『格闘する者に○』
三浦しをん(作家)
発行:2005年3月 新潮社
難易度:★★☆☆☆
感動度:★★★☆☆
共感度:★★★☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:279ページ
【本の紹介】(裏表紙より抜粋)
これからどうやって生きていこう?
マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる苛酷な就職戦線。
漫画大好き→漫画雑誌の編集者になれたら・・・・・。
いざ、活動を始めてみると、思いもよらぬ世間の荒波が次々と襲いかかってくる。
連戦連敗、いまだ内定ゼロ。呑気な友人たち、ワケありの家族、
年の離れた書道家との恋。格闘する青春の日々を妄想力全開で描く、
才気あふれる小説デビュー作。
マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる苛酷な就職戦線。
漫画大好き→漫画雑誌の編集者になれたら・・・・・。
いざ、活動を始めてみると、思いもよらぬ世間の荒波が次々と襲いかかってくる。
連戦連敗、いまだ内定ゼロ。呑気な友人たち、ワケありの家族、
年の離れた書道家との恋。格闘する青春の日々を妄想力全開で描く、
才気あふれる小説デビュー作。
【目次】
第一章 志望
第二章 応募
第三章 協議
第四章 筆記
第五章 面接
第六章 進路
第七章 合否
解説 重松清
【感想】
三浦しをんのデビュー作品。
当初の三浦しをんさんの作風には女性作家っぽさがある物語構成・文章構成だと感じました。
しかし、登場人物のキャラの濃さ、人間味はこの頃から健在していて、
登場人物それぞれに立場があり、悩みがあり、夢がある、と感じました。
ネタバレになりますが、
最終的に就職が決まらないまま物語が終わってしまう、というところも、
ありがちなハッピーエンドで終わらせてしまわないところがいいと思いました。
結果的に見るとうまくいっていない。かもしれませんが、
それでも主人公の可南子が、「自分を信じて生きる」と言っていたり、
中国に旅立つ、恋人である書道家のおじいさんのことを愛し続け、
別れを心から惜しむ。など、
可南子が自分の不甲斐なさを実感しながらも、前向きで、強く生きている姿が
たくましくて印象的でした。
また、物語の中で、周りの登場人物に起こる出来事やそれに伴う心情の動きは、
読んでいてついていきやすいものでした。
また、就職活動の流れについても、
出版社という世界の理想と現実がシニカルに描かれていて
可南子の毒舌による痛烈な批判が痛快でした。
また、就職活動の流れについても、
出版社という世界の理想と現実がシニカルに描かれていて
可南子の毒舌による痛烈な批判が痛快でした。
解説の重松清さんのコメントも印象的で、
作中に主人公加奈子が、『海流の中の島々byヘミングウェイ』の感想を、
「人の孤独について書かれた本」である、と述べているように、
この本も同様に「人の孤独について書かれた本」である。と述べていました。
それがどういうことか、最初分からなかったのですが、
三浦しをんさんの作品に出てくる登場人物は、
それぞれ特徴的な性格や、嗜好や悩みを抱えていて、
それぞれの悩みに向き合いながら生きていこうとしている姿が、
「孤独と向き合う」ということになるのだと思います。
まとめると、人間味あふれる三浦しをんさんの作風の原点を感じられる作品でした。
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