『ぼく、ドラえもんでした。』大山のぶ代(声優)
発行:20011年8月
難易度:★☆☆☆☆
発行:20011年8月
難易度:★☆☆☆☆
個人的評価:★★★★☆
理解度:★★★★★
ページ数:301ページ
ページ数:301ページ
【本のテーマ】
26年間、レギュラーメンバーと一緒に「ドラえもん」の声を演じ続けた大山のぶ代氏が、ドラえもんとの出会いから、声優交代までの思い出と、「ドラえもん」とどのように向き合ってきたかを綴った本。
26年間、レギュラーメンバーと一緒に「ドラえもん」の声を演じ続けた大山のぶ代氏が、ドラえもんとの出会いから、声優交代までの思い出と、「ドラえもん」とどのように向き合ってきたかを綴った本。
【キーワード】
あの子(ドラえもん)、やさしさモワモワ(藤子・F・不二夫氏を表現した言葉)、パイプ、
「みんな同じ」、種を蒔く、受け継いでいく、国民的アイドル、日本人の心、美しい日本語
【目次】
まえがき
第1章 運命の出会い
第2章 テレビ「ドラえもん」スタート!
第3章 『のび太の恐竜』公開!
第4章 映画ドラえもん時代・1~怒涛のドラ波
第5章 藤本先生の思い出
第6章 映画ドラえもん時代・2~先生の蒔いた種
第7章 ありがとう、ドラえもん
第8章 伝えていきたいこと
あとがき
【概要】
第1章では、大山のぶ代氏がドラえもんの声優に決まったころのエピソードが書かれていた。
初めの頃は、きちんとしたスタジオではなく、地下室の一室で行っていた。
漫画の世界観やキャラクターの設定をしっかり吟味し、言葉遣いに気を付けて演じてたエピソードや、初めて藤本先生(藤子・F・不二夫の本名)が録音を見に来られた際のエピソードが書かれていた。(藤本氏が録音の様子を見られた後に、のぶ代氏が「私、あれでいいんでしょうか・・・」と聞いた際に、「ドラえもんって、ああいう声だったんですねぇ」と答えた。)
第2章では、ドラえもんが公開され、大人気になる過程が描かれていた。
高視聴率をとれたこと、イベントに引っ張りだこになり、そこで子供たちに喜んでもらったエピソードなどが描かれていた。
第3章では、ドラえもんの初めての映画が公開され、さらに人気が高まる過程が描かれていた。
映画では、全編一気に録音するため、声の維持が大変であった、本編上映の際に、子供が2階席で身を乗り出していたので、ドラえもんの声で注意を促したエピソード、ゴールデンディスクを受賞した、等のエピソードがつづられていた。大山のぶ代氏が、自身の意志で、「ドラえもん」以外の声のみの出演を断り続けてきた。という話が印象的だった。
第4章では、映画の上映までの裏側のエピソードについて述べられていた。
製作現場で生まれた専門用語や苦労話について綴られていた。
その中でも、大山のぶ代氏が、サイン会の際に来た車いすに乗った少年と母親を特別扱いせず、「みんな同じ」と言って、他の子供たちと同じように扱い、その後のその少年の生き方に影響を与えた。というエピソードが印象的だった。
第5章では、ドラえもんの生みの親である藤本氏とのエピソードが綴られていた。
ドラコン会、ドラ旅、など「ドラえもん」と関わった人々との定期的な交流会についてのエピソードや、
藤本氏が亡くなって、各声優さんたちが悲しんだり、受け入れたりするエピソードが描かれていた。
第6章では、藤本氏亡き後の、ドラえもんの活躍について描かれていた。
藤本氏が生前に残した脚本をもとに、映画を作り続けたエピソードや、映画に登場するゲストとのやりとりのエピソードが書かれていた。また、小学館の「クリーンドラキャンペーン」(1988年~2003年)により、エコなエネルギーを使う乗り物「ドラバルくん」、「ソラえもん号」、「ドラりん丸」、「バルえもん」、「ドラ・で・カイト」について述べられていた。また、世界でドラえもんが愛されていたエピソードや、「アジア太平洋こども会議」や「紅白歌合戦」などのNHKの番組に出演した際のエピソードが綴られていた。
第7章では、大山のぶ代氏が病気で入院し、引退を考えるエピソードが書かれていた。
手術をする際、ドラえもんが背中を押してくれたエピソード、手術中のお見舞いのエピソード、引退を考えるエピソードなどが綴られていた。退院後、「ドラえもん」の声を続けていく途中で病気になることが、「ドラえもん」を汚してしまうと考えるようになり引退を考えた、というエピソードが印象深かった。
第8章では、大山のぶ代氏自身の学生時代について綴られていた。
声に対して強いコンプレックスがあったが、母親の助言により、声を活かした生活を模索し、声優にたどり着いた。というエピソードが述べられていた。(母の助言:「そこが弱いと思って、弱いからといってかばってばかりいたら、ますます弱くなっちゃうのよ。弱いと思ったら、そこをどんどん使いなさい。」)また、4世代・13人家族という家庭で育ったことが、「正しく」生きる、という生き方を育み、それを「ドラえもん」を通して子供たちに伝える「パイプ」になりたい。という思いで声優をしていた。と述べていた。「ドラえもん」のレギュラーメンバーは、「悪い言葉を使わない」という約束をし、ジャイアンが「コノヤロー!」を連発していたのを、「のび太のくせに~!」に変えた、というエピソードが素敵だった。
【感想】
小さい頃からなじみ深いドラえもんの声の人の書いた本。どんなことを書くのだろう。と思い読んでみました。その中には、感慨深い、優しさにあふれたエピソードがたくさんありました。
全章を通して、大山のぶ代さんの人生の中にはいつもドラえもんがいて、いい経験をするたびに、「大山さん、またいい勉強をしたんでしょ?うふふふ」というドラえもんの声が心の中に響いた。というように綴られており、また、手術を受けるのをためらっていた際にもドラえもんの声で、背中を押してくれた。等のエピソードがあり、大山さんの中に、いつも「ドラえもん」が存在していて、それは大山さんの別人格、等ではなく、26年間付き添い続けたからこそ、「ドラえもん」の性格を知り尽くしているからこそ出てきた空想、ファンタジーなのだと思いました。自分の声であるはずの「ドラえもん」が、自分の意思とは違うところで自分に声をかけている。という不思議な感覚を想像することができました。
ドラえもんが人気になるにしたがって、子供への影響力が計り知れないほど大きくなりました。それをきちんと、しっかりと背負うことができたのは、大山さんの育ってきた環境や、性格に大きな原因があったのだと思いました。
声優が変わってから大山さんが彼らのことをどう思っているのか、最近は「ダンガンロンパ」というアニメで別のキャラクター(かなりダークな役)の声を演じていること。そのことについてもどう思っているのか、いろいろとお話を聞いてみたくなる、魅力的な方だと思いました。
【評価・理解度】
読みやすい文章で、様々なエピソードを綴ってありました。ドラえもん世代にとっては、裏話を知れる興味深い本であり、時々出て来るドラえもんを中心としたキャラクターたちの声の脳内再生が半端ない本です。笑
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