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2015年5月18日月曜日
132/200 『木暮荘物語』三浦しをん(作家)
『木暮荘物語』三浦しをん(作家)
発行:2003年6月 文春文庫
難易度:★★☆☆☆
感動度:★★★★☆
共感度:★★★★☆
個人的評価:★★★★☆
ページ数:304ページ
【本の紹介】(Amazonより抜粋)
小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩五分、
築ウン十年、全六室のぼろアパート木暮荘。
そこでは老大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎に花屋の店員繭の四人が、
平穏な日々を送っていた。
だが、一旦愛を求めた時、それぞれが抱える懊悩が痛烈な悲しみとなって滲み出す。
それを和らげ癒すのは、安普請ゆえに繋がりはじめる隣人たちのぬくもりだった……。
【目次】
もう売ってしまったため割愛。
【感想】
木暮荘というボロアパートに暮らす人々の日常と小さなつながりを、
毎章異なる人の目線から描いた短編小説でした。
どの登場人物もどこか変わっている性格や嗜好の持ち主であり、
それぞれが違う悩みを抱きながらも生きていく姿には、憎めない愛らしさがあり、
また、そんな人たちが、お互いの胸の内を吐露するわけでもなく、
「好き」でも「嫌い」でもない、はっきりしないふわふわした感情で
繋がっている感じが、すごいいいなぁ。と思いました。
どの短編にも、「性・恋愛」というテーマが紛れ込んでいて、
時には「不倫」とか、「覗き」とか、生々しすぎて気持ち悪く感じてしまう行為もありましたが、
けど、人間ってそういう一面もあるよなぁ。とも思える本でした。
第一話目は、彼氏と暮らしてる女性の元に海外を放浪していた元彼が突然転がり込んで来て、
戸惑いながらも、元彼が他に行く当てがないということで、しばらくの間三人で暮らす。
という物語でしたが、
元彼の人柄のおかげか、現彼氏は元彼を追い出そうとせず、
なんだかんだで仲良くなってしまう。
という不思議な三人の関係が奇妙で、だけど、なんだか温かくて、
恋人・元恋人、という関係を超えた繋がりを感じさせられました。
女子高校生・光子は、この物語の中で大事な役割を担っているのですが、
行動や言動はギャルっぽいのに、根は優しくて、
死ぬ前にヤりたいという願望と葛藤していた家主のじいさんの話し相手になったり、
女子高生・光子の部屋をのぞき続けていたサラリーマンのことも許して、
時々のぞき穴を通して話をしたり、
ある日急に同級生が持ってきた、できちゃった赤ん坊を数日間預かったり。
なんだかんだで人との交流を拒まず受け入れていて、
光子のそんな人間性だけがちょっと浮世離れしていて、
行動や言動は普通っぽく描かれているのに、
現実味がないかもしれない。と思いました。
でも、彼女には特殊な事情があったから、
むしろ自分から精一杯普通っぽく見せようとしていたのかもしれない。
、、、という風にも捉えられる、奥の深いキャラでした。
まとめると、この光子という女子高生の存在は
ちょっとフィクション・ファンタジーがかっていましたが、
その点を考慮しても、一言では表せない人間関係がたくさん描かれており、
そんな人達の物語がうまく絡まり合う、
一冊の本として、まとまりのある、読むと心があったかくなる一冊でした。
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