2015年4月18日土曜日

130/200 『つくし世代』藤本耕平(マーケッター)


読破っ!!
つくし世代』
藤本耕平(マーケッター)
発行:2014年12月 宝島社
難易度:★☆☆
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:238ページ



【本のテーマ】
あの商品はなぜ売れた?あの広告はなぜ成功した?
芽生えつつある新しいマインド、行動と消費の原理。
若者たちの「今」、そして「さとり」の次までが分かる。


【目次】
序論 さとっているだけじゃない今時の若者は何を考えている?
第一章 チョイスする価値観――世間の常識より「自分ものさし」
第二章 つながり願望――支え合いが当たり前じゃないからつながりたい
第三章 ケチ美学――「消費しない」ことで高まることで高まる満足感
第四章 ノット・ハングリー ――失われた三つの飢餓感
第五章 せつな主義 ――不確かな将来より今の充実
第六章 新世代の「友達」感覚 ――リムる、ファボる、クラスター分けする
第七章 なぜシェアするのか?――「はずさないコーデ」と「サプライズ」
第八章 誰もが「ぬるオタ」―ー妄想するリア充たち
第九章 コスパ至上主義――若者たちを動かす「誰トク」精神
第十章 つくし世代――自分ひとりではなく「誰かのために」
終章 若者たちはなぜ松岡修造が好きなのか

【感想】
「女子力男子」と合わせて読むことで、「ゆとり」「さとり」、そしてその先の若者について
理解を深められる本でした。

1992年というのが大きな転換期としてとりあげられていました。
①共働き家庭の割合が専業主婦家庭の割合を追い越した年
「個性」を重視したいわゆる「ゆとり教育」に向け、学習指導要領が改訂された年
③いわゆるITネイティブとして育った子供たちが中学校に上がり始めた年
④バブルが崩壊した年

そんな背景、環境の中で育ってきた子供たちを、
これまでメディア等では「ゆとり」「さとり」と言う言葉で表現してきましたが、
その言葉だけでは表現しきれない側面があり、それが「つくし」であると述べていた。

ハングリー精神が無く、より合理的な、コスパを重視する。
等の特徴は、「さとり」と重複するところがありますが、
本書では特に「つながり欲求」が高い、というところに焦点を当てていました。
コスパや合理性を追求する反面、「つながり」を感じられるようなモノ・コトに関しては、
お金や手間を惜しまない。
そこには、そうでもしないと「つながり」を感じにくくなっている現代の人間関係が
根底に存在しているからではないか。と述べていました。

また、「フォトジェニック」という言葉が印象的で、
SNSやTwitterにあげる写真がいかに写真映えするか。
その要素を含んだイベントやモノが若者から人気を得る。
そこにも、その根本にあるのは「つながり欲求」であると述べていました。
(例:エレクトリックラン・カラーラン・フローズン生)

しかし、「つくし世代」は、「つながり」を大切にする一方で、一人の時間も大切にしたがる。
そのため、「一人カラオケ」に始まり、「一人焼肉」・「ぼっち席」などの
これまでは表面化してこなかった需要が一般化してきている。

また、「つくし世代」は「ぬるオタ」要素がある、と指摘しており、
著者の調べ(アンケート)によると、10代(206名)の8割が自分は何らかの「オタク」要素がある
と答えていた。またこの「趣味のつながり」が、これまでのカテゴリー分けの壁を乗り越えることを可能にすると述べ、「秋葉系」と「渋谷系」という、これまで別々のカテゴリー分けされていたものが、
「アキシブ系」というカテゴリーとなったり、様々なカテゴリーとオタク要素が融合し始めている。

これらの特徴を踏まえたうえで、彼ら「つくし世代」を効果的に取り込む
マーケティング戦略として、
「ブランド・価値観の押しつけ」ではなく、
「いじられ上手」な素材・話題を提供する事である。と述べていた。

従来のように大々的にテレビCMとして放送するのではなく、
話題やネタになりやすいPRや動画をSNSを通して拡散する。
そのことで、お互いにその動画をシェアしていくことで、
彼らに「いじりやすい」話題を提供しつつ商品のPRや宣伝を行う。

【感想】
若者についての本を読むと、文章化された「若者の価値観」を読んで、
「そうそう!」という共感を得られる部分と、
「え、こんなこともするの?」と、一部ついていけない、
自分より若い人たちの価値観に気付かされ、
また、「そもそも、もっと上の世代の人の目には、この価値観が新鮮なものに映っているのか。
じゃあ、上の人たちの価値観ってどんなものなんだろう??」
という3つのことを考える。

世代に関する著書はそうやって、自分の考え方や価値観、
そして、その価値観が生まれた背景について考えさせられるから、
自分を見つめ直すことができる興味深いジャンルだと思います。

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