読破っ!!
『インターネットが壊した「こころ」と「言葉」』森田幸孝(精神科医)
『インターネットが壊した「こころ」と「言葉」』森田幸孝(精神科医)
発行:2011年12月 はまの出版
難易度:★★★☆☆
資料収集度:★★★☆☆
難易度:★★★☆☆
資料収集度:★★★☆☆
理解度:★★☆☆☆
個人的評価:★★★☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:256ページ
【本のテーマ】
第八章では、失われた「言葉」を取り戻すには何が大切かについて述べていた。
コミュニケーションというものを再び見つめ直し、「聴く力」と「話す力」に分けて意識することが大切だと述べていた。言葉による共感の過程がコミュニケーションであるとし、その能力を養うために本をたくさん読むことが良い。と述べていた。書物は孤独の象徴であり、著者が何か月、何年もの時間をかけて一人の人間を体現化したものであるので、読書とは、その孤独を形成する一個の分子と向き合うことである。と述べていた。
インターネットは「化学肥料」のようなものであり、一見、効率的で合理的で素晴らしいと感じるが、
使い続けすぎると、「土地が枯れる」ように、簡単に苦手意識や不満感情を感じてしまうようになる。と述べていた。
携帯電話やインターネットの普及により、コミュニケーション技法が大きく変化した。
それが私たちの思考力と言語力の低下を導き、ひいては精神的衰弱を引き起こしている。
ネットが私たちの「こころ」にもたらした功罪を明らかにする。
【キーワード】
第三の波、言葉と精神、言葉の機能、SNS、精神の自殺、思考の単純化・極端化、著作権、copyleft、
【目次】
はじめに
第一章 いま、心と言葉が壊されている~精神医療の現場から見えてきたこと~
第二章 言葉の衰えが止まらない
第三章 インターネットの20年がもたらした功罪
第四章 メリット、デメリットを生み出すSNSのカラクリ
第五章 インターネットが劣化させたコミュニケーション
第六章 日常に入り込んだネットが知的財産を侵食している
第七章 精神医療の変化
第八章 壊された「こころ」と「言葉」は再生できるか
参考文献
【概要】
第一章では、精神医療に携わる著者が感じる、患者の特徴の変化について述べていた。
以前よりもより簡単なことがきっかけで悩んだりつまずき、それが雪だるま式に大きくなって心を押しつぶすまでになる。そして、そのような症状が、コミュニケーションがうまくとれない若い人に多くなってきている傾向がある。そこに、インターネットの登場が大きく関係しているのではないかと着目した。近年「不安」を感じる人が増えてきていること、職場や学校へのカウンセラーの設置、ネット上いじめの存在、児童虐待の増加、など問題の現状について述べ。最後に現代人は「待つ」ということに以前よりもストレスを感じやすくなった。と述べていた。
第二章では、「言葉」と「精神」の関連性について述べていた。
言葉を記憶し、理解するか、を脳科学、生物学、哲学、ロボット工学などの側面から述べていた。
言葉の持つ役割は、①「伝達機能」(自身の思考や感情を他者に伝える)②「分別機能」(物事の意味を区別していく)③「思考機能」(区別した物事の内容をさらに考えていく)の基本的な3つとし、
さらに4つ目の役割として④「照応機能」(一つの言葉がほかの言葉を連想させたり、想起させたりする)を述べていた。そして、この4番目の機能は、いまだ人工知能では再現しきれない。と述べていた。しかし、テクノロジーの進化により、言葉がそれほど重要な道具でなくなってしまった今、「言葉」≒「精神」≒「心」≒「人間関係」を失いつつある。と述べていた。
第三章では、インターネットの登場から普及までの歴史について述べていた。
インターネットはもとは軍事通信システムであった。その御学術用に使われ、商業用へと広まっていった。その普及は急激であり、約一万五千年前の第一の波「農業革命」(道具により農耕を可能とした)、18世紀の第二の波「産業革命」(機械により大量消費、大量生産を可能とした)に次ぐ、「第三の波・IT革命」である。と述べられていた。そのメリットとしては情報収集、物流促進、中間流通のコスト削減、人脈形成の形成に貢献し、より短時間で行うことができるようになった。デメリットとしては、情報の氾濫、情報管理、実名公表によるトラブルなどが挙げられていた。
第四章では、近年普及しているSNSのカラクリについて述べていた。
SNSのビジネスモデルは大きく4つに分けれられる。①EC収益モデル(ウェブ上販売)②仲介収益モデル(マッチングサービスによる手数料収入)③広告収入モデル④課金収入モデル。これらを組み合わせて利益を得ていると述べていた。しかし、そもそものSNSができた頃の目的は、利益ではなく、交流の場を増やすことを目的としていた。(facebookやmixiの歴史を参照)しかし、規模が大きくなるにつれ、当初の目的から外れ、収益を出すことが目的になってきている。と指摘していた。
第五章インターネットが具体的にどう影響を与えたのかについて述べていた。
より効率的に伝えるために、ウェブ上での文章はより短くなり、twitterなどのサービスが好まれるように、表現方法としての文字もより短くなってしまっている。また、それぞれの発言に対して、「好き」か「嫌い」かの判断をボタンひとつで簡単に表現できるようになったり、「ネットワークの意思」に流されたりすることで、思想がより単純で極端なものになりがちである。という危険性も指摘していた。このような無料のSNSサービスは、広告料などの収入利益を得るために利用者を増やしているが、その代償は、言葉を話さなくなるという「精神の自殺」だと述べていた。
第六章インターネットにおける「フリー化」という現象について述べていた。
インターネットの普及と共に、無料でサービスが提供されることが増えてきた。フリーを用いたビジネスの形には①直接的内部補助(無料商品で興味をひき他の購入につなげる)②三者間市場(コンテンツ、サービス、ソフトなどを無料配布し、サービス提供料を広告主の第三者に負担してもらう。③フリーミアム(無料ユーザーを有料ユーザーが支える)④非貨幣市場(趣味や慈善事業など)の4つのパターンがあると述べていた。そしてそのフリー化や著作権二次創作賛成の動き(copyrightに対してcopyleftと言う。)により、音楽業界や出版業界が大きな影響を受け、一流の記者やアーティストが生まれにくくなり、一流とは呼べないアマチュアブロガーやアーティストが増えた。と述べていた。
インターネットの普及と共に、無料でサービスが提供されることが増えてきた。フリーを用いたビジネスの形には①直接的内部補助(無料商品で興味をひき他の購入につなげる)②三者間市場(コンテンツ、サービス、ソフトなどを無料配布し、サービス提供料を広告主の第三者に負担してもらう。③フリーミアム(無料ユーザーを有料ユーザーが支える)④非貨幣市場(趣味や慈善事業など)の4つのパターンがあると述べていた。そしてそのフリー化や著作権二次創作賛成の動き(copyrightに対してcopyleftと言う。)により、音楽業界や出版業界が大きな影響を受け、一流の記者やアーティストが生まれにくくなり、一流とは呼べないアマチュアブロガーやアーティストが増えた。と述べていた。
第七章では、精神患者数が増加したこととインターネットの普及の関係について述べていた。
パソコンやインターネットが普及した時期と、精神科にかかる患者が増えだした時期が重なっていることから、インターネットの普及により、効率化し、物理的な仕事の量は減ったかもしれないが、そのぶん、さらに効率化を求められたり、絶えず「時間管理」を求められたり、ミスが許されなくなったり、より濃度の濃い仕事をいくつも並行して行わなければならず、精神的な負担量が増えたことが原因としてあげられる。と述べていた。精神科にかかる患者が増えた背景には①精神科にかかる敷居がさがったこと②精神疾患の概念の拡大(新たな疾患の出現)③向精神薬の発展④自殺者の増加(による政府や企業からの受診の働きかけ)⑤医療サイドの変化(不採算性により病院から切り離された)などの理由が存在しているとも述べていた。
パソコンやインターネットが普及した時期と、精神科にかかる患者が増えだした時期が重なっていることから、インターネットの普及により、効率化し、物理的な仕事の量は減ったかもしれないが、そのぶん、さらに効率化を求められたり、絶えず「時間管理」を求められたり、ミスが許されなくなったり、より濃度の濃い仕事をいくつも並行して行わなければならず、精神的な負担量が増えたことが原因としてあげられる。と述べていた。精神科にかかる患者が増えた背景には①精神科にかかる敷居がさがったこと②精神疾患の概念の拡大(新たな疾患の出現)③向精神薬の発展④自殺者の増加(による政府や企業からの受診の働きかけ)⑤医療サイドの変化(不採算性により病院から切り離された)などの理由が存在しているとも述べていた。
第八章では、失われた「言葉」を取り戻すには何が大切かについて述べていた。
コミュニケーションというものを再び見つめ直し、「聴く力」と「話す力」に分けて意識することが大切だと述べていた。言葉による共感の過程がコミュニケーションであるとし、その能力を養うために本をたくさん読むことが良い。と述べていた。書物は孤独の象徴であり、著者が何か月、何年もの時間をかけて一人の人間を体現化したものであるので、読書とは、その孤独を形成する一個の分子と向き合うことである。と述べていた。
インターネットは「化学肥料」のようなものであり、一見、効率的で合理的で素晴らしいと感じるが、
使い続けすぎると、「土地が枯れる」ように、簡単に苦手意識や不満感情を感じてしまうようになる。と述べていた。
【感想】
「言葉とは精神である。」という著者の言葉は深いと思いました。
どのような言葉に囲まれるかによって、自分の言葉選びも影響を受け、それがすなわち自分の精神のありかたにも影響する。と思いました。
そして、ネット上ではより短い言葉で表現することが好まれたり、文章にせずに「いいね!」だけで賛同を表現したり、シンプルになり、自分の考えについて多くを語る機会が奪われている。と言うことにも気づかされました。
技術発達により便利になればなるほど、些細なことに煩わしさを感じたり、便利さが機能しない時に不安感情を抱いたりし、それが現代の精神科患者増加につながっている。という話は的確であると感じました。そうなると、便利であることが豊かさと直結しているのか、疑問に思います。
言葉を使わなくなる≒精神を失う、というのは少し言い過ぎで、言葉にはしないけど頭の中で考えたり、言葉になる前の感覚は持っていたりするのではないかな。と思いました。
しかし、言葉にする機会があることで、その考えがよりはっきりとしたものになる。ということは確かにあると思うので、そういう意味では、言葉を使わない状態と言うのは、精神が不安定・不確実なものになっているのかもしれないと思いました。
「読書とは他者の孤独と向き合うことだ。」という話は共感できました。
特に新書は、著者の頭の中や心の中を文章にしているので、小説などのフィクションよりも、
その要素が強いと思いました。
インターネットを「化学肥料」に例えているのも分かりやすく、最近は少し分からないことがあるとすぐインターネットを使ってしまうので、いろいろなことを記憶しなくてもいいや。という姿勢があるので、的確だと思いました。インターネットに限らず、テクノロジーの多くは化学肥料だと思います。
電卓があるから暗算しなくなるし、パソコンがあるから漢字を書かなくなって忘れてしまうし、
「土地が枯れる」という表現にはっとさせられました。
けど、たとえ「土地が枯れ」たとしてもテクノロジーが無くならない前提で、そこからとれる作物が
無害で栄養があるのならば、それは問題ないのではないかな。とも思いました。ただ、今の自分から「化学肥料=テクノロジー」を取り上げたら、ほんとに悲惨なことになるな。と気づかされました。
【評価・理解度】
統計データの資料もいくつか使いつつ、精神医療の現状を述べ、インターネットとの関連性について述べていた。直接的に結び付けるのではなく、側面としてインターネットの闇の部分を考えさせられる本だと思いました。
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