活到老学到老!毎日が勉強だ!
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2014年10月1日水曜日
116/200 『柳井正の希望を持とう』柳井正(ファーストリテイリング社長)
『柳井正の希望を持とう』
柳井正(ファーストリテイリング社長)
発行:2011年6月 朝日新書
難易度:★★☆☆☆
資料収集度:★★☆☆☆
理解度:★★★☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:210ページ
【本のテーマ】(表紙そでより抜粋)
人は希望がなければ生きていけない。
希望を持つには人生は自分が主人公だと信念を持ち、自分に期待することだ。
「どうせ自分なんて」ではなく、「自分はこんなことができるのではないか」と
自分に期待し、人よりも少しでも得意な部分を探す。
そして、そこを一生懸命に磨けば、必ず活路は開ける。
ユニクロの経営者が全てのビジネスマンに贈る仕事論。
【目次】
第一章 自己変革を急げ
第二章 経済敗戦からの出発
(1)日本の変革
(2)変革を先取りするユニクロ
第三章 私の修業時代
(1)UNIQLOの本質を考えた頃
(2)UNIQLOへの道
(3)修行時代に学んだこと
第四章 基礎的仕事力の身につけ方
(1)営業現場で格闘する
(2)ビジネスマンにとっての人脈
(3)読書という基礎的勉強
第五章 自己変革の処方箋
(1)若きビジネスマンへ――自分を信じよ
(2)中堅ビジネスマンへ――失敗から学べ
(3)上司、マネージャーへ――鬼にも仏にもなれ
(4)経営を目指す人と経営者へ――「実行」こそが全て
(5)すべてのビジネスマンへ――零細商店の店主のつもりで働け
第六章 希望を持とう
【感想】
柳井さんの人生の経歴と、人間性がよくわかる本でした。
経営とは「実行」である、悩み続けず、前へ進め。悩む時は紙に書き出せ。
零細商店の店主のつもりで働け。等、
様々な格言を述べていましたが、全部柳井さんの経験に基づいたものであり、
説得力とエネルギーがありました。
父親から譲り受けた小さい洋服店を原点として世界的企業にまでなった過程には、
妥協せずに、「全ての人にとって、より良いものを売りたい」という信念がありました。
そして、その信念を今でも持ち続けているというのがよく伝わってきました。
しかし、その要求のハードルの高さが、今のユニクロが「ブラック企業」と言われる所以で
あるとも感じました。
特に、各店舗の店長に対して「店長十戒」というものがあったのですが、
その条文が全て「命令形」で書かれていたのが、少し抵抗感を感じました。
柳井さんが小さな洋服店から開始したときには、きっと誰かから命令されることはなく、
自分で模索して試行錯誤して来られたのだと思います。
社員に英語の勉強を週10時間、インターネット上で学習具合を監視しながら強制したり、
店長十戒を(悪く言えば)押し付けたり、
柳井さんは社員のために良かれと思ってやっていることが、
社員にとっては重すぎる、ハードルが高すぎるということもあるのではないかな、と考えました。
しかし、世界企業にまで成長したUNIQLOを維持するためには、
仕方のない事なのかもしれない。とも考え、柳井さんの責任感から来ている方針なのだと思いました。
一番衝撃的だったのが、
柳井さんが、本人曰く大学時代には勉強をせず麻雀ばかりやっていて将来の事を考えておらず、
縁故で一度ジャスコに就職したけれど9か月で辞め、友達の家に居候させてもらいフリーター的
生活をし、その末に親の店を継いで小さな洋服店を経営し始めたというエピソードです。
柳井さんのような人でも、大学時代ってやっぱりそんなもんなのかぁ。少し安心する反面、
でもそれって、今、大学卒業後の新卒にユニクロ社員として要求しているハードルの高さと矛盾するのではないか?と考えてしまいました。
大学時代のエピソードにせよ、ファーストリテイリングが初めて上場した時に、
「これでやっと本屋で高い本を気にせず変える」と思ったというエピソード、
そして、障がい者を積極的に採用し、「人は誰しも何らかの弱いところ、傷ついたところを持っていて、健常者と障がい者との間の差は実はそんなに大きくない」と語るエピソードであったり、
随所に庶民感覚というか、人情味のある柳井さんの人柄がうかがえました。
2014年9月30日火曜日
115/200 『ビジネスで活かす電通「鬼十則」仕事に誇りと自信を持つ』柴田昭彦(コンサルタント)
『ビジネスで活かす電通「鬼十則」仕事に誇りと自信を持つ』
柴田昭彦(コンサルタント)
発行:2011年3月 朝日新書
難易度:★★☆☆☆
資料収集度:★★★☆☆
理解度:★★★☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:207ページ
【本のテーマ】(表紙そでより抜粋)
未曾有の広告不況にも強さを見せる電通。第四代社長・吉田秀雄が半世紀以上前に創った
社訓「鬼十則」の教えは、今も古びない。
辣腕をふるった元電通マンが、自らの仕事に十則をどう実践してきたか。
あなたのビジネスに直結する「十則」活用術。
未曾有の広告不況にも強さを見せる電通。第四代社長・吉田秀雄が半世紀以上前に創った
社訓「鬼十則」の教えは、今も古びない。
辣腕をふるった元電通マンが、自らの仕事に十則をどう実践してきたか。
あなたのビジネスに直結する「十則」活用術。
【目次】
鬼十則第一条 仕事は自ら「創る」べきで、与えられるべきでない。
鬼十則第二条 仕事とは、先手先手と「働き掛け」て行くことで、受身でやるものではない。
鬼十則第三条 「大きな仕事」と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
鬼十則第四条 「難しい仕事」を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
鬼十則第五条 取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、目的完遂までは・・・・・・。
鬼十則第六条 周囲を「引きずり回せ」、引きずるのと引きずられるのとでは、
永い間に天地のひらきができる。
鬼十則第七条 「計画」を持て、長期の計画を持っていれば、
忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
鬼十則第八条 「自信」を持て、自信がないから君の仕事には、
迫力も粘りも、そして厚みすらながない。
鬼十則第九条 頭は常に「全回転」、八方に気を配って、一部の隙もあってはならぬ、
サービスとはそのようなものだ。
鬼十則第十条 「摩擦を怖れるな」、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
【感想】
熱かった!!電通は体育会系だとは聞いていたけれども、
この「鬼十則」はその内容も熱く、そして、
この著者の方が、それぞれの条を細かく自分なりに真摯に捉えようとしていている
その姿勢が熱かったです。
「熱い」、と言っても、「むさくるしい熱さ」、「勢い任せの熱さ」ではなく、
本や著名人の言葉を所々に引用しながらの、「知的な」熱さがあり、読んでいるだけで、
刺激ややる気をもらいました。
半世紀以上前に作られた、ということもあり、
鬼十則第五条の取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、なんていうのは、
少し過激にも思われ、「昭和の香り」がするところもありますが、
その点を除けば、現代にも十分重宝される考え方であると思いました。
特に印象に残ったのは、第八条と第九条でした。
鬼十則第八条 「自信」を持て、自信がないから君の仕事には、
迫力も粘りも、そして厚みすらながない。
「自信を持つ」ということの難しさ。他者からの評価によるものではなく、自分を自分で裁く。
その一方で、「傲慢」になってしまってもよくないので、「自信」と「謙虚さ」を共立させる。
その二つの存在は矛盾するものではない。ということが書かれていて。
それが自分の高校の時の担任が言っていたことともろ被りしていたので、驚きました。
鬼十則第九条 頭は常に「全回転」、八方に気を配って、一部の隙もあってはならぬ、
サービスとはそのようなものだ。
第九条では、常に気を配る。ことの大切さを思い出させてくれます。
これは、サービス業だけに特化した話ではなく、日々の仕事の上でも、
小さな気遣いというのが積み重なって、お客様への「サービス」になると思うので、
妥協を許してしまわないようにしなければ。と気が引き締まりました。
また、著者が日本人の「空気」の感覚について、山本七平の「空気の研究」を引用しており、
自分の卒論研究の内容と被っていて驚きました。
著者も、日本人には「空気」による影響を受けやすいところがあると批判していました。
「自己啓発系本」としては、読みやすく、
引用も多く、説得力のある、エネルギッシュな本であると思いました。
また、「鬼十則」それ自身も、深みのある、捉え方によっては様々な解釈ができる
教訓であると思いました。
社会人経験をまた数年経てから読み直すと、意味が違ってより深く感じられるのではないかな。
と思いました。
2014年9月27日土曜日
読書マラソン100冊まとめ
- 開始:2013年7月20日
- 完走:2014年3月28日
- 100/100『7つの習慣』スティーブン・R. コヴィー
- 99/100『レベルアップ中国語 3月号』 千野拓政
- 98/100『実践ビジネス英語3月号』 杉田敏
- 97/100『厄除け詩集』井伏鱒二
- 96/100『あなたの生き方を変える』 金井嘉宏
- 95/100『30分でわかる般若心経』松原哲明
- 94/100『レベルアップ中国語 2月号』 千野拓政
- 93/100『星の王子様』サン=テグジュペリ
- 92/100『自分を愛する力』乙武洋匡
- 91/100『実践ビジネス英語』 杉田敏
- 90/100『告白』湊かなえ
- 89/100『うそつきは得をするのか』生天目 章
- 88/100『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』牛窪恵
- 87/100『キュレーションの時代』佐々木俊尚
- 86/100『ネトゲ廃人』 芦崎治
- 85/100『感謝と謝罪』 相原茂
- 84/100『「空気」と「世間」』 鴻上尚史
- 83/100『「エコ恋愛」婚の時代』 牛窪恵
- 82/100『竜馬がゆく(二)』 司馬遼太郎
- 81/100『ここまでわかったPM2.5本当の恐怖』 井上浩義
- 80/100『中国でいちばん成功している日本の外食チェーンは熊本の小さなラーメン屋だって知ってますか...
- 79/100『ニコニコ動画が未来を作る』 佐々木俊尚
- 78/100『すみませんの国』 榎本博明
- 77/100『「上から目線」の時代』 冷泉彰彦
- 76/100『あなたイズム』 博報堂ブランドデザイン
- 75/100『実践ビジネス英語』 杉田敏
- 74/100『子どもと大人』 三田宗介・河合隼雄・谷川俊太郎
- 73/100『若者はなぜ3年で辞めるのか?年功序列が奪う日本の未来』 城繁幸
- 72/100『体制維新――大阪都』 橋下徹 堺屋太一
- 71/100『僕は君たちに武器を配りたい』 瀧本哲史
- 70/100『オトコの仮面消費』 マッキャンエリクソン 大沼利広編著
- 69/100『面白いけど笑えない中国の話』 竹田恒泰
- 68/100『他人と暮らす若者たち』 久保田裕之
- 67/100『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』 城 繁幸
- 66/100『レベルアップ中国語 1月号』 千野拓政
- 65/100『これからの日本のために「シェア」の話をしよう』 三浦展
- 64/100『中国人にエアコンを売れ!』 高橋基人
- 63/100『日本という国』 小熊英二
- 62/100『これからの中国の話をしよう』 原田曜平・加藤嘉一
- 61/100『わたしが正義について語るなら』 やなせたかし
- 60/100『ヒロシマ――壁に残された伝言』 井上恭介
- 59/100『県庁おもてなし課』 有川浩
- 58/100『ネット大国中国』 遠藤誉
- 57/100『ただトモ夫婦のリアル』 牛窪恵
- 56/100『教師格差――ダメ教師はなぜ増えるのか』 尾木直樹
- 55/100『〈自己発見〉の心理学』 国分康孝
- 54/100『パレード』 吉田修一
- 53/100『火車』 宮部みゆき
- 52/100『銀二貫』 高田郁
- 51/100『卡子(チャーズ)上巻』 遠藤誉
- 50/100『桐島、部活やめるってよ』 朝井リョウ
- 49/100『町長選挙』 奥田英朗
- 48/100『「いいね!」が社会を破壊する』 楡周平
- 47/100『竜馬がゆく(一)』 司馬遼太郎
- 46/100『空気と戦争』 猪瀬直樹
- 45/100『中国人与日本人之面子谈』 姜丽萍
- 44/100『当代中国人际关系的文化传承』 王晓霞
- 43/100『近頃の若者はなぜダメなのか』 原田曜平
- 42/100『若者殺しの時代』 堀井憲一郎
- 41/100『さとり世代』 原田曜平
- 40/100『当代中国的人际关系特点分析』 宋倩,廖昌荫
- 39/100『空気の研究』 山本七平
- 38/100『「甘え」の構造』 土井健郎
- 37/100『なぜ日本人は世間と寝たがるのか~空気を読む家族~』 佐藤直樹
- 36/100『人口負荷社会』 小峰隆夫
- 35/100『武士道』 新渡戸稲造 訳:岬龍一郎
- 34/100『競争と公平感』 大竹文雄
- 33/100『拝金社会主義 中国』 遠藤誉
- 32/100『気の力~場の空気を読む・流れを変える~』 斎藤孝
- 31/100『世界がもし100億人になったら』スティーブン・エモット
- 30/100 『インターネットが壊した「こころ」と「言葉」』森田幸孝
- 29/100 『独身の価値の証明』趙学林
- 28/100 『急変する中国人の人生観』范晨雨
- 27/100 『中国の心理と行動』園田茂人
- 26/100 『日の丸家電の命運』 真壁昭夫
- 25/100 『ぼく、ドラえもんでした。』 大山のぶ代
- 24/100 『どんくさいおかんがキレるみたいな。』 松本修
- 23/100 『イギリス型<豊かさ>の真実』 林信吾
- 22/100 『タモリ論』 樋口毅宏
- 21/100 『一億総ガキ社会~成熟拒否という病~』 片田珠美
- 20/100 『日本の自殺』 グループ一九八四年
- 19/100 『アホの壁』 筒井康隆
- 18/100 『思考停止社会~「遵守」に蝕まれる社会~』 郷原信郎
- 17/100 『不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか~』
- 16/100 『前田敦子はキリスト教を超えた~<宗教>としてのAKB48~』濱野智史
- 15/100 『Twitter社会論~新たなリアルタイム・ウェブの潮流~』 津田大介
- 14/100 『社畜のススメ』藤本篤志
- 13/100 『キャラ化する/される子どもたち』土井隆義
- 12/100 『こんなに違う中国人の面子』江河海
- 11/100 『カーニヴァル化する社会』鈴木謙介
- 10/100 『キャラ化する日本』相原博之
- 9/100 『歪みの国・韓国』金慶珠
2014年9月17日水曜日
114/200 『くまモンの秘密』熊本県庁チームくまモン(公務員)
『くまモンの秘密』熊本県庁チームくまモン(公務員)
発行:2013年3月 幻冬舎新書
難易度:★★☆☆☆
資料収集度:★★★☆☆
理解度:★★★★☆
個人的評価:★★★★☆
ページ数:253ページ
【本のテーマ】(表紙裏より抜粋)
平成二十二年「くまもとサプライズ」キャラクターとして登場したくまモン。
商品売り上げは一年で二百九十三億円、熊本のブランド価値向上への貢献は計り知れない。
ゆるキャラ・くまモンを「売るキャラ」に育て上げたのは、PRもキャラクタービジネスも経験ゼロの、
しがない地方公務員集団・チームくまモン。
くまモン失踪事件などの物語戦略、利用料フリーで経済を活性化させる楽市楽座戦略等等、
公務員の常識を打ち破る自由な活動を展開し、自治体史上例のない成功を遂げた
奇跡のプロジェクトの全貌。
商品売り上げは一年で二百九十三億円、熊本のブランド価値向上への貢献は計り知れない。
ゆるキャラ・くまモンを「売るキャラ」に育て上げたのは、PRもキャラクタービジネスも経験ゼロの、
しがない地方公務員集団・チームくまモン。
くまモン失踪事件などの物語戦略、利用料フリーで経済を活性化させる楽市楽座戦略等等、
公務員の常識を打ち破る自由な活動を展開し、自治体史上例のない成功を遂げた
奇跡のプロジェクトの全貌。
【目次】
第一部 くまモン関西戦略の秘密(熊本県庁チームくまモン関西部隊)
第一章 熊本をPRしないPR戦略
第二章 くまモンは日々進化する
第三章 費用対効果は予算の八倍
第四章 ゆるキャラから売るキャラへ
第五章 ダメ出しにくじけずアイディア量産
第二部 くまモン地元戦略の秘密(熊本県庁チームくまモン熊本部隊)
第六章 原点は保育園・幼稚園の子どもたち
第七章 迷ったらGO!
第三部 くまモン・トップ戦略の秘密(熊本県知事・蒲島郁夫)
【感想】
今やどの県へ行っても視界に入ってくるくまモン。
そのくまモンがどうやって今の人気や知名度を築いていったのか、その歴史が書かれていました。
熊本を日本に広める!という壮大なテーマについて書かれているのに、
文章はわりとゆるめの語り口調、ときには自分でツッコミを入れつつ、
そして、随所に「くまモン愛」がちりばめられた、まさに「ゆるく」て、読みやすい本でした。
全体を通しての感想として、
僕は、くまモン誕生の背景にあったストーリーこそが一番大きな「人気の秘密」なのだと思いました。
まず、九州新幹線が開通するプロジェクトが立ち上がり、
博多から鹿児島までが関西から新幹線で手軽に行けるようになる。
その通過地点に熊本県があった。
ここで、このチャンスをモノにしなければ、熊本県はただの「通過地点」になってしまう。
そんなピンチとチャンスが一気に来たような状況で、
「くまもとサプライズ」というテーマを掲げて生まれたのがくまモン。
2010年3月に誕生してから、2011年3月12日の九州新感性開通までの1年間で、
熊本県を日本(特に新幹線開通後の主力ターゲットと想定された関西)に広げる、
という大きな使命を抱えて活動をしていました。
九州新幹線の両端の駅である博多と鹿児島にもきっとゆるキャラがいて、
同じように九州新幹線開通に向けて、
PR活動をしていたのではないかな。と思います。
しかし、くまモンはとび抜けて有名になったのは、
「ピンチとチャンス」と言ったように、覚悟が違ったというのもあるけれども、
やはりそこには「戦略」の違いがあるのだと思いました。
本の中にも出てきていた、「熊本をPRしないPR戦略」というのは面白く、
他の企業や他の県の良さ(くまモンの場合:大阪)を紹介することで、話題性を作り、
お互いの知名度を高める、という「相乗効果」を狙った斬新な戦略が功を成したのだと思います。
「相乗効果」を狙うにあたって、くまモンは余計な「属性」が少ない、普遍的な外見をしていたので、
様々な企業や県とコラボが出来たのだとも書かれていました。
(「ご当地属性」などを盛り込み過ぎると、コラボしても違和感が生じやすい。)
そういう意味で、普遍的でキャッチ―なビジュアルをデザインした水野学さん、
そしてプロデューサーの小山薫堂さんの功績だと思います。
他にも、なるべくお金をかけないように、SNSを使った話題性にとんだPR活動や、
ある一定の条件を守ればマージンを受け取らないという「著作権フリー」、
そしてなにより、自らもPR活動に参加し、様々な企画にGOサインを出した熊本県知事、
様々な要素が重なって、くまモンが沢山の人から愛されるようになったのだと思いました。
著者がくまモン愛しすぎていて、いろんな夢や理想、アイディアを語っているのが、
面白かったです。けれども、熊本県庁チームくまモンの会議では、
そんな夢いっぱいの案も「いいんじゃない!?」と受け入れてもらえる場であった
というのも大きな要因だと思いました。
くまモンが広く知れ渡った今、チームくまモンは
「持続可能な仕組みづくり」という目標を含んだ「くまモンフェーズ2」
に突入している、と書かれており、くまモンの戦略はまだ続くのか!と思いました。
他にも、チームくまモンの同僚曰く、「くまモンと一緒に仕事をしてから意識が変わった」
公務員は、「こういう理由があるからできない。」ということが多かったけれども、
「くまモン」によって熊本の知名度を上げる、というゼロから一を作り出す仕事に関わるうちに、
「できないなら、どうすればできるようになるのか」と考えるようになり、
部署が移動になってからもその発想を続けることができている。と述べていて、
熊本を内側からも活性化する効果があったのだと言えます。
チームくまモンの人事異動が頻繁に行われた、と書かれていたのですが、
それもきっとその感覚を体感してもらったうえで、公務員業務をして欲しかったからではないかな?
という想像も広がりました。
「チームくまモン」こと、「くまもとブランド推進課」が、
雑誌『日経ビジネス』の「奇蹟を起こす すごい組織100」の一つに選ばれた、
というのも納得できるほど、クリエイティブで、アクティブな、公務員の方々の奮闘記でした。
2014年9月9日火曜日
113/200 『日本人はこれから何を買うのか?』三浦展(消費社会研究家)
『日本人はこれから何を買うのか?「超おひとりさま社会」の消費と行動』 三浦展(消費社会研究家)
発行:20113年4月 光文社新書
難易度:★★★☆☆
資料収集度:★★★★☆
理解度:★★★☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:203ページ
【本のテーマ】(表紙そでより抜粋)
2035年、「一人暮らし世帯」が1846万世帯となる。
逆に、かつて主流だった「夫婦と子供世帯」は1153万世帯に減る。
平均的だと思っていた日本の家族像がもはや過去のものになりつつあるのだ。
また、「一人暮らし」というと、未婚の若者といったイメージが強かったが、
今後20代、30代の一人暮らしは減り、代わりに高齢者のおひとりさまが急増する。
「超おひとりさま社会」になることを前提に、社会全体を見渡さなければならない。
個人化・孤立化が進む中、ライフスタイルはどう変わっていくのか。
モノを買わない時代、人々は何を求めているのか。キーワードは「シェア」と
「共費」。さまざまな地域や企業の取り組みを紹介しつつ、
日本社会のゆくえを予測する。
逆に、かつて主流だった「夫婦と子供世帯」は1153万世帯に減る。
平均的だと思っていた日本の家族像がもはや過去のものになりつつあるのだ。
また、「一人暮らし」というと、未婚の若者といったイメージが強かったが、
今後20代、30代の一人暮らしは減り、代わりに高齢者のおひとりさまが急増する。
「超おひとりさま社会」になることを前提に、社会全体を見渡さなければならない。
個人化・孤立化が進む中、ライフスタイルはどう変わっていくのか。
モノを買わない時代、人々は何を求めているのか。キーワードは「シェア」と
「共費」。さまざまな地域や企業の取り組みを紹介しつつ、
日本社会のゆくえを予測する。
【目次】
第一章 老若男女すべて「おひとりさま」
第二章 おひとりさま消費の現状
第三章 おひとりさまは何が欲しいのか
第四章 コミュニティという商品を買う時代
【概要】
国立社会保障・人口問題研究所のデータを元に、今後高齢者の「おひとりさま」が増加し、
また「家族」という形態も変わってくる、ということを述べ、そこから予想される消費について述べていた。
近年の傾向として、消費の各項目ごとの昨年比の増加率データを元に、
シニア男性の「若者化」、シニア・ミドル女性の「アクティブ化」、ミドル男性の「おうち志向化」、
若年女性の「男性化」、若年男性の「主婦化」などについて述べ、
かつての年齢・性別による固定的な価値観や制約がより少なくなって来ていると述べていた。
おひとりさまの欲しいものとして、様々な具体例を挙げていた。
この本の中の「おひとりさま」の構成比として、高齢者が多い、という前提があった。
買い物難民(今は「買い物弱者」という言い方に変わったらしい)にならないためのサービス、
家事代行サービス、ルームシェアのサービス、リノベーション、
など、より生活に密着したサービスを求める傾向が以前に増して高まっている。
第四章では、「超おひとりさま社会」への対応として、
コンビニに地域のコミュニティ機能を持たせた「コムビニ」(community +convenience)という概念を
提唱していた。
ただ便利なだけではなく、そこに地域のコミュニティ機能を持たせ、
地域との繋がりを感じ、助け合う社会を作り出していくことが、
「おひとりさま」が孤立・孤独にならずに安心・安全に生きていくために必要である。
【感想】
将来の日本が心配になった!少子高齢化。そして、高齢者は「おひとりさま」になる。
そんな社会でどうやって「おひとりさま」を守っていくのか。
そんなテーマについて述べた本でした。
「コムビニ」という概念はとてもユニークで、未来的だと思いましたが、
やはり、三浦展さんの本は、以前も読んだ時にも思ったのですが、
若干、理想論である気がします。
コミュニティというのは、地域性だけで成り立たせるのはとても難しいと思います。
地域性とはすなわちその中に多様性が存在し、
子どももいれば、年寄りもいるし、いい人もいれば、犯罪者もいる。
目的の共有も共通点もなければ、地域性だけではコミュニティになじめない人もいる。
そんな人も含めて、一概に「こうすればこうなる。」とは言えないものだと思います。
けれども、今後の「超おひとり様社会」を考えると、
何かしらの地域によるサポートや繋がりの創造というものが
必要なのだろうな、とも、再認識させられました。
実際に今コンビニでは、高齢者の「おひとりさま」に向けた宅配サービスや、
移動販売を行っているし、コンビニが地域に貢献する役割を持ち始めています。
しかし、そこに「コミュニティ」や「人との繋がり」という機能を持たせる、
というところまでは、辿り着けていないように思います。
というのも、民間企業はお金を稼ぐことが目的だから、個々のサービスに限界があると思うので、
今後は官民一体となったサポートが必要となってくるのではないか、と考えました。
2014年9月3日水曜日
112/200 『趣味力』秋元康(プロデューサー)
『趣味力』秋元康(プロデューサー)
発行:2003年4月 生活人新書
難易度:★☆☆☆☆
感動度:★★★☆☆
共感度:★★★☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:200ページ
【本の紹介】(表紙そでより抜粋)
人生の後半で、ではなく、今、趣味を始めよう。一日十九時間、仕事に没頭する毎日を送ってきた秋元康が、四十代半ばになって趣味の陶芸に夢中になっている。今何故この年で趣味を始めたのか。同世代の読者に向けて、初めの一歩を強力に後押しする。人生の濃さを決める「趣味力」とは何か、著者は諄々と語り始めた。
【目次】
第一章 今日した仕事に「初めて」はあったか
第二章 男を強くするこだわりと偏り
第三章 僕は趣味のギャンブルから人生を学んだ
第四章 趣味探しとは自分の価値観探しである
第五章 趣味は人生だ
【要約】
一日は誰にも等しく24時間しかない。その時間をいかに濃密に過ごすか。その最大の鍵が「趣味力」である。年をとるに連れて「初めて」のことが少なってくる。そんな中でも、あえて「初めて」の中に積極的に飛び込んでゆき、そして、その「初めて」の中に達成したい「夢」を見ることができることが、人生を輝かせ、仕事や生活を豊かにする秘訣である。
しかし、いざ「趣味を始める」となっても、世間の流行りや年相応な趣味に落ち着いても、長続きしないことが多い。食わず嫌いをせず、様々なことに挑戦し、その中で「これだ」と思うものに、とことんこだわる姿勢が大切である。例えるならば、いつも5分遅れで時を刻む腕時計と、ある時間をさしたまま止まっている腕時計。前者は永遠に正しい時間を示すことはないが、後者は一日に2回だけ正しい時間を示すことができる。そのように、自分なりの「こだわり」、や自分の色を持つことが、ある時、誰かからその存在を求められることにつながる。
幸せとは「自己満足」の瞬間の連続である。人生には自分の思い通りに行かないことが多い
けれども、趣味の中では、その反動を補うことができる。
自分が満足できる瞬間を作り出す、という意味で、趣味は大きな意味を持っている。
【感想】
AKBのプロデューサー秋元さん。彼は人生を楽しんでいるなぁ。とつくづく思わせられる本でした。
人生が思うどおりにならない、そのストレスを補うための趣味、自己満足としての趣味。
自己満足、と自己完結はまた違っていて、自己満足を誰かと共有することができたなら。
それはとても幸せなことなのではないかと思いました。
誰にも認められなくても、こだわりをもった人たちが自分たちの色を感じられる瞬間。
その瞬間こそが、趣味の中でも最高の自己満足であり、幸せに直結するものだと思う。
もちろん、仕事や生活の中で認められることが幸せにつながるのも確かだと思うけれども、
現実はそんなに簡単にいかないから、
仕事や生活に支障を来さない限りで「趣味」でそのギャップを補うことは大切だと思う。
秋元さんが始めた陶芸も始めるまではそんなにはまると思っていなかった、と述べていた。
自分が何に出会うかなんて分からないから、
自分の未来が自分が思い描いていたものと違うことに面白みを感じられる人生観が
大切だ、というメッセージは、羽生棋士の「直感力」にも通じるところがありました。
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