2014年9月17日水曜日

114/200 『くまモンの秘密』熊本県庁チームくまモン(公務員)


読破っ!!
『くまモンの秘密』熊本県庁チームくまモン(公務員)
発行:2013年3月 幻冬舎新書
難易度:★
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:253ペー



【本のテーマ】(表紙裏より抜粋)
平成二十二年「くまもとサプライズ」キャラクターとして登場したくまモン。
商品売り上げは一年で二百九十三億円、熊本のブランド価値向上への貢献は計り知れない。
ゆるキャラ・くまモンを「売るキャラ」に育て上げたのは、PRもキャラクタービジネスも経験ゼロの、
しがない地方公務員集団・チームくまモン。
くまモン失踪事件などの物語戦略、利用料フリーで経済を活性化させる楽市楽座戦略等等、
公務員の常識を打ち破る自由な活動を展開し、自治体史上例のない成功を遂げた
奇跡のプロジェクトの全貌。

【目次】
第一部 くまモン関西戦略の秘密(熊本県庁チームくまモン関西部隊)
 第一章 熊本をPRしないPR戦略
 第二章 くまモンは日々進化する
 第三章 費用対効果は予算の八倍
 第四章 ゆるキャラから売るキャラへ
 第五章 ダメ出しにくじけずアイディア量産

第二部 くまモン地元戦略の秘密(熊本県庁チームくまモン熊本部隊)
 第六章 原点は保育園・幼稚園の子どもたち
 第七章 迷ったらGO!

第三部 くまモン・トップ戦略の秘密(熊本県知事・蒲島郁夫)

【感想】
 今やどの県へ行っても視界に入ってくるくまモン。
そのくまモンがどうやって今の人気や知名度を築いていったのか、その歴史が書かれていました。
熊本を日本に広める!という壮大なテーマについて書かれているのに、
文章はわりとゆるめの語り口調、ときには自分でツッコミを入れつつ、
そして、随所に「くまモン愛」がちりばめられた、まさに「ゆるく」て、読みやすい本でした。

全体を通しての感想として、
僕は、くまモン誕生の背景にあったストーリーこそが一番大きな「人気の秘密」なのだと思いました。
まず、九州新幹線が開通するプロジェクトが立ち上がり、
博多から鹿児島までが関西から新幹線で手軽に行けるようになる。
その通過地点に熊本県があった。
ここで、このチャンスをモノにしなければ、熊本県はただの「通過地点」になってしまう。
そんなピンチとチャンスが一気に来たような状況で、
「くまもとサプライズ」というテーマを掲げて生まれたのがくまモン。
2010年3月に誕生してから、2011年3月12日の九州新感性開通までの1年間で、
熊本県を日本(特に新幹線開通後の主力ターゲットと想定された関西)に広げる、
という大きな使命を抱えて活動をしていました。

九州新幹線の両端の駅である博多と鹿児島にもきっとゆるキャラがいて、
同じように九州新幹線開通に向けて、
PR活動をしていたのではないかな。と思います。
しかし、くまモンはとび抜けて有名になったのは、
「ピンチとチャンス」と言ったように、覚悟が違ったというのもあるけれども、
やはりそこには「戦略」の違いがあるのだと思いました。
本の中にも出てきていた、「熊本をPRしないPR戦略」というのは面白く、
他の企業や他の県の良さ(くまモンの場合:大阪)を紹介することで、話題性を作り、
お互いの知名度を高める、という「相乗効果」を狙った斬新な戦略が功を成したのだと思います。
「相乗効果」を狙うにあたって、くまモンは余計な「属性」が少ない、普遍的な外見をしていたので、
様々な企業や県とコラボが出来たのだとも書かれていました。
(「ご当地属性」などを盛り込み過ぎると、コラボしても違和感が生じやすい。)
そういう意味で、普遍的でキャッチ―なビジュアルをデザインした水野学さん、
そしてプロデューサーの小山薫堂さんの功績だと思います。

他にも、なるべくお金をかけないように、SNSを使った話題性にとんだPR活動や、
ある一定の条件を守ればマージンを受け取らないという「著作権フリー」、
そしてなにより、自らもPR活動に参加し、様々な企画にGOサインを出した熊本県知事、
様々な要素が重なって、くまモンが沢山の人から愛されるようになったのだと思いました。

著者がくまモン愛しすぎていて、いろんな夢や理想、アイディアを語っているのが、
面白かったです。けれども、熊本県庁チームくまモンの会議では、
そんな夢いっぱいの案も「いいんじゃない!?」と受け入れてもらえる場であった
というのも大きな要因だと思いました。

くまモンが広く知れ渡った今、チームくまモンは
「持続可能な仕組みづくり」という目標を含んだ「くまモンフェーズ2」
に突入している、と書かれており、くまモンの戦略はまだ続くのか!と思いました。
他にも、チームくまモンの同僚曰く、「くまモンと一緒に仕事をしてから意識が変わった」
公務員は、「こういう理由があるからできない。」ということが多かったけれども、
「くまモン」によって熊本の知名度を上げる、というゼロから一を作り出す仕事に関わるうちに、
「できないなら、どうすればできるようになるのか」と考えるようになり、
部署が移動になってからもその発想を続けることができている。と述べていて、
熊本を内側からも活性化する効果があったのだと言えます。
チームくまモンの人事異動が頻繁に行われた、と書かれていたのですが、
それもきっとその感覚を体感してもらったうえで、公務員業務をして欲しかったからではないかな?
という想像も広がりました。

「チームくまモン」こと、「くまもとブランド推進課」が、
雑誌『日経ビジネス』の「奇蹟を起こす すごい組織100」の一つに選ばれた、
というのも納得できるほど、クリエイティブで、アクティブな、公務員の方々の奮闘記でした。

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