2013年11月29日金曜日

読書マラソン41/100『さとり世代』 原田曜平

読破っ!!
『さとり世代~盗んだバイクで走りださない若者たち~』
 
原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)
発行:2013年10月 角川ONEテーマ21

難易度:★☆☆☆☆
資料収集度:★★☆☆☆
理解度:★★★★☆
個人的評価:★★★★☆

ページ数:243ページ



【本のテーマ】
ゆとり教育を受けた世代の若者の中で、特に、ムダな消費もムダな努力も拒否する若者たちを
「さとり世代」と名づけ、その特徴や性質を討論を通して探る。
全編さとり世代との議論を文字に起こして綴っていた。
後半では、バブル世代とさとり世代の議論を通して、価値観の違いを明らかにする。
 
【キーワード】
ゆとり世代、さとり世代、経験消費、いいね!症候群、コスパ、面倒くさい、イタイやつ、
少額ちょこちょこ消費、口コミ、既視感、友達親子
 
 
【目次】
まえがき
さとり世代年表
第一章 さとり世代の誕生
第二章 さとり世代のちょこちょこ消費
第三章 さとり世代は恋より友達を選ぶ
第四章 さとり世代と日本の未来
番外編 バブル世代vsさとり世代
あとがき
さとり世代用語辞典
【概要】
まえがき
2チャンネルの掲示板から生まれ、広まった「さとり世代」という言葉。
「ゆとり世代」が大人たちが命名した否定的・批判的な名前であるのに対して、
「さとり世代」は時代の特徴をよく表した名前であるとして広まった。
 
さとり世代年表
1992年から2013年までの出来事や流行、さとり世代によるコメントを掲載していた。
 
第一章 さとり世代の誕生(時代背景・基本的特徴)
さとり世代が発生した原因として、①長引く不況と②ソーシャルメディアの発達をあげていた。
以前のような見込み期待で「足し算発想」ではなく、リスク回避の「引き算発想」を行い、
また、ソーシャルメディア上で「ソーシャルメディア村社会」を数多く形成し、「空気を読む」関係を築いている。lineの登場がそれに拍車をかけている。
 
第二章 さとり世代のちょこちょこ消費(消費観)
さとり世代の消費は減少している。その理由は①不況によりお金自体が無くなっている②世代的には豊かな世代に生まれたので、お金にしがみつかない③「安かろうそこそこ良かろう」商品の普及④ソーシャルメディアの影響、の4つをあげていた。特に④の影響が大きく、人間関係が広まったことによる「お付き合い消費」が増え、「少額ちょこちょこ消費」が増え、以前のような「高額単品消費」を行いにくくなった。また、インターネット上のさまざまな口コミ情報により、「既視感」を得、経験したような気持ちになれる(=さとれる)ことが消費の阻害要因である。と述べていた。その一方で、「いいね!」を得るための消費や「思い出消費」や「ネタ消費」など、「物」よりも「経験消費」に価値を見出す傾向がみられる。
 
第三章 さとり世代は恋より友達を選ぶ(恋愛・結婚観)
ソーシャルメディアの影響により、出会いの機会は増えたが、その分恋愛の裏側を口コミで知る機会も増え、疑心暗鬼になり面倒を感じてしまう。そのため、「女子会」や「男子会」など居心地の良い同性コミュニティを重視するようになってきている。しかし、結婚願望や子供を産みたい願望はあり、「完全な男女平等を描かない」や「年上女性も狙う」などの方法で問題に向き合おうとしている。
家族観としては、親子の仲が良くなっていることが特徴としてあげられ、「友達親子」現象はさらに促進され、親子による消費も更にに広まっていくと予想される。と述べていた。
 
第四章 さとり世代と日本の未来(労働・政治意識)
出世心が強くなく、「そこそこの生活」を求める。職場に人間関係とワークライフバランスを求める。
夫婦で共働き(夫の方が奥さんより稼ぐ)を望む。などの傾向がある。と述べていた。
政治への不信感が強い。自分たちが政治を動かせるという感覚が無く、世の中の動きを傍観し、受け入れる。という態度である。と述べていた。
 
番外編 バブル世代vsさとり世代
バブル世代とさとり世代が恋愛観、消費観について価値観を述べあい、議論するようすを文字に起こしていた。バブル世代は消費を積極的に行い、それを競い合うことをゲーム感覚で行ってた。
さとり世代は教育については「ゆとり」であるが、バブル世代は就職に関してはさとり世代より遥かに「ゆとり」であると指摘されていた。
 
あとがき
「さとり世代」とは、「さとった風世代」であり、不景気で閉塞的な時代背景に適応して生まれた性格である。議論を通して見えてきたさとり世代の特徴を再度まとめていた。
 
【感想】
博報堂の若者研究所のリーダーの著書、NHKラジオで紹介されていたので気になって読みました。前編議論を通して「さとり世代」を言葉として認識することができました。
 
以前「中国は一昔前の日本みたいだ」っていう言葉を聞いたことがあって、それがこの本を読んで、ああ、こういうことか。って分かりました。
ブランドを買い求めたり、いい車を買おうとしたり、スキーウェアを毎年買い替えたり、
そういうことを「ゲーム感覚」でやっていた。というバブル世代の発言が印象に残りました。
中国の「面子」に関する本で「面子~中国人的权利游戏~(中国人の権利のゲーム)」という本を以前探していたので(結局手に入っていませんが)、バブル世代の日本人は、
中国人の「面子」的感覚を持っていたのではないかと思います。
バブル世代の価値観がまだまだ分からないのですが、「所有を競い合う」感覚は共通しているところがあると感じました。
しかし、就職に関していえば、中国は今すでに就職難の時代になっているので、
その点ではバブル世代とは大きく違っているのではないかと思いました。
 
全編通して議論のようすをそのまま書いていたのが、とてもリアルでした。
ただ、参加者は「大学生」なので、高卒の若者、中卒の若者とはまた価値観が違う、と書かれており、(中卒、高卒者の消費感覚は以前のものと似ている。)大学生の若者が「さとり世代」の特徴を持っている、と考えた方が的確であると考えました。
 
さとり世代が「空気を読む」ことに敏感な理由が、SNSの普及による、人間関係の多チャンネル化、流動化であるという指摘は的確であると思いました。場合場合によって、ここで表現できる「自分」(自分をどこまで出すか)を決める。ということを行っているのだと思いました。
 
【個人的評価・理解度】
自分の世代にとって「当たり前」であることを分析によって明らかにすることは、とても意味があることだと思います。最後のバブル世代とさとり世代の対話は随所にジェネレーションギャップが見られ、さとり世代の特徴がより実感できて面白かったです。

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