『オトコの仮面消費』 マッキャンエリクソン 大沼利広編著
堀井武宏、村口賢一郎、山下大輔、松浦孝行、有馬未来子 著
発行:2013年7月 ビジネス社
難易度:★★☆☆☆
資料収集度:★★★★☆
理解度:★★★★☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:256ページ
【本のテーマ】(表紙帯より抜粋)
男ゴコロのマーケティング。~ワタシとオレとボクが買う、その理由~
デキる男を演出、モテるための背伸び、面白いやつを装う・・・。
タテマエやプレッシャーから生まれる男の仮面消費。
オトコたちの多彩な仮面と隠されたホンネ。オトコを動かす消費のメカニズムに迫る。
男ゴコロのマーケティング。~ワタシとオレとボクが買う、その理由~
デキる男を演出、モテるための背伸び、面白いやつを装う・・・。
タテマエやプレッシャーから生まれる男の仮面消費。
オトコたちの多彩な仮面と隠されたホンネ。オトコを動かす消費のメカニズムに迫る。
【目次】
はじめに
Part.1 オトコの買い物
Part.2 オトコの仮面消費
一章 ビジネス仮面――なんだかんだ言っても、オトコは仕事が大事
二章 恋愛仮面――悲しいかな。男はいつだってモテたい
三章 父親仮面――パパだってオトコでいたい
四章 仲間仮面――オトコだって仲間と群れたい
五章 自分仮面――オトコだって自分に惚れたい
六章 素顔のオトコ――妄想とは男に必要な癒しである
Part.3 オトコを動かすモチベーション
おわりに
【概要】
Part.1 オトコの買い物
これまで消費のターゲットとして、女性にはよくスポットが当てられてきたが、男性にはあまりあてられてこなかった。男性が物を買わないというのは本当なのだろうか?男性は女性に比べてハコ物(家電製品)などの消費がある。また、「こだわり消費」などの特徴もみられる。そして、そのような消費の在り方、オトコの在り方も時代とともに変化してきている。物言わぬ大衆=「サイレントマジョリティ」としてのオトコという市場を考えていく。
Part.2 オトコの仮面消費
オトコの在り方を考えるときに、役割期待や周囲からのプレッシャーを「仮面」として捉えるのが効果的である。本書では、「ビジネス仮面」、「恋愛仮面」、「父親仮面」、「仲間仮面」、「自分仮面」の5つの仮面と、「素顔」に着目し、その特徴を述べていく。
一章 ビジネス仮面――なんだかんだ言っても、オトコは仕事が大事
仕事場において「デキル男」というイメージが変化しつつある。以前は仕事さえできていればよかったが、それに加えて、礼儀としての「清潔感」がより重視されるようになり、「アノニマス(匿名性)」という「無難さ」がスマートさを演出し、個を強調するより、集団の中で浮かずにうまくやっていくことが重視されている。その一方で、上司から部下への教育に避ける時間が減ったため、スキル習得や、オトナ文化を学ぶ機会が減ったことを自覚し、危惧している。そのような仮面を持つ彼らをターゲットとして狙う方法として、「清潔感の演出」から始まり、「スキル習得」や、「スキマ時間活用」、「オトナ文化」の習得などがマーケティングのキーワードとなる。
また、サラリーマンNEOのディレクター、島耕作の著者との対談が掲載されていた。
二章 恋愛仮面――悲しいかな。男はいつだってモテたい
オトコは「モテるオトコの条件」として、第一に「イケメンである」こと、第二に「話が面白い」ことをあげる傾向があるが、実際女性が求めているのは、性格であり、「一緒にいて楽しい」ことである。というアンケート調査結果を示していた。かつての「3高」(高収入、高学歴、高身長)という分かりやすい「モテる」基準が通用しなくなったため、オトコ達は試行錯誤を繰り返している。その結果「キレイ系レディーファースト優男」というイメージが作り出され始めている。その一方で、オトコ達の中での「オトコらしさ」は依然として悪ぶったハードなイメージが残っており、男女の間でギャップが生じている。そのような仮面を持つ彼らをターゲットとして狙う方法として、「ソフト面を磨く」方法を伝授する。新しいモテる基準「キレイ」「優男」を応援する。依然として残る悪ぶったイメージのオトコ像も推奨する。などがあげられる。
また、エッセイスト潮凪洋介氏、作家中谷彰宏氏との対談が掲載されていた。
三章 父親仮面――パパだってオトコでいたい
家庭の中における「父親」の役割が変わってきている。昔は父権的家族であったが、それがフラット化し、今ではネットワーク化している。そんな中、特に子供にとっての父親の存在は薄く、弱くなってしまっている。一方の父親は、父親であると同時に、自分自身も楽しみたいと考えている。父親として役割を果たしたいと思いながらも、そのやり方を学ぶ機会が少ない。そのような仮面を持つ彼らをターゲットとして狙う方法として、父親の子供心をくすぐり、親子で一緒になって楽しめるものを提供すること。大人の世界に子供を侵入させていくこと。などがあげられていた。
また、キッズシティジャパン(キッザニア)マーケティング、ワーク・ライフバランス代表、NPOファザーリングジャパン、雑誌プレジデントファミリー編集長との対談が掲載されていた。
四章 仲間仮面――オトコだって仲間と群れたい
オトコ同士が仲間とつるむのは、「共通の目的意識」があることが多く、スポーツであったり、ゲームであったり、協力して仮想敵を倒すことにやりがいを見出す。また、「ネタ」を共有することで繋がることもできる。協力するのを好む反面、その中にも競争意識が芽生えやすく、協力と競争をバランスよく行う傾向がある。そのような仮面を持つ彼らをターゲットとして狙う方法として、「つながり」と「競い合い」をバランスよさを見極める。共通目的や共通のネタを提供することで「つながり」を生む。などがあげられていた。
また、ゲーム「モンスターハンター2ndG」プロデューサー、TV「アメトーーク!」演出・プロデューサーとの対談が掲載されていた。
五章 自分仮面――オトコだって自分に惚れたい
オトコのこだわりは、「主張する」から「極める」へと変化する。モノに対して、その背景知識や歴史などに興味を示し、そのこだわりを持つことで自身のアイデンティティを高めることに繋がっている。
また、こだわりのモノを持つことで、自分の「オトナ」度を高める意味もある。そのような仮面を持つ彼らをターゲットとして狙う方法として、「こだわり」を満足させるように、より優れているポイントをはっきり示すこと。成長という名のストーリーを与え、「オトナ」を感じさせる。などがあげられていた。
また、雑誌「モノ・マガジン」の編集局長、インフィニティ代表の牛窪恵氏、ユナイテッドアローズの雑貨商品部部長との対談が掲載されていた。
六章 素顔のオトコ――妄想とは男に必要な癒しである
オトコがよくする妄想として、エロバカ妄想、ファイト妄想、ヒーロー妄想、ミリオネア妄想、パンドラ妄想(非日常の希求)、そのような仮面を持つ彼らをターゲットとして狙う方法として、それぞれの妄想を喚起・促進・満足させること。があげられていた。
また、日本テレビのボクシング中継担当ディレクター、「週刊SPA!」グループ統括編集長との対談が掲載されていた。
Part.3 オトコを動かすモチベーション
それぞれ見てきた「仮面」には二面性が備わっている。それを「タテマエとホンネ」として理解し、「本当にやりたいこと」や「理想の姿」を理解し、それぞれの仮面に対してストーリーのある商品を売り込むことが彼らの消費を促進することにつながる。
【感想】
マーケティング的視点だった!!
「オトコ」とひとくくりにしてしまうことに、若干抵抗はあったけど、それでも、現代の「男らしさ」とは何なのか?ということについて考えることができる本でした。
また、各章の対談がその分野の最先端で働いている豪華な人達で、説得力を与えていました。
それぞれの場面にそれぞれの役割が期待されており、また自身もその役割を果たしたいと思っている。そんな現代のオトコの姿を再確認させられました。
本の中で何回か出てきていたのですが、現代のオトコは、「理想の姿」と「現実の姿」に大きなギャップがある。ということが書かれていました。昔の「男らしさ」というイメージが捨てきれずに、かといって、そのイメージになることを実際に実行せず、「小ぎれいで、優しい男」に落ち着いているのが現状であると感じました。
いち男として、共感できることが沢山書かれていて、客観的に自分について考えることができる本でした。しかし、同時に、これは男に限った話ではないのでは?という風にも考えました。
本書の中でも「ボーダーレス化」が指摘されていたように、女性が男性化し、男性が女性化しており、男女限定せずに、現代の生き方について考えられる本でした。
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