2015年6月14日日曜日

136/200 『間接自慢する若者たち』原田曜平(博報堂ブランドデザイン)


読破っ!!
間接自慢する若者たち』
原田曜平(博報堂ブランドデザイン)
発行:2015年4月 角川書店

難易度:★☆☆☆
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:175ページ


【本のテーマ】(表紙帯より抜粋)
若者の消費のツボがわかる34のキーワード!
マイルドヤンキー、さとり世代の次に流行るのは何?

【目次】
第一章 SNSでリア充アピールする若者たち
第二章 SNSで流行るネタ消費
第三章 SNSで絆をなめ合う若者たち
第四章 SNSでイタイと思われたくない若者たち
第五章 SNSから逃げ出したい若者たち
第六章 SNS世代の潜在需要を引き出せ

枡アナvs若者座談会

【感想】
博報堂ブランドデザインの原田さんの、
新書ではなく、ZIP番組スタッフとの共著。

内容に関してと、本の構成に関して、思うことを少しずつ。

まず、内容に関して。
最近の若者がどのようにSNSと関わっているか、
そのアプリ等の概要と使われ方について写真と共に説明されていた。
SNS上では、いかに自分が「リア充」的に過ごしているか
アピールする場となっている側面があり、
そこでは、いかに「写真映えするか」また、「直接的な自慢になっていないか」が
投稿する際に大きな関心となっている。ということが述べられていた。
(「写真映えするか」は藤本耕平氏著の『つくし世代』では「フォトジェニック」
という言葉で表現されていた。)

SNSを通したコミュニケーションというものは良い面、悪い面の両方あるし、
一概に全て悪いとは思わないけれども、
写真映えする、とっつきやすい投稿の方が「いいね!」もコメントもしやすいし、
複雑な長文を投稿するのは気が引ける。
けど、実際のリアルな生活って、そんなに単純なものではないと思う。
ブルーハーツが歌ってたけど、
「写真には写らない 美しさ」っていうのがあると思う。
そんなリアルな日常はどうしたってFacebookにもtwitterにもあげることはできない。
けれども、やっぱりネット上では、「分かりやすくて覚えやすい」エピソードが
みんなにシェアされ、「いいね!」される。のだと再認識した。

そういう点で、「複雑だけど辛抱強く見ていくと、少しずつ理解できていくもの」が、
SNS上ではどんどん切り捨てられていくような印象を受けた。
FacebookやTwitterなどのアピールを目的としたSNSにはまりすぎると、
思考や感受性がより「インスタント」なもの、
よく言えば直感的、悪く言えば短絡的なものになり、
一度インスタントな感性からはじき出された、
複雑で理解しにくいエピソードは、ブロックし、シャットアウトしてしまい、
自分の感性に心地よい刺激を与えてくれるものだけを残すようになってしまう。
そんな危険性があると感じた。

そんな中、この本でいちばん斬新で衝撃的だったのは、
次のトレンドとして「匿名SNS」という概念を紹介していたことだった。
これまでは、友達の枠の中でのSNSがメインであったが、
そこではアピールがメインになり、なかなか本音を出しにくいというデメリットがあり、
それを補うように今後は「匿名SNS」が流行るのではないか。と予想していた。

この予想に関しては、実際は匿名SNSとしての役割は「2ちゃんねる」が
果たしていたとも考えられるが、
「2ちゃんねる」の世界観は「ネタ」的であり、匿名であることをいいことに、
誹謗中傷が飛び交う事が多々あり、コミュニケーションという側面に障害をきたしていた。
だから、「他人と本音のコミュニケーションをする」ということをメインテーマとした
匿名SNSというニーズがあり、実際にそのコミュニケーションを目的としたアプリがある、
ということは衝撃的で、自分も早速アプリをダウンロードして使ってみた。
(RUMORというアプリで、すでにZIPでも紹介されたとのことでした。)
今のところ、2ちゃんねるとtwitterの間的な感じですが、
今後ユーザーが増えるのか、どのように使われるのか。気になるところです。

ただ、懸念点としては、
今twitterでも問題視されている、個人情報の「晒し」行為が、
匿名でされる可能性があるな。と感じました。
一番簡単に起こりうるのは、「芸能人見た!」とかのつぶやきを
その匿名SNSでするとか。(twitterだとユーザー特定・凍結されてしまうので。)

とか、若者の文化の現在と未来を考察するのはやっぱり楽しくて、
書き出したら止まらないから、これくらいにしておきます。


本に関して。
原田さんはこれまで「新書」という形態で、もう少し堅い感じで書いていた。
それが今回の著書では、ZIPとの共著ということで、
より受け入れられやすいような、キャッチ―でポップな構成になっていた。
前ページに枠の背景が印刷がしてあり、写真も比較的多かったし、
文字の大きさも新書にしては大きく、ページ数は新書にしては少なかった。

それを沢山の人に読まれやすい、として評価できるけど、
その分ちょっと内容が浅くなってしまった。という評価もできる。

自分としては、社会人になってあんまり難しい本が読めなくなってきたので、
シンプルで分かりやすいのは嬉しいけど、より深く考察したいと考える人にとっては、
少し物足りない内容だったかもしれない。と感じました。

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