2014年6月2日月曜日

105/200『直観力』羽生善治(棋士)

読破!!
『直観力』羽生善治(将棋棋士)
発行:2012年11月 PHP文庫
難易度:★
感動度:★★
共感度:★★
個人的評価:★★
ページ数:210ペー


【本の紹介】(裏表紙より抜粋)
個性、持ち味を大切にすれば、悩み、迷いがなくなる。
無駄はない、「見切る」ことができるか、力を借りる、忘れること、客観的に見ること、
キャンセル待ちをする、思い通りにならない自分を楽しむ


【目次】

第一章 直感は、磨くことができる
第二章 無理をしない
第三章 囚われない
第四章 力を借りる
第五章 直感と情報
第六章 あきらめること、あきらめないこと
第七章 自然体の強さ
第八章 変えるもの、変えられないもの


【感想】
プロの将棋棋士である羽生さんが、人生を通して学んだ教訓がたくさん書かれていました。
一章の中の節ごとの文章が短いので、短い時間でも細切れに読める本でした。
しかし、ところどころハッとさせられる言葉が書かれていて。深いなぁ。と思いました。

いくつか深いなと思った言葉(概要)を紹介させていただきます。
自分なりの理解でまとめているので、本文とは少し違うかもしれませんので、気になる方は自分で読んでみてください!

モチベーションとは天気のようなものだ、しかし、モチベーションが上がらなくても、そんな中で必死に頑張ることが大切だ。

本来、将棋の世界では師は弟子に簡単に答えを教えない。もがき苦しみ、悩む弟子を師は暖かく見守る。そして、悩んだ末に答えを出すことが、弟子の成長に繋がり、そうして掴んだものは、簡単に答えを与えられてしまうよりも、長い間記憶の中で消えないからだ。逆に簡単に答えを教えてしまう、ということは、親切な事のように見えて、実はそうでないことがある。
将棋の世界に限らず、弟子は最終的には自分の力だけで生きていくという覚悟が必要だ。
そのためには、簡単に答えを得るのではなく、ベストではなくても、自分の納得のいく、自分らしい選択をすることが必要である。

ミスをしたときには、それまでの予定が狂ってしまい、焦り混乱しミスを取り戻そうとしたりして、さらなるミスをしてしまうことが多い。そんな時は、一息ついて、「自分は今、この盤面をもし「初めて」見たとしたら、自分はどんな手を打つか」と考えるのが良い。それまでの連続した局面を忘れ、新たな気持ちで落ち着いて局面に向き合うことで、さらなる失敗をしなくてすむ。

将棋とは基本的に自己否定のゲームである。現在の局面には否定的、しかし、全体としては楽観的。そのような態度で挑んでいる。人生においても、将来に否定的にならず、現状を楽観視しない姿勢が大切である。

将棋の世界も日々刻一刻と変化し続けている。棋士もそれに合わせて変化しないと、古くなり、淘汰されてしまう。しかし、かと言って、「急激な改革」をしたとしても、それはそれで失敗することが多い。少しずつ、長い時間をかけて、方向性を見失わないまま変化していくのが望ましい。

想像力と創造力について。想像力とは、過去から現在までの現状を分析し、そこから少し未来のことを想像する力。創造力とは、その想像した未来を実現するために具体的に行動に移すこと。その二つのサイクルを繰り返し続けることが大切である。

日本文化は、「水面下」を読むことを伝統的文化としている。短歌も俳句も、茶道も、将棋も、長い時間をかけて「よりコンパクトに」なり、現在の姿となった。そしてその「コンパクトさ」の中に、当事者がおかれた時間や世界観を読み取り、それを「追体験」することが日本文化の神髄であるといえる。現代における半導体技術の躍進、コンビニ文化の発達、Twitterなどにも、そこに共通する日本の精神が隠れている。

羽生さんが将来を思い描くとき、「こうなりたい」と思い描いていたものと違うものになることを理想としている。思い通りになると面白みがない。アクシデントや偶然や運、ツキなどによって変化する自分の周りの環境に対して、納得しながら変化する自分を楽しみたい。と述べていた。

104/200『輝く夜』百田尚樹


読破!!
『輝く夜』百田尚樹(作家)
発行:2010年11月 講談社文庫
難易度:★
感動度:★★
共感度:★★
個人的評価:★★
ページ数:210ペー


【本の紹介】(裏表紙より抜粋)
幸せな空気感溢れるクリスマスイブ、恵子は7年間働いた会社からリストラされた、さらに父さんの危機に瀕する弟になけなしの貯金まで渡してしまう。「高望みなんてしない、平凡な幸せが欲しいだけなのに」。それでも困っている人を放っておけない恵子は、一人の男性を助けようとするが――。
5編の泣ける奇蹟。


【目次】

第一話 魔法の万年筆
第二話 猫
第三話 ケーキ
第四話 タクシー
第五話 サンタクロース

【感想】
ロマンチックな短編集でした。
舞台はクリスマス、それぞれの主人公は女の人。
それぞれの話に情熱的ではないけれども、ほっこりするような恋愛のエピソードが描かれていた。
文章構成や話の構成も、一辺倒ではなく、それぞれ新しい描き方にチャレンジしている。
そういう印象を受けました。
「奇蹟」的な展開にどこか醒めてしまいながらも、でも、読むだけで人の優しさに触れられたような気がして、暖かい気持ちになれる本でした。

2014年5月10日土曜日

103/200『百瀬、こっちを向いて。』中田永一


読破!!
『百瀬、こっちを向いて。』中田永一(作家)
発行:2010年9月 祥伝社文庫
難易度:★
感動度:★★
共感度:★★
個人的評価:★★
ページ数:275ペー



【本の紹介】(裏表紙より抜粋
「人間レベル2」の僕は、教室の中でまるで薄暗い電球のような存在だった。野良猫のような目つきの美少女・百瀬陽が、僕の彼女になるまでは――。しかしその裏には、僕にとって残酷すぎる仕掛けがあった。「こんなに苦しい気持ちは、最初から知らなければよかった・・・!」恋愛のもつ切なさすべてが込められた、みずみずしい恋愛小説集。


【目次】

 百瀬、こっちを向いて。
 なみうちぎわ
 キャベツ畑に彼の声
 小梅が通る

解説 瀧井朝世

【感想】

読みやすかった!映画の予告見て、「桐島、部活やめるってよ」的な、甘酸っぱくて少し苦い恋愛ありの青春小説かな、と思って買ってみたけど、短編集だとは知りませんでした。けど、どの話も設定が面白く、登場人物の人間味もあり、さくさく読めました。
解説を読むと、さらに「確かに!」って思えるこの作品の良さが書かれていました。

僕的には表題作の「百瀬、こっちを向いて」よりも、「小梅が通る」の方が好きでした。(ページ数も4つの中で一番多かった。)解説にも書かれていたけど、全編に共通するのは、主人公が「人は外見、見た目」という現実の中でひっそりと生きている、という点。「小梅が通る」は、その世界観を逆側から描いていて斬新だと思いました。
華やかな世界での恋愛と違った、この世界観の中で描かれる「淡い思い」は、恋愛って名前を付けるべきなのかどうかよくわからないと思いました。
けど、人と人の心の交流が描かれていて、不器用なんだけど誰かを大切に思う気持ちが育っていく、という過程を読んでいくと、心が洗われるような気持ちになりました。

映画では「百瀬、こっちを向いて」だけを取り上げているようです、小説は本当に短編なので、
どう膨らませるのか、という点も気になるところです。けど、向井理主演って、ひっそり生きてる感半減やん。笑 と突っ込みたくなります。映画やから視覚的に綺麗になってしまうのは仕方ないか。
あとは、作者が服面作家というのも、気になるところです。

2014年4月27日日曜日

102/200『「残業ゼロ」の仕事術』 吉越浩一郎


読破っ!!
残業ゼロ」の仕事術』 吉越浩一郎(トリンプ元社長)
発行:2007年12月 日本能率協会マネジメントセンター
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:205ペー



【本のテーマ】(表紙帯より抜粋)
「早朝会議」「完全ノー残業デー」「がんばるタイム」ユニークなしかけを次々繰り出し、
19期連続の増収増益を果たしたトリンプ元社長が明かす常識破りの働き方


【目次】
第一章 御社の残業がなくならない理由 
第二章 問題はとにかく「分けて」考える
第三章 次に「会議」を変えていこう
第四章 「残業ゼロ」の達成まで
第五章 「速くて強い」チームの作り方
第六章 「仕事の常識」はこれだけ変わった
第七章 本当のワークライフバランス

【概要】
第一章 御社の残業がなくならない理由
 日本では残業が無くならない。これまでの日本の成長と躍進を振り返っても、残業に起因するいわば「ルール違反」のもとでなされたことである。また人々の間でも「残業は悪い事である」という認識が少ない。そんな現状を改善するには、「デッドライン」を明確に定めることと、トップが強引にでも「ノー残業」をすすめることが重要である。

第二章 問題はとにかく「分けて」考える
 業務上起こる問題に対しては、「緊急対策」と「再発防止」と「横展開」が基本である。その際には日本的「義理人情浪花節(GNN)」はあくまでロジックを支えるものとしてあるべきであって、GNNを重要視しすぎるのはよくない。問題はそのまますべてを把握するのではなく、「分けて」考えることが大切であり、分けてすぐに対策が必要なところからデッドラインを定めて手をつける。優先順位をいちいち考えるのは時間がかかるので、必要ない。キャパシティ=能力×時間×効率なので、時間を減らすことで効率を高めていくことができる。

第三章 次に「会議」を変えていこう
 「早朝会議」を実施し、朝の時間を一時間ほど使って、40ほどの議題を片付けていた。この会議によって状況を共有し、解決すべき課題を明確化し、解決へのプロセスを共有化することができ、細分化された課題のデッドラインを定めることができ、その結果残業を減らすことに繋がった。

第四章 「残業ゼロ」の達成まで
 早朝会議も残業ゼロも他の会社のシステムを参考にしたものであり、「TTP(徹底的にパクる)」姿勢が大切である。「ノー残業デー」を実施し始めた頃は、社内での反発が大きかった。「残業は正しい事である」という意識が強かったからである。しかし、諦めずに残業を取締り、どうしても残業しないといけない場合はなぜ残業しなければならなくなったのか、という「反省」を徹底させたり、更には罰金をとるようにしたり、徹底することにより、週一回だけだったのが週2日になり、最後には完全「ノー残業」を達成することができた。
 著者が「ノー残業」を達成させたかった背景には、効率化を図ると同時に、仕事は人生の一部でしかなく、仕事後の夜の3時間を自分の人生のために投資してほしい。という思いがあったからである。

第五章 「速くて強い」チームの作り方
 会社で行った様々な工夫と革新的な制度の取組について述べられていた。 リーダーは常に変化に向き合い変化を求め続け、会社にとって正しい事とは何かを考え続けることが必要である。リーダーシップを磨く前に、フォロワーシップを磨くことが大切である。フォロワーシップが磨けている人は、現場のことをよく理解しているため、リーダーシップも発揮しやすくなる。フォロワーシップとは、ただ従順になるのではなく、この指示にはどんな目的があるのか、なぜ今するのか、など、リーダーの気持ちを考えながら命令に従うことが大切である。
 トップダウンの組織は早くて強いが、強いリーダーとワンマンは違う。ワンマンは下から集めた情報を独り占めしてしまうが、強いリーダーは情報をオープンにし、決定のプロセスに積極的に周りを関わらせていく。

第六章 「仕事の常識」はこれだけ変わった
 日本人は出る杭は打たれるという発想が染みついており、野性味を失ってきてしまっている。
形式知と暗黙知の違いを理解し、暗黙知を先輩や周囲からTTP(徹底的にぱくる)により習得することが大切。仕事に対して自己実現や夢、または人生そのものと捉えることは良くない、逆に足枷になることもある。それよりも仕事はお金のためである、と割り切り、「何が会社にとって正しいか」という判断基準を持つことが大切である。

第七章 本当のワークライフバランス
 ワークライフバランスとは、「仕事と人生のバランス」と捉えがちであるが、仕事とは人生の中の一部分にしかすぎないので、「仕事と仕事以外の生活のバランス」と捉える方が良い。定年退職後から余生(本生)が始まるので、それまでに夜の時間を使って、その人生のための準備をする必要がある。だから、残業はより好きない方が良い。

【感想】
 「残業が悪である」という発想が意外でした。しかし、他の国で働いたことのある著者の体験談を読むと、確かに、日本の残業観は以上なのかもしれない。とも思いました。
著者が会社の社長として、「残業ゼロ」実現のために実施した制度と、それに至るまでの考え方は、合理的であり実践的であり、リーダー等関係なく、人生の教訓であると思いました。
物事を細かく細分化して把握し、それぞれにデッドラインを設けて確実に、効率よく処理していく。
そんな仕事のやり方が実現できれば、無駄が極力省かれるんだな。と理解しました。
そして、「残業ゼロ」にこだわる理由に、仕事は人生の一部でしかなく、退職後の人生をより豊かなものにしてほしい。という思いがある、という著者の人間性を尊敬しました。

また、形式知と暗黙知という表現もすごく深いと思いました。知識としてしっているだけではだめで、
暗黙知というものを現場から学び取って吸収していかないといけないと思いました。

まだ研修中ですが、これまでの自分の時間の使い方を見直し、夜の三時間を、仕事を含めた自分の人生のために使おうと思いました。

2014年4月19日土曜日

101/200『戦略的な人の超速☆仕事術』 西村克己


読破っ!!
戦略的な人の超速☆仕事術』 西村克己(芝浦工業大学大学院 教授)
発行:2008年2月 中経の文庫
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:191ペー


【本のテーマ】
仕事が速い人は皆戦略的である!
要領が良い人、手際が良い人、仕事が速い人など、周囲にすいすいと仕事をこなす人はいませんか。別にさぼっているわけではなく、がむしゃらに働いているわけではない人。自分もそうありたいなと思う人がいたら、その人をよく観察してみてください。要領がいい秘密がきっとあるはずですから。

【目次】
第一章 仕事が早い人はタイムマネジメントがうまい
第二章 無駄取りでスピードアップ
第三章 いつも余裕がある人の情報収集
第四章 整理の技術が仕事の密度を上げる
第五章 コミュニケーション力を高めて、仕事を円滑に進める
第六章 スムーズに説得するための企画作成法
第七章 戦略的に仕事を進めよう

【概要】
第一章 仕事が早い人はタイムマネジメントがうまい
 「自分時間」と「他人時間」を意識し、「自分時間」を増やす、納期に追われるより、「ゆとり」を持って納期を追いかけよう、「一日三分割法」で仕事にメリハリを。優先順位を明確にして、一つ一つ完了させる、自分のゴールデンタイムを持つ

第二章 無駄取りでスピードアップ
 「ダラリの法則」でムリ・ムダ・ムラを分析し、なくそう。「捨てる技術」で付加価値の高い仕事に集中する(「ECSR」(捨てるeliminate,統合combine,置き換えreplace,簡素化simplify))、「頑張りの量」よりも「アウトプットの量」を増やす、ペイオフ・マトリックスで優先順位を決める、時間の「見積もり」や標準時間を知ろう、

第三章 いつも余裕がある人の情報収集
 キーワード検索などインターネットを駆使し、単なる情報収集から「選択・加工・洞察」の3つの力をさらに磨く。本や新聞を読む時は全部読もうとせずに、関心があるもの、興味があるもの、知りたいと思うところだけを部分的に読む。

第四章 整理の技術が仕事の密度を上げる
 整理整頓の四大プロセスとして「捨てる・集める・置き場所を決める・維持する」の4つのサイクルがある。頭の中の情報整理法として、「キーワード化」・「グルーピング」・「階層化」・「ナンバリング」などがある。「捨てる」ものも、「一時廃棄」として、一定期間おいておくのが良い。

第五章 コミュニケーション力を高めて、仕事を円滑に進める
 コミュニケーションは双方向、話し上手より聞き上手になろう、返事はなるべく早く、マジックフレーズ(クッション言葉)を使おう、伝えたいことは箇条書きにしよう、「報連相」で上司とのベクトルを合わせよう、Win-Winの関係を築こう、「ジョハリの窓」に示されるように「未知の自分」を開拓しよう、脳タイプ分類による自分や他人のタイプを知ろう。

第六章 スムーズに説得するための企画作成法
 テーマ設定とコンセプトを明確化しよう、ブレーンストーミングを活発にしよう(5つのルール①既成概念や常識を捨てる、恥ずかしがらない②何でもいいからたくさん出す③「三セズ」を守る(批判せず、議論せず、くどくど説明せず)④人のアイディアをヒントに発想する、⑤アイディアは箇条書きにして記録する。)、NASAが開発した思考プロセス「SEP」を行う(分析→総合(代替案の作成)→評価(決定含む)→文書化)、企画書の目次の雛形を理解する(イントロ・問題提起、テーマ設定、企画案の提示、企画案の評価、実行計画、付加情報)、シックスメソッド(相互図解、プロセス図解、階層図、マトリックス、表とグラフ、イラスト)、ピラミッドストラクチャ(言いたいことを3つに、結論を一つに)、相手の特質(レディネス)を理解する

第七章 戦略的に仕事を進めよう
 SWOT分析で自分を理解する、強みのなかの強み(コアコンピタンス)を伸ばして、プロを目指す。
会社の分類「ビジネスモデル創造型企業」と「付加価値創造型企業」、前者はフランチャイズ経営、マニュアル重視、より安い人を求める。後者はより稼げる人を求める。選択、差別化、集中の「3S」を意識する。

【感想】
 大変読みやすい本でした。図解が多く、思考法や概念の分類が分かりやすく書かれていました。
ゴールデンタイムの把握、ムリ・ムダ・ムラの分析、「ECSR」による捨てる技術、ブレーンストーミングの5つのルール、「ビジネスモデル創造型企業」と「付加価値創造型企業」の違いなど、これから考えていくべき新しい刺激をもらうことができました。
 以前読んだ「7つの法則」とかぶっている内容もいくつかありましたが(自主性、Win-WIn、相乗効果、など)違った言葉で、違った観点から同じ「原理」を見つめることができて、よかったと思います。

2014年3月28日金曜日

100/100『7つの習慣』スティーブン・R. コヴィー


読破!!
7つの習慣』スティーブン・R. コヴィー(実業家)
発行:1996年12月 キングベアー出版
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:492ペー


【概要】
「パラダイムと原則について」の要約
 ここ50年間のアメリカで「成功」について書かれている本には、表層的なテクニックを書いた「個性主義」な本が多い。しかし、問題を解決するには、根源的なところから解決する必要がある。始めの150年間に書かれていた本には、原理原則を深くまで内面化させる「人格主義」が多かった。蒔いたものしか収穫できない、という「農場の法則」のように、人生においてはまずは土台をしっかり作ることが大切である。
 土台を作るにあたり、「パラダイム」の存在を理解することが必要である。
パラダイムとは、世界を見る見方であり、私たちの認識、理解、解釈を決めるものである。先ほど述べた人格主義や個性主義も、ある現実についての理論、説明、モデルの一つである。それは、普遍的な「場所」へと導く「地図」のようなものであり、立場によって見え方が変わってくる「レンズ」のようなものである。またそれは、経験によって受ける条件づけによる影響を受け、行動や態度に直接的に結び付く。
 以上に述べた「パラダイム」が、大きく転換することを「パラダイム転換」と呼び、これまでの歴史的なパラダイム転換として、天動説から地動説への転換、ニュートンの物理学、王権から民主主義への転換などがある。一般的には病気や災害などに遭遇し、優先順位が突然変わるときや、新しい役割を引き受けたときに発生しやすい。
 「パラダイム」と「人格」は切り離せない関係であり、「人格主義」には人生を支配する「原則」が存在するという基本的な概念に基づいている。その「原則」とは、灯台のように動かない「場所」そのものであり、手法とはなり得ない、破ることのできない自然の法則である。いかに優れたパラダイムでも、原則より優れることはない。
 「個性主義」は、プロセスを踏まず、表層的なテクニックによる解決が多いため、最終的には落胆とフラストレーションにつながることが多い。
 「パラダイム転換」を行うためには、「インサイド・アウト」という概念が大切である。つまり、自分自身の内面(根本的なパラダイム、人格、動機など)を変えることから始める態度が必要である。「インサイド・アウト」では、私的成功が公的成功につながるという考えに基づいている。それに対して「アウトサイド・イン」とは問題の原因を周囲のせいにすることであり、その考えから抜け出せないでいると根本的な問題解決には至らない。
 「7つの習慣」を理解するにあたり、「習慣」というものについて理解する必要がある。思いが行動を作り、行動が習慣を作り、習慣が人格を、人格が人生を作る。習慣には引力があり抜け出しにくいものであり、効果的に使うことが求められる。習慣とは、知識・スキル・やる気の3つの要素から構成されており、それぞれが螺旋状の循環により成長・変化していく。「7つの習慣」とは、依存から自立、そして相互依存へと成長していくプロセスである。自立は私的成功につながるにとどまるが、相互依存は公的成功にまでつながる。相互依存にたどり着くには自立を経ることが必要である。第1・2・3の習慣は自立・私的成功に関わるもので、第4・5・6は相互依存・公的成功に関わるものである。第7の習慣は最新再生の習慣であり、第1から6までの習慣を循環的に高めるものである。
 「7つの習慣」は「効果性」の習慣である。つまり、「効果性」の定義とパラダイムに基づいている。効果性とは、目標達成・結果と、目標達成のための資源・能力の二つの側面を持つ。その二つのバランスを「P/PCバランス」という(Performance/Performance Capability)その関係を理解するための黄金の卵を産むガチョウの例えがある。黄金をたくさん産ませようとした結果、ガチョウが死んでしまい、黄金を二度と得ることができなくなる。そのようなバランスの失敗が物的資源・金銭的資源・人的資源それぞれにおいて発生する。


 第一の習慣 主体性を発揮する
 自分の行動や価値観を客観的に認識できるのは、人間特有の能力である。一般的に決定論として「遺伝子的決定論」「心理学的決定論」「環境的決定論」の三種類のパラダイムがあると考えられているが、刺激と反応の間に人間特有の「自覚・想像力・良心・自由意思」を働かせることで、物事の捉え方において「選択の自由」が生まれる。
 「主体性」とは、自分の人生に責任を持つことである。つまり、刺激に対する反応を選択することであり、そのことによって自分の人生をコントロールし、さらには周りの状況にも作用することができる可能性を持っている。「主体性」と同様に、「率先力」も重要である。「率先力」とは、自ら進んで状況を改善しようとする力である。
「率先力」を考えるにあたって、「関心の輪と影響の輪」という概念があり、自分の身近におこる問題には、影響の輪を二重円の内側の円として①直接的にコントロールできる②間接的にコントロールできる部分、そして③まったくコントロールできない、関心の輪が外側にある。自分がどの分野に集中しているのかを意識することで、積極的にエネルギーを活用できる。関心の輪においては「持つ」ことを意識することが多く、影響の輪においては「なる」ことを意識することが多い。理想としては、影響の輪に集中し、少しずつその輪を同心円状に広げていくことである。関心の輪に集中し率先力も発揮せずに、不満の原因を自己の外側に求め続けることは、選択の自由を放棄している、つまり自分の人生の責任を放棄していると言える。

第二の習慣「目的をもって始める」
 「全てのものは二度つくられる」という言葉が示すように、何かを作るときには設計図のような知的な第一の創造と、物的な第二の創造の二種類がある。人生においても同じで、人生の最後を思い描き自分にとって何が本当に大切なのか、目的を作ることが必要である。会社においても、第一の創造が会社の方向性などを決めるリーダーシップ、第二の創造が実際に問題を解決していくマネジメントとう二種類に分けられる。それを表した言葉が「マネジメントは物事を正しく行うことであり、リーダーシップは正しいことをすること」と言う言葉である。
目的を定める際には、自覚・良心・想像力を使って、ミッション・ステートメント(自分の憲法)を明文化すると良い。配偶者・家族・お金・仕事・所有物・遊び・友達・敵・宗教組織・自己などの項目において、自分がどの項目をより重視しているのか、自分の中の中心を再発見することができる。これらの項目のどれか一つを自己の中心に置くことは、バランスが悪く問題が生じるため、「原則」を中心に置き、それぞれの項目をバランスよくとらえることが大切である。
自己宣言・イメージ化によって「個人的、積極的に」「現在形のもの、イメージできるもの、感情を表したもの」を明文化、イメージ化することでより具体化される。作成するプロセスそのものが、できる文章よりも大切である。
あるホテルでは、ミッション・ステートメントを会社ごと・部門ごと・係ごとに共同で作らせている。「参加無ければ決意なし」の精神を実践しているため、従業員を監視する必要もないほどに、ミッション・ステートメントが浸透している。

第三の習慣「重要項目を優先する」
 第三の習慣は、自己管理し重要項目を優先する実行力である。「感情を目的意識に服従させる」ことをその本質とする。時間管理の方法の発展段階として、第一世代はメモ、チェックリスト、第二世代はカレンダー、第三世代は優先順位などの「能率的」を重視したもの、第四世代はP/PCバランスを維持するという長期視点に立った「目的達成」という順番に発展していく。時間管理のマトリックスとは、重要度の高低、そして緊急度の高低によって4つの事柄を領域に分ける。第一領域(重要度高、緊急度高)はストレスを与え、第三領域(重要度低、緊急度高)は人を反応的にさせ、第四領域(重要度低、緊急度低)は息抜き、堕落の範囲である。第二領域(重要度高、緊急度低)は、問題の根本解決において力を発揮するため、この領域に時間を割くことが必要である。第二領域に時間を割くために、他の領域に割く時間を削る、「ノー」という判断をする必要がある。第二領域の時間管理方法として①一貫性、②バランス、③第二領域への集中、④人間重視、⑤柔軟性、⑥携帯性、の6つを意識するのが良い。第四世代時間管理法として、①自分の役割を定義する、②目標設定(第二領域の内容を主にする)、③スケジュール化、④日々の対応、という順番で時間管理を行うのが良い。時間管理を実行する際に、「デレゲーション」という、仕事を他の人に任せる能力も必要である。デレゲーションには「使い走り型」と「完全型」の二種類あり、完全型を目指すのであれば、①望む結果、②ガイドライン、③使える資源、④責任に対する報告、⑤履行(不履行)の結果を相手に明確に伝えることが大切である。



相互依存パラダイム
 相互依存は自立が発展したものであり、自立において欠陥があればそこから慢性的な痛みが生まれ、それが原因で人間関係においても急性的な痛みを生じさせる。そこで必要なのは、上辺だけの応急処置ではなく、根源的な自立の徹底である。何をするかよりも、どういう人間であるかである。
 相互依存においてもP/PCバランスが重要である。「信頼残高」とは、ある関係において築かれた信頼関係のレベルを表す比喩表現であり、信頼残高のパラダイムを持つことが、公的成功の領域に入るための準備となる。「信頼残高」における注意点として、①相手を理解する。相手の価値観を尊重し、自己のパラダイムを押し付けてはならない。②小さなことを大切にする。どのようなことに傷つくかは人それぞれの感受性によるということに気を付ける。③約束を守る。守れない約束はせず、万一都合が悪くなっても、状況度外視で守る、もしくはきちんと相手に説明をすることが必要である。④期待を明確にする。目標と役割の誤解によって人間関係が悪化してしまう。⑤誠実さを示す。人のいないところで悪口を言うなど、二面性を持ってはならず、相手を騙したり、下心を持ったり、人の品位に合わない一切の話を避け、現実を言葉に合わせる努力を惜しまない。⑥(信頼残高を)引き出してしまったら誠意を持って謝る。しかし、同じ過ちを何度も繰り返してしまうと逆に誠意は伝わらなくなるということもある。
相互依存関係においてP/PCバランスのうちPに問題が発生した時は、PCを見直し、高める機会であるととらえることで、積極的に問題解決に取り組むことができる。


第四の習慣「Win-Winを考える」
 Win-Winを考えるにあたり、人間の関係における6つのパラダイムを考える。それは①Win-Win②Win-Lose③Lose-Win④Lose-Lose⑤Win⑥Win-WinまたはNo Dealの6つである。①Win-Winとは全員を満足させるに十分な結果があるはずだという考えを基本にしている。②Win-Loseは、外的な要因で価値が決まる考え方であり、家庭、学校、スポーツ、法制度などで脚本づけされることが多い。③Lose-Winは相手に好かれることに自分の価値を求めたり、降伏すること、お人好しになることであり、失望・恨み・幻滅などの抑圧感情を抱きやすく、それが表出すると病気や怒りに繋がってしまう。多くの経営者は②と③の間を振り子のように揺れ動いている。④Lose-Loseは、相手を負かすためなら自分が負けても良い、という考え方であり、⑤Winは自分の勝ちだけを考える考え方である。①~⑤までのパラダイムの優位性は場面・状況によって異なる。つまり、その場における「Win」の価値によって異なる。Win-Winよりさらに高次元の選択として⑥Win-WinまたはNo Dealがある。それは、Win-Win以外になるならば取引はしない、見送る。ということに双方が同意することである。
 Win-Winを考えるにあたって、人間の四つの性質(自覚・想像力・良心・自由意思)の全てを発揮することが求められる。Win-Winを支える5つの柱として、①人格②関係③合意④システム⑤プロセスの5つの要素がある。①人格とは、まずは「誠実さ」、つまり自分の「Win」を理解し、有意義な「決意と約束」をし、それを守り、自覚と自由意思をつけることで、自分自身に置く価値を高めることである。次に「成熟」、つまり自分の気持ちや信念を表現する「勇気(=P)」と、相手の気持ちや信念を尊重する「思いやり(=PC)」のバランスをうまくとることである。そして3つ目に「豊かさマインド」、つまり、一つのパイを奪い合うという「欠乏マインド」とは違う、無限の可能性、新しい代替案、第三案を探し求める精神である。②関係とは、信頼残高であり、信頼残高が高ければ相乗効果を生み出すことができる。③合意とは、実行協定であり、「望む結果・ガイドライン・使える資源・責任に対する報告・履行不履行の結果」のそれぞれを相手と共に明確に決め、合意することである。④システムとは、Win-Winを支えるシステムであり、つまり、不必要な競争を必要な協力へと変え、PとPCの双方を築くことで実行協定を支え、それを補完する環境を作り出すことである。⑤プロセスとは、Win-Winの結果に至らせるためのプロセスであり、1.問題を相手の立場から見る、2.対処しなければならない課題と関心事を明確にする、3.完全に納得できる解決にはどういう結果を確保しなければならないか、4.その結果を達成するための新しい案や選択肢を打ち出す。の4つがあげられる。
 Win-Winの関係とは、「人格」から発生し、「人間関係」により育成され、「実行協定」により形づけられ、「システム」の中で栄え、「プロセス」によって達成される。

第五の習慣「理解してから理解される」
 第五の習慣とは、「まず相手を理解するように努め、その後で自分を理解してもらうようにする」ことである。そのためには、話す、書く、読む能力に加え、「聞く能力」が重要である。聞く姿勢の中でも「感情移入して聞く」ことが最も高次元である。「精神的な空気」を相手に与え、信頼残高を高めることができる。その一方で、感情移入の傾聴により、相手に影響され、自分が傷つくリスクもあるが、相手に影響を与えるための前提条件として自分が相手に影響されることは必要不可欠である。ビジネスにおいては、商品を売るのではなく相手の立場にたって「解決」を売る意識が必要である。それと反対に位置する「自叙伝的」な自分の経験・評価の押しつけをする態度では、相手は心を開いてくれなくなってしまう。「感情移入の傾聴」を実践する方法として、1.話の中身を繰り返す、2.自分の言葉に置き換える、3.感情を反映する、4.2と3の両方をする。という段階で発展していく。古代ギリシャの哲学にも、①エトス(=個人の信頼性)、②パトス(=感情移入)、③ロゴス(=理論)という三つの概念が存在しており、それは現代でいう①人格、②関係、③プレゼン論理に相当する。

第六の習慣「相乗効果を発揮する」
 相乗効果とは、原則中心リーダーシップの中心であり、全体の合計が各部分の和よりも大きくなるということであり、それは各部分の間にある関係そのものも、一つの構成要素として存在している。また、相違点に価値を置き、それを尊重し、強みを伸ばし弱さを補完することである。それは、奉仕、貢献、より開かれた、信頼性のある、豊かで防御的でない、政治的操作などない、愛と思いやりにあふれた所有欲や裁きの心のない脚本により発揮される。相乗効果の発揮を日常的にするには、個人的な安定性、オープンな態度、冒険的精神が必要であり、曖昧さに耐え得る力が必要である。相乗効果を一度経験すると、それを再現したくなるが、うまくはいかない。それを昔の東洋の偉人は、「師を真似ることを求めず、師の求めたるものを求める」という言葉にした。
相乗効果を発揮する鍵とは、自分の中で相乗効果を発揮することであり、つまり、第1~第3の習慣の結果である。自分が客観的であるとか、人生は二分法であると捉えず、他者の視点を大切にすることで、他者に精神的空気を与え、その結果相乗効果が生まれる。
社会学者カート・レビン氏は、「場の分析」の中で、現在得られている結果は、抑止力と駆動力の均衡であると述べた。しかし、第4、5、6の習慣を実践することで、抑止力の力を弱めることができると述べていた。たとえ自分を否定する人に会っても、彼らを肯定し、理解するように努め、妥協ではない「中道」や、新しい「第三案」を探すことができる。

第七の習慣「刃を研ぐ」
 「刃を研ぐ」とは、①肉体的側面②精神的側面③知的側面④社会・情緒的側面の4つの能力を定期的に、一貫して、懸命に、バランスよく磨き、向上させることであり、P/PCバランスのPCにあたり、第二領域(重要度高、緊急度低)の部分へ意識を向けること、つまり、自分の人生への投資である。
①肉体的側面とは、持久力と柔軟性と強さを鍛えることであり、②精神的側面とは、自己と向き合い、個人のミッションステートメントや目標を明確にし、それを復習し、決意し直すことなど、③知的側面とは、テレビを賢く活用し、本を読み、自分の考えを書くなどである。この3つを「毎日の私的成功」と呼び、第1・2・3の習慣と関連が強いので、毎日一時間の時間を費やすようにすることが良い。④社会・情緒的側面は第4・5・6の習慣と関連が強い。実行するには、内的安定性と自尊心が不可欠であり、それらは1.
インサイド・アウトの誠実・廉潔、自分の習慣と自分の最も深い価値観を一致させた生活2.効果的に相互依存関係的生活3.有意義で人の役に立つ奉仕、の3つによってもたらされる。企業において「刃を研ぐ」とは①経済的側面、②人の才能の開発・活用・評価、③組織の目的・貢献の意味の発見、④人間関係、利害関係者との関係・従業員の扱い方など、がそれぞれあてはまる。これら4つの側面をそれぞれバランスよく磨き上げること(=Total Quality Control=TQC運動)が大切である。
 7つの習慣はそれぞれに相乗効果があるため、「良心」に基づき、「学び」「決意」「実行」の螺旋状の循環によって向上していくことができる。

【感想】
 会社の入社前課題として読みました!
自己啓発本としては、基本的な考え方から、目指すべき理想形まで、
段階を追って説明してくれていました。



感想と、今後どう生きていきたいかというのは課題で提出したので割愛させていただきます。

99/100『レベルアップ中国語 3月号』 千野拓政


(無理やり)読破っ!!
『レベルアップ中国語 3月号』 千野拓政(講師)
発行:2014年2月 NHK出版
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:111ペー

【本のテーマ】
多用な表現を知ろう 中国文学~現代の伊吹 月~金 午後10:45~11:00

【目次】
●中国文学~現代の息吹
<連載>
●現代中国語版【儒林外史】
●通訳の現場から ニュースな単語たち
●映画で学ぼう ネイティブ会話
●ピンポイント中国語文法

【概要】
●中国文学~現代の息吹
韓寒の「1988:我想和这个世界谈谈」という小説と、<主子,奴才和狗>、<脱节的国度>という作品が掲載されていました。
1988では、偶然知り合った娼婦との出会いと切ない別れが書かれていました。

何回か聞けていない回があるのと、
本文ではない「連載」がまだ読み切れていないので、後で読みます。

98/100『実践ビジネス英語3月号』 杉田敏


(無理やり)読破っ!!
実践ビジネス英語3月号』 杉田敏(講師)
発行:2014年2月 NHK出版
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:96ペー


【本のテーマ】
最新トピックに触れながら学ぶ オンビジネス・オフビジネスでの実用英語
水~金 午後11:20~11:35

【目次】
●本文
Lesson 23 Separated by a Common Language
Lesson 24 Perchance to Dream
●連載
Larry's Americana/ Larry Kinpfing
Our Magical World/ Lisa Vogt
The Writer's Workshop/佐藤昭弘

【概要】
Lesson 23 Separated by a Common Language
 イギリスから新しくやってきた社員Pat McMillan。イギリス英語とアメリカ英語の違いについて話されていました。イギリスでは聞き慣れない悪い意味のスラングを、アメリカでは気軽な意味で使っていることがあり、最初は気分をがいすることがあると述べられていた。

Lesson 24 Perchance to Dream
 睡眠をテーマに話されていた。カクテルパーティーでの話題が「睡眠」についてでうんざりしている。という話から始まり、眠れない時に眠れるようにするにはどうすれば良いか、また、昼寝をとることの有効性などについて語られていた。

●連載

まだ読めていないので読みます。

97/100『厄除け詩集』井伏鱒二


読破!!
厄除け詩集』井伏鱒二(作家)
発行:1994年4月 講談社文芸文庫
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:168ペー


【本のテーマ】(裏表紙より抜粋)
そこはかとなきおかしみに憂愁を秘めた「なだれ」「つくだ煮の小魚」「歳末閑居」「寒夜母を思う」等の初期詩編。”ハナニアラシノタトヘモアルゾ「サヨナラ」ダケガ人生ダ”の名訳で知られる「勧酒」、「復愁」「静夜思」「田家春望」等闊達自由、有情に充ちた漢訳詩。深遠な詩魂溢れる「黒い蝶」「蟻地獄(コンコンの唄)」等、魅了してやまぬ井伏鱒二の詩精神。四部構成の初の文庫版『厄除け詩集』。


【目次】
厄除け詩集
訳詩
雨滴調
拾遺抄
人と作品 河盛好蔵
こんこん出やれ――井伏鱒二の詩について
年譜
著書目録

【概要】
割愛

【感想】
 故・やなせたかしさんが好きな詩人として紹介されていたので読んでみました。
僕的にも「勧酒」がすごく好きで、他の詩も読んでみました。
詩を読むことはあまりないので、読み方がまだよくわからないのですが、
それぞれの詩は、読むとなんとなく情景が浮かんでくるので、
なんだか美術作品を見ているような、そんな気持ちになりました。
見返してみると、タイトルを見るだけで、その詩の内容のイメージが思い出されて、
これが「詩の醍醐味」なのかなぁ。とか思いました。
そして、日本語のリズムが「五七五」みたいな感じで、読んでいてリズム感のある詩が多いと感じました。
訳詩も、中国語の方を見ながら訳詩を見ると、ひねってあったり、日本の地名が当てられていたり、かなり「意訳」をしているのが、味があっていいあなぁ。と思いました。

その中でも、特に気に入ったのが、「冬」という詩です。
そこでは、詩を書くことは、「風邪をひかないおまじない」と述べられており、

書いては消し書いては消し 消したきりでもいいだらう
屑籠に棄ててもいいだらう どうせ棄てるもおまじなひだ

と書かれているのが、なんだか共感できて心に響きました。
感情とか、思い浮かんだことを日記に書いたり、詩にしたり、何らかの形で表現することは、
心の健康にとっていいことだと思います。
たとえ誰の目に触れることが無くても、自分のために、
「風邪をひかないおまじない」として、表現をする。
そんな井伏さんの表現者としての姿勢に共感できました。
あと、井伏さんの詩は、「別れ」や「郷愁」をテーマにしたものが多く、
ノスタルジックな雰囲気があるのがいいなぁ。と思いました。

と、いろいろ書きましたが、最後の方に詩の解説が乗っていて、そこからいろいろ言葉を借りました。読んでいる時は感じるだけでしたが、解説を読むと、「あー、確かに!」と思いました。
井伏さんの良さが分かった上で、また時間をあけて読んでみたいです。

2014年3月27日木曜日

96/100『あなたの生き方を変える』 金井嘉宏


読破っ!!
あなたの生き方を変える』 金井嘉宏(神戸大学大学院経営学研究科教授、インタビュアー)
発行:2002年3月 学生社
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:ペー


【本のテーマ】
安藤忠雄氏や、河合隼雄氏等、各業界の前線で活躍する著名人と、インタビューアー金井嘉宏氏との対談。

【目次】
はじめに
第一章 李御寧(韓国初代文化相)
第二章 安藤忠雄(建築家)
第三章 河合隼雄(文化庁長官・臨床心理学者)
第四章 福原義春(株式会社資生堂名誉会長)
第五章 葛西健藏(アップリカ葛西株式会社代表取締役会長)
第六章 グレン・S・フクシマ(日本ケイデンス・デザイン・システムズ社社長)
第七章 松永真理(元NTTドコモゲートウェイビジネス部企画室長)
第八章 杉本八郎(エーザイ株式会社創業第一研究所所長)
第九章 中谷彰宏(作家)
第十章 山田脩二(瓦師)
あとがき

【概要】

第一章 李御寧(韓国初代文化相)
 日本と韓国、そして西洋との文化比較について述べていました。アジア文化には「理」と「気」の考え方が存在し、日本は特に「気」を重視する文化である。日本は自然に手を加え人工的な物を作るが、韓国は自然派であり、「融合」させるのが得意である。「融合」は「正反合」とは少し違い、対立する関係ではなく、じゃんけんの「ぐーちょきぱー」の用にそれぞれが独立し循環している。
これからの社会ではこの「融合」により生み出される「中間文化」の存在が不可欠である。
また、教育に関しても、「education」と「entertainment」を融合した「edutainment」の概念が重要視される。

第二章 安藤忠雄(建築家)
 安藤忠雄氏の生い立ち、そしてこれからの日本の問題点・懸念点について述べていました。
幼少時代から独立した教育を受け、独学で建築を学び仕事にした、との経歴が語られていました。
日本人は「発言」をあまりしない、女性の社会進出について国がもっとサポートをすべきであること、怒ることの大切さなどについて述べ、大阪人として、優秀な大阪人が東京に流出してしまっていることが心配だと言っていました。

第三章 河合隼雄(文化庁長官・臨床心理学者)
 始めは数学者としてスタートし、心理学の道に進んだこと、チューリッヒのユング研究所で教授と対立したことについて述べていました。「自己実現」をテーマに研究する中で、人は、中年を超えるころから自己実現という「競争のない世界」に戸惑いやすいと述べていた。また、「論理的に矛盾するものが存在の中で両立するということが、その人が生きていることだ」と述べていた。他にも、Individualityという訳語を「個人」とするが、日本人にとっての個人は「eachness」の方が近く、欧米のindividualityは、神を絶対唯一の支えとした、他者と繋がりのない個人であるのに対し、日本人はなかなか完全につながりを断った個人というのは存在しにくく、それを「日本人病」と呼んでいた。

第四章 福原義春(株式会社資生堂名誉会長)
 「クモの巣上の主」として、様々な趣味を持ち、それぞれに一流の師を持っている。その秘訣として、自分をしっかり持っていると階級にとらわれずに誰とでも話せる。と述べていた。また、リーダーシップ理論を語るときには、リーダーシップを実践できても論理を説明できない人、というのが存在していることも理解し、最終的には「部下がついていきたくなる人」こそがリーダーシップがある人である。と述べていた。男女参画基本法の作成の際には、経済界からは日経新聞の社員と共に資生堂の社長として参加していた。

第五章 葛西健藏(アップリカ葛西株式会社代表取締役会長)
 幼児を相手にした産業であり、「子どものために祈りなさい」と機会があるたびに言っている。祈りは死んだ人のためだけではなく、子供は自分たちの生きる未来よりも先の未来を生きる存在であり、現在・過去・未来の仏心である。と述べていた。不況に陥っても、社員をリストラせず、社員のために社長は死ねる、という言葉を掲げて「幸せ育児産業」を完成させようとしている。


第六章 グレン・S・フクシマ(日本ケイデンス・デザイン・システムズ社社長)
 日系アメリカ人として思う、日本とアメリカの会社の違いについて、日本の方は「天下り」があるのに対し、アメリカでは「民」の立場が高く、逆に「天上り」という現象も起こっている。その意味では日本の方が「官」から「民」へ一方向的であると述べていた。これからよりグローバル化する社会では、専門知識と語学のどちらか(できればどちらも)を身に着けるのがよいと述べていた。

第七章 松永真理(元NTTドコモゲートウェイビジネス部企画室長)
 リクルートで働いた20年間の話、そしてそこで見つけた、「編集力」と「ヒューマンリソース」の掛け合わせという自分の強さについて語られていました。また、NTTドコモに転職した際には、技術者が多い中で、「消費者」目線から意見を述べ、価格設定などに大きな効果を発揮した。短期的には採算が合わなくても長期的に採算が取れる、という「効果性」について述べていた。

第八章 杉本八郎(エーザイ株式会社創業第一研究所所長)
 新薬の開発に関わる杉本さん。苦労して自分たち兄弟を育ててくれた母親が痴ほう症になったことが、野心や信念に繋がっている。と述べていた。また、「クマンバチの羽」のたとえ話で、物理的にはクマンバチは飛べないけれども、クマンバチ自身が飛べると信じているから飛べる。という話を紹介していた。「ノミの曲芸」では、ノミの曲芸を仕込む時は、飛び出せない程度のガラスの器に入れ少しずつ天井の低いものにしていくと、飛んだら飛び出せるのに、飛ばなくなる。という話を紹介し、野心を持って、種の真理(良い種を蒔けばいい植物が得られる)を信じ、恩への感謝を忘れない気持ちが大切だと述べていた。

第九章 中谷彰宏(作家)
 昔から創造的なことに興味を持ち、映画研究会をつくったり、短歌の会を立ち上げたりしていた。
映画監督になりたいがゆえに、月100本ペースで映画を見、四年間で4000本を見、自らアマチュアであるのに「映画監督」という肩書の名刺を作っていた。『面接の達人』という本を出版し、「メンタツブーム」を巻き起こした。今後は、日本国内だけに通用するものではなく、世界に通用するモノを作り出したい。と述べていた。

第十章 山田脩二(瓦師)
割愛。

【感想】
 分けて読んでて、十章以外読み終えた!
色んな人の、キャリアについて書いてあった。「正反合」とは違う「融合」について、安藤忠雄さんの「独学力」、河合隼雄さんの「日本人はなかなか完全につながりを断った個人というのは存在しにくくい「日本人病」がある。という指摘、福原さんのリーダーシップとフォロワーシップについての話、祈りは死んだ人のためだけではない。という葛西さんの話、グレンさんのアメリカと日本の「官」と「民」の関係性の違い、松永さんの女性としてキャリアを積むという話、杉本さんの信念をもって仕事に取り組む姿勢と、「セレンディピティ」と、「クマンバチの羽」の話、中谷さんの「創造」を追い求める姿勢、「個別への配慮」という話、など、
様々な業界で活躍する人々の含蓄にとんだ話がちりばめられていました。
発行されたのが12年前ということもあり、実感が湧かなかったり、分からない話もあったけど、
気になってスマホで調べたりして、見聞を少し広めることができました。
最後の瓦師のお話も、いつか時間があれば読みたいです。