『ランドマーク』吉田修一(作家)
発行:2007年7月 講談社文庫
難易度:★★☆☆☆
感動度:★★☆☆☆
共感度:★★★☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:221ページ
【本の紹介】(裏表紙より抜粋)
大宮の地にそびえたつ地上35階建ての超高層ビル。
それはフロアがねじれながら、巨大な螺旋を描くという、特異な構造をもっていた。
設計士・犬飼と鉄筋工・隼人、ふたりの毎日もビルが投影したかのように不安定になり、
ついにゆがんだ日常は臨界点を超える。圧巻の構想力と、並外れた筆力で描く傑作長編。
【感想】
良かった点
主人公が設計士と鉄筋工という、管理者と現場で働く人という対照的な登場人物を、
一つの建物の建設という共通点を持ちながら、
ザッピングストーリー的に入れ替わり・交互に出てきた点。
泥臭い、労働環境的にそんなによくない隼人の生活と、
設計士としてグローバルな感じで働いている犬飼の生活が、
対照的で比較することでより一層際立った。
二人それぞれの女性との恋愛関係の描写がよかった。
隼人は中華料理店で働く女性と、犬飼は年が一回りも違う大学生女性。
隼人の方はお互い飾らない関係だけど、なかなか結婚とまではいかない感じの恋愛、
犬飼の方は妻がいながらも愛人としての関係。
犬飼と不倫してる大学生女子の後ろめたさを感じている発言や行動が良いと思った。
あと、舞台が大宮っていうのが初めてで、
何回か行ったことあるので、小説の舞台になるっていうのが不思議な感じだった。
悪かった点、
最後があっさりしすぎていた。そして、釈然としなかった。
終わりかけで、展開がいい方向に進むと見せかけて、
最後の最後に事件が起こって、それまで順調に進んでいた状況が
いろいろ変わるなぁ。って思ったところで話が終わってしまった。
そのもやもや感が、多分物語を通して出てくる犬飼と隼人達が建設中の
「らせん状にねじれを持った不安定な高層ビル」に重ねているのだということなんだろうけど、
そうとわかっていても、なんだか釈然としない。
ラストは釈然としなかったけど、
吉田修一の本には、実在するものがたくさん登場して、
興味を持ってそこからネットで調べたりして、
そうやって世界が広がるところが好きです。
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