2013年7月28日日曜日

100冊読書 7/100 『習近平と中国の終焉』冨坂聡


読破っ!!
『習近平と中国の終焉』冨坂聡(ジャーナリスト)角川SSC新書
発行:2013年1月
難易度:★★★★☆
所要時間:約15時間




【本のテーマ】
中国共産党に迫る危機のキーワードとして、「格差」「権力者の腐敗」「薄熙来」
をキーワードとして、習近平を共産党と言う組織の連続性の中で捉えていく。
 
【キーパーソン】
胡錦濤、薄熙来、王立軍、習近平、汪洋、胡耀邦、
 
【キーワード】
共産党、反日デモ、「打黑唱红」、双规、文化大革命、改革開放、十七大、十八大
生活压力、人肉检索、「杀出一条血路」、思想解放、民主化
 
【目次】
プロローグ:習近平指導部の誕生
第一章:「薄熙来事件」が習近平政権に残したもの
第二章:なぜ習近平が総書記に選ばれたのか
第三章:「格差問題」と「民主化の模索」
エピローグ:習近平時代の中国を読み解くために
 
【概要】
 
第一章
薄熙来事件について(薄熙来の奥さんが殺人に関与していたとされた事件)
そして、それまで「打黑唱红」(腐敗を徹底追及し、改革の歌を歌う)
などの派手なパフォーマンスを行い、民衆から支持を得ていた薄熙来が、
共産党から「文化大革命」の再来につながる危険分子とされ、
徐々に政界から消えていく過程を書いていた。
 
第二章
習近平達が属する「太子党」(2世為政者)について。
二世為政者といっても、文化大革命があったことにより、
習近平、父親ともに貧しい農村や(父は)刑務所で辛い時期を過ごす。
しかし、改革開放後、習近平の貧しい農村での辛い経験を、
政治で活かすことができると目をつけられた。
彼を推薦する数名の政治家の影響もあるが、
習近平が総書記に選ばれた大きな理由の一つとしては
「誰も反対しない、無難な人選だったから」という風に書かれていた。
 
第三章
北京オリンピックで国が豊かになると人々の期待が高まったが、
実際は「実感を伴わない豊かさ」であった。
またオリンピックの直後にリーマンショックがあり、
その影響で格差がさらに大きく開いた。
そのことにより、民衆の中で富裕層に対する怒りが募り、
各地での暴動や談判が相次いだ。
それが、薄熙来が残した「打黑唱红」をより助長させ、
人肉検索(=金持ちの弱みをネット上で徹底的に暴く&叩く)が広まった。
 
また、汪洋は広東省で「杀出一条血路」(命がけで血路を切り開け)
や「思想解放」(意識改革)をスローガンに掲げ、
薄熙来のような派手さはないが、地道に改革を行っていた。
汪洋の目指す「小さな政府」の確立に向けて、
計19項目もの政府自治体レベルでの改革を行った。
政府は彼の地道な民主化に向けての改革を、
排除するのではなく評価している。
 
天安門事件に見られるように、
民主化を求めるためのデモなどの運動が、
結果的に民主化を遠ざけることになってしまった。
そのため、民衆は民主化を心の奥に抑え込んでおり、
共産党も、民衆を意識した政治を行い、
民主化に向けて少しずつ進んもうとしている。
 
【感想】
難しい本だった!けど、中国の政治について少しイメージを持てる本だった。
中国の歴史を語るにあたって、
「文化大革命」、「天安門事件」は避けて通れないと思います。
この本の中にも出てきていて、
また少し、知識をふやすことができました。
それでもほんとに表面的、断片的だと思うので、
引き続き、中国の歴史や政治を勉強したいと思います。
 
共産党支配っていうと、国民を管理し、支配しているっていうイメージだったけど、
実際は中国政府も国民を意識した政治をしていて、
民主化に向けての動きも、暴動にならない用に気を付けながら、
少しずつ進めているのかな。という印象を受けました。
 

2 件のコメント:

  1. 中国で小さな政府を目指した権力者がいたなんて知らんかった!!!!
    今は天安門事件で反動的になってしまった感じなんかな。。

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  2. 中国の今の民主化の動きって具体的にどんなものがあるん?!

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