正義をこう考えるようになったのか
第三章 正義の戦い方
第四章 ぼくが考える未来のこと
【概要】
第一章 正義の見方って本当にかっこいい?では、
アンパンマン誕生のエピソードが書かれていた。力があるものが正義なのか、当時流行っていたスーパーヒーローの在り方に疑問を持っていた作者が、絶対に変わらない正義は「愛と献身」である、と考え、アンパンマンの誕生につながったというエピソードが書かれていた。
また、悪い人というのも、本当に根っからの悪なんて存在していなくて、「仕方ない悪・必要悪」というものが存在する、ということを絵本の世界に描いた、その作品について述べられていた。
第二章 どうして正義をこう考えるようになったのかでは、
作家としてのやなせたかしの生い立ちが書かれていた。最終的に「アンパンマン」を誕生させたのは50代近く。それまでは、舞台構成作家やキャラクターデザインの仕事をこなしていた。人から頼まれれば、自分がやったことのない世界にもあえて飛び込み、それがまた次の仕事を呼び込んでいた。「アンパンマン」の原型となる絵本「あんぱんまん」を出版した当初は、自分の顔を食べさせるという設定が親から不評で、出版社からも売れない。と言われていた。しかし、その予想に反して3、4歳くらいの子供からとても気に入られ、絵本がボロボロになるまで読まれたというエピソードが書かれていた。
第三章 正義の戦い方
アンパンマンで描きたかったのは、「正義を行うには自分が傷つく覚悟が必要である」ということ、そして、「正義を行う時には人を巻き込んではならず、戦うときには自分一人だと思わなくてはならない」ということ(だから「愛と勇気だけが友達」という歌詞を作った)。傷つくことを恐れて悪を見逃すと、世の中がどんどん悪くなっていってしまう。ということなどを語っていた。
作家としてうまくいった理由として、自分には才能がないということを自覚しながらも、「虚仮の一念」(愚かでありながらも、やり続けること)が大切だと述べていた。その一方で、一つだけでは頼りないので、何かほかに「武器」を持っておくべきだ。とも述べていた。つまり、「一番好きなこと」以外にもう一つ何かできるようになることで、「付加価値」をつけることができる。と述べていた。やなせさんの場合は漫画家という「一番好きなこと」に、詩や童話の世界を加えたことで「やなせメルヘン」が生まれた。
第四章 ぼくが考える未来のこと
戦争はよくない。国同士のいさかいに国民が巻き込まれてしまうから。しかし、やなせさんはそれを声高に叫ぶのではなく、そのようなテーマを面白く、楽しく伝えたいと思ってきた。
「全ての美術、全ての文化は、人を喜ばせたいということが原点で、喜ばせごっこをしながら原則的には愛別離苦、さよならだけの寂しげな人生をごまかしながら生きている。」と述べていた。
【感想】
良い話やった。。アンパンマンに関するエピソードが、誕生させたときの思いとか、発売当初は批判が多かったけど、子供たちが理解してくれて、人気が出たとか。随所に深い話が多かったです。
「正義」という言葉は難しいし、何が正しいかというのは答えにくいですが、「飢えている人にご飯を与えるのは、『正義』だ」というやなせさんのメッセージはすごく真理だと思いました。
「愛と献身」が絶対的な正義であり、その正義を実行するには、自分が傷つくことを覚悟しなければならない。しかし、その戦いに人を巻き込んではならない。自分一人で戦っていると思うべきである。、、、そんな全ての言葉が胸に突き刺さりました。
そして、そんな深くて真摯なメッセージを、「楽しく、面白く」をモットーに表現し、伝えようとする姿勢がかっこよすぎます。
「アンパンマン」が軌道に乗り始めても、毎年見る赤ちゃんは変わるから、「今年の赤ちゃんにはうけるかな・・・」と不安な気持ちを持ちながら常に新しい気持ちで臨んでいた、というお話も、赤ちゃんという「顧客」に真剣に向き合っている姿勢が伝わってきました。
「虚仮の一念」という言葉も奥深くて、本当は「虚仮の一念、岩をも通す」という仏教の言葉らしく、
愚かでも願い続ければきっと夢が叶う、というメッセージであるとともに、それでも、一つだけでは不安定だから、何かほかに「武器」を持ちなさい、というメッセージも、すごく的を得ていると思いました。
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