2014年2月3日月曜日

62/100『これからの中国の話をしよう』 原田曜平・加藤嘉一


読破っ!!
『これからの中国の話をしよう』 原田曜平(博報堂)・加藤嘉一(コメンテーター)
発行:2013年8月 講談社
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★★
ページ数:324ペー


【本のテーマ】(表紙より抜粋)
好き嫌いではなく、私たちは不可思議な隣国とどう付き合うべきか
「中国でいちばん有名な日本人」vs.「日中若者研究の第一人者」現場で格闘中の若き論客ふたりだから語れる「ほんとうの話」


【目次】
はじめに 加藤嘉一
中国地図
第1章 中国を好き嫌いで見るな
第2章 「八〇後」をどう見るか
第3章 ほんとうの新人類「九〇後」の世界
第4章 不公平という不安要因
第5章 共産党と民主化をどう読むか
第6章 地域が変われば文化も変わる
第7章 中国人の金持と中間層
第8章 中国人が感動する日本
第9章 中国人との付き合い方
第10章 企業はこんな中国人を雇え
第11章 現場に自ら足を運ぶということ
第12章 グローバルな世界で
第13章 八〇後の子どもが大人になったとき
おわりに 原田曜平

【概要】
はじめに 加藤嘉一
第1章 中国を好き嫌いで見るな
 1980年以降生まれの中国人=「八〇後」は、中国独自のソーシャルメディアを日本の若者がtwitterやfaceboookを使うのと同様かそれ以上に使っており、日本の若者と共通するところがある。しかし日本人は反日デモなどの中国人に関する悪い報道の影響で怖がったり嫌ったりしている人が多いが、中国語マーケティングの対象や顧客として考える際には「好き」「嫌い」などの感情よりも、どのようにつきあっていくかこそを考えていくべきである。
他にも、加藤さん、原田さんそれぞれの来歴が語られていた。

第2章 「八〇後」をどう見るか
 「八〇後」の特徴、時代背景(一人っ子政策開始後世代など)、特徴的な人(韓寒など)、流行語(「吊丝」など)、彼らの思い描く理想のキャリアなどについて語られており、競争が激しくGDPは急成長していても、個人的には豊かさを感じられない人が多い、ことなどが書かれていた。

第3章 ほんとうの新人類「九〇後」の世界
 1990年以降生まれの中国人=「九〇後」の特徴、流行語(「残脑」、「非主流」など)、特徴的な人(劉著、郭美玲、蘇紫紫など)、八〇後との違い(更なる多様性、ネット民の多さなど)、などについて語られており、八〇年代が以前の価値観と新しい価値観に挟まれた「ボーダー世代」であるのに対し、九〇後は、より開放的な価値観を持っている。と語られていた。

第4章 不公平という不安要因
 「我爸是李刚」事件(偉い人の子供だから罪を間逃れることができてしまう)について、「~二代」という言葉が象徴するような、身分格差が存在している現状、逆に少数民族だからこそ「加分」(優遇措置)がとられるというなどの、さまざまな不公平について語られていた。

第5章 共産党と民主化をどう読むか
 「一人独裁」とは違う「一党独裁」について、「一党独裁」ということは、「失敗は許されない」ということである。ということや、そんな政治体制の下で、どのような行動が規制・処罰の対象となるのか。について語られていた。

第6章 地域が変われば文化も変わる
 「中国」をひとくくりに語るのはほぼ不可能であること、都市と地方の違い、まだ日本人が知らない可能性を秘めた地方についてなどについて語られ、ビジネスを行う際には、いきなり都市でするのはリスクが高すぎるから、まずは台湾や香港で手ごたえを掴むのがよいと述べられていた。また、日本と同じ感覚で、東京でうまくいったから、同じ方法でそのまま全国に広める、という手法が通用しないことが多く、地域地域に合わせたやり方をより多く求められる。

第7章 中国人の金持と中間層
 多くの富裕層が国外に移民している現状とその理由、日本はかつて「一億総中流社会」と言われたほど「ミドル層」が分厚かったので、そこを対象にするのは得意だが、富裕層を対象にするのはまだ得意ではない、などが語られていた。

第8章 中国人が感動する日本
 日本人は中国人よりも「集団行動」が得意であると評判であること、その原因のひとつに、「文武両道」を義務教育の中で目指していること、そのことにより「部活動」文化が根付いている事などがあげられていた。日本人学生はチームワークなどの共同作業が得意で、中国人学生はプレゼンテーションやディベートなどの発言が得意、という傾向があり、お互いに学ぶべきところがある。

第9章 中国人との付き合い方
 親しさを「1~10」の段階に分けるとすると、中国人の付き合い方は「1~3」もしくは「8~10」というようなどちらかの極端な関係が多い特徴をもつのに対し、日本人の付き合い方は「4~6」という微妙な関係が多いという特徴を持つ。中国人は「足し算的発想」で相手を喜ばせることを考えるが、日本人は「引き算的発想」で相手に迷惑をかけないことを考える傾向がある。他にも、中国人は「性悪説」的であり、人を疑ってかかるのに対し、日本人は「性善説」的に信じてかかる傾向がある。日本にある「空気」文化について、中国で現れるのは、奢りあいの中で「誰が奢るか」ということを、「誰がお金を持っているか」を探り合う、という意味で空気を読み合っていると述べていた。また、中国の「面子」文化について、自分が相手に対して良くした分の見返りを無意識で期待しているので、相手がしてくれたのと同程度(かそれ以上)返さないと、不快な思いをさせてしまう。などのエピソードが語られていた。

第10章 企業はこんな中国人を雇え
 有名大卒業の中国人は、日本の大企業以外には来たがらないので、中堅大学などを採用することで、「自分を採用してくれた」という忠誠心を持ってもらうことができる。また、中国人留学生は中国の現状を知る助けとなる。現地採用は日本人と給料の差が生じ不満を抱かせやすい。ということなどが語られていた。また、日本の国際学部などについても、結局日本人学生で固まってしまうところよりも、辺鄙なところにある一種の閉鎖空間で国際交流をしている大学(APUなど)の方がグローバル感覚を身に着けた学生が多い。などが語られていた。

第11章 現場に自ら足を運ぶということ
 中国が人脈社会であること、現地にマーケティングに行った際は広い視野が必要であること、現地駐在にいても日本人だけで行動し、現地の感覚が身につかないことがある、ということ、ネットや留学生から現地の情報を得ることができること、そして、一番大事なのは「クロス」する能力で、国を超えて、業界を超えて、市場を超えて、中国を見る力である。と述べられていた。

第12章 グローバルな世界で
 中国人の方がグローバル意識が高いということ、前章の「クロス」の具体例としてのIphoneやエコブームにより、世界中の若者の間で共通の認識が生まれつつあること、そんな中で「フリーエージェント」という国や企業などの様々な枠を超えた「個人」として生きていくことの重要性について述べられていた。

第13章 八〇後の子どもが大人になったとき
中国は今後、経済成長を進めていくと同時に、コンパクト化を行っていくだろう。GDPがすなわち個人の幸せと直結しているとは考えず、バランスの良い発展を目指すだろう。少子高齢化が進み、資源問題が生じる。その際、日本が近い将来直面する少子高齢化への対処法から学ぶだろう。中国は公害などについても、表面化で日本の過去の似たケースを参考にして対策を考えている。

おわりに 原田曜平
加藤さんはまず中国メディアで有名になり、初めてテレビにコメンテーターとして出たとき、番組の最後のフリップに今後の日中関係への提言を書くべきところで、白紙のまま出し、「あえて提言を空白で出します。まずここでいったん考えを真っ白に戻して、『日本や中国はこうあるべきだ』ではなく、まずは等身大の相手を理解しようとして、この番組をそのための良い機会にしましょう。」と述べた。

【感想】
 濃かった。対談やから、さらっと読めるかと思いきや、濃い内容の発言が多く、また、どっちが発言しているのかを気にしたりして、結構時間がかかった。長い中国生活と、メディアにも出たことなどの「経験」をもとに話す加藤さんと、博報堂若者研究所でインタビューやアンケートで集めた「データー」をもとに話す原田さん、という特徴が見える対談でした。二人のそのような特徴が掛け合わさって、中国の「現状」が伝わってきました。
 これまでに読んで来た中国に関する本の重要な点がピックアップされていました。それまでに聞いたことのあるだけの情報を整理したり、新しい知識を知ることができる、良い本だと思いました。
今後中国に行く人にとっては、「バイブル」となりうる本でした。今まで読んだ中国に関する本の中で、「一番幅広く現状を経験とデーターをもとに語っている」本だと思ました。
 なにより、対話が「前向き」であることが好印象でした。日中関係というと、歴史認識や、文化の相違などによる不理解など、後ろ向きなことが多いのに、彼らはまっすぐに前向きで、日中関係の未来に希望を感じられる良書でした。
 内容濃すぎたので、一回読んだだけでは内容を整理しきれません。また読み直したいです。

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