2013年10月25日金曜日

読書マラソン31/100『世界がもし100億人になったら』スティーブン・エモット

読破っ!!
『世界がもし100億人になったら』スティーブン・エモット(科学者、Microsoft リサーチ計算科学研究所所長)
発行:2013年8月 マガジンハウス
難易度:★☆☆☆☆
資料収集度:★★★★☆
理解度:★★☆☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:204ページ


【本のテーマ】
 地球の人口は増え続けている。科学者である著者が、今の深刻な現状と起こりうる問題、そして今後の未来について語る。


【キーワード】
人口増加、気候変動、土地問題、食料問題、水不足、仮想水(バーチャルウォーター)、エネルギー問題、緑の革命、メタン、ブラックカーボン、ティッピング・ポイント、気候難民、
 

【目次】
 
目次(長すぎるため)割愛
1.現状
2.起こりうる問題
3.今後できること
 
 
【概要】
1.現状
<人口増加>
1800年10億人、1930年20億人(産業革命)、1960年30億人(空港輸送量1000億人km)
1980年40億人(空港輸送量1兆人km)、1990年50億人(水不足顕在化)
2000年60億人(温暖化顕在化)、2012年70億人、2013年(空港輸送量6兆人km)
これまでの農業革命は計4回。
①1万3000年前動物の家畜化②13世紀農作物の品種改良③15世紀〜19世紀、機械化による生産性の革命④1950年「緑の革命」科学肥料などで生産システムを工業化
<気候を支える要素>
①大気圏②水圏③氷圏④生物圏
人口増加→水と食料の需要増える→①より多くの土地が必要→森林伐採→②食料の生産と輸送が増える→エネルギー需要を増加→気候変動→水と食料と土地への負荷が増す
<生態系問題>
2012年 全両生類の31%、全哺乳類の21%、全鳥類の13%が絶滅の危機
<食料問題>
食料需要のペースが人口増加のペースを上回る①より多くの人がより多く食べるようになった②食べるものの変化  肉③食べることの娯楽化
<水不足問題>
10億人以上が水不足。地球上で手にはいる水の70%は灌漑に使われている。帯水層(地下の水脈)からの水、補充のペースを上回る使用。仮想水バーチャルウォーター(物を作る過程で使用される水)の増加。
<エネルギー問題>
・ピークオイル(石油採掘量が最大に達する時点、これを超えると石油の取れる量が減少する)に達しているが、燃料が枯渇することはない。しかし、燃料を使い続け気候変動を起こすことが心配。
・メタンガス・・・北極圏の凍土からメタンが気化して放出される
・ブラックカーボン・・・石炭→煤が大量発生。呼吸器系の疾患や寿命の短縮。30億人が影響を受けている

2.今後、未来
<土地問題>
2050年までに地球の人口の7割が都市に住む。あと30億人の住む人の場所が必要になる
<食料問題>
①気候変動②土地の劣化と砂漠化③水ストレス。により、より困難になる。熱波の影響で作物減少、家畜死亡。近年起こったアラブの春発端のきっかけも熱波による食糧不足が要因。その3点に加えて、④化学肥料であるリン酸肥料の枯渇⑤病原体の出現が懸念される。
<水問題>
①水循環に変化がおこる②地下水の不足
<エネルギー問題>
エネルギー生産を少なくとも3倍に増やさなければならない
ティッピングポイント・・・小さな変化の限界点、超えると大きな変化をもたらす。
例)世界の平均気温が2℃上昇する
「気候難民」が生まれ、内戦や国際紛争がおこる

3.今後どうすべきか??
⑴科学の力で乗り切る
①グリーンエネルギー・・・需要を見たしきれない、作る過程で環境汚染、累積赤字的状況、人口光合成の可能性(著者の研究分野)②原子力③海水の淡水化・・・電力が必要、沿岸の生態系破壊④地球工学(ジオエンジニアリング)・・・地球規模の工学的対策、現実味がない。コストが莫大。⑤第二の緑の革命(人工光合成の研究など)
⑵自分たちの行動を変える
   国連の気候変動枠組条約、砂漠化対処条約、生物多様性条約・・・どれも目的を果たせず。2012年の国連・持続可能な開発会議(リオ+20)気候変動枠組条約 第18回締約国ドーハ会議(COP18)も弱気な規制。事業活動の外部性として目を逸らされ続けてきた生態系破壊コストのつけをいつか払わないといけない。
 
【感想】
人口増加の問題について考えることができる本でした。危機意識を煽るような書き方だなぁ。と思いましたが、実際に危機的で絶望的なのに、そのことに気づいていないのかな、とも思いました。
一番最後の締めくくりが、ある科学者の話で、子供のために今から何ができるか?という著者の問いに対して「銃の使い方を教える」と答えた話で終わっていて、絶望的でした。
 

日本は少子高齢化で今後人口は増え続けるどころか減ると思うのですが、世界規模で見ると人口は増え続けていく、という未来を想像しました。
 
エネルギーの使用量や、水の使用量、食糧の消費量など、昔と比べると比較にならないほど増え続けています。その分、何らかの科学技術で補っていくべきだし、補っていけるのではないか。となんとなく考えていたのですが、それってすごく人任せだな。と思いました。
もし、急に上にあげたうちのどれかが供給できなくなっても、何の文句も言えないな。と思いました。
僕が生きている間に、世界はどうなっていくのかな。と考えました。
 
自給自足の世界が到来すれば、エネルギーの枯渇におびえなくていいのに。と思います。
その具体的な方法はまだわかりません。自分的には、世界はこれから「エコ」の次は、「自給自足」に向かうと思っています。
 
「気候難民」という言葉が印象的でした。今後異常気象がどんどん進めば、本当にこの言葉が生まれ、そのせいでまた争いが生まれてくるのかな。と想像しました。

 

 
【評価・理解度】
統計的データと問題を訴えて来る写真が多く、文章も余白をたくさん使い、視覚的に訴えて来る本で、理解しやすかったです。ただ、分かりやすすぎたからこそ、危機感をあおってるだけなのじゃないか?という疑問も持ってしまいました。

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