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2014年10月5日日曜日
117/200 『ヤンキー経済』原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所)
『ヤンキー経済~消費の主役・新保守層の正体~』
原田曜平(博報堂ブランドデザイン若者研究所)
発行:2014年1月 幻冬舎新書
難易度:★★☆☆☆
資料収集度:★★★★☆
理解度:★★★★☆
個人的評価:★★★★☆
ページ数:220ページ
【本のテーマ】(裏表紙より抜粋)
「若者がモノを買わない」時代、唯一旺盛な消費欲を示しているのがヤンキー層だ。
だが、ヤンキーとは言っても鉄パイプ片手に暴れ回る不良文化は今は昔、
現在の主流は、ファッションも精神もマイルドな新ヤンキーだ。
本書では密着取材とヒアリング調査により、「悪羅悪羅系残存ヤンキー」「ダラダラ系地元族」に分化した現代のマイルドヤンキー像を徹底解明。
「給料が上がっても絶対地元を離れたくない」家を建てて初めて一人前」
「スポーツカーより仲間と乗れるミニバンが最高」など、
今後の経済を担う層の消費動向がわかる一冊。
【目次】
序章 マイルド化するヤンキー
第一章 地元から絶対に離れたくない若者たち~マイルドヤンキー密着調査~
第二章 マイルドヤンキーの成立
第一部 ヤンキーの変遷
第二部 マイルドヤンキーの立ち位置
第三章 ヤンキー135人徹底調査
第四章 これからの消費の主役に何を売るのか
【感想】
ZIPのレギューラーメンバーとしても活躍されている原田さん。
ZIPで見る前から著作を読み、僕の尊敬するマーケティングライターの一人でした。
以前読んだ原田さんの著書「さとり世代」には網羅されていない範囲の若者についての、
実態調査をもとにした随筆で、たいへん興味深かったです。
「ヤンキー」と言われる人間像の時代の移り変わりに伴う変化。
「リーゼント・暴力・ガツガツ」等のイメージから、「オシャレ・仲間意識・地元」というイメージを
含んだ人間像に変わりつつある。そんな現状が伝わってきました。
そんな新種のヤンキーを「マイルド・ヤンキー」と命名し、
彼らからすると、一昔前の「ヤンキー」はもはや「ファンタジー」でしかない。というのが、
とても興味深い発言でした。
バブルがはじけるまでは、右肩上がりの成長社会で、
親世代よりもより「良いものを」手にするために必死になったり、見栄を張ったり、
また、そんな金の亡者化とした親世代に反発心を抱いていたかつてのヤンキーと対照的に、
失われた10年を経て、好景気を経験したことのない、
新ヤンキーは、「現状維持」だけでも十分大変なことであると感覚的に理解し、
多くを求めず、新たな世界に積極的に飛び込むこともなく、
自分のしっている世界の中で、その日常を大切にしたいと考えている。
それはかつての日本の「ムラ社会」と通じるものがあるのではないか。
という主張も、別の著書、「新ムラ社会」と共通するところがあり、
論述にブレがないな。と思いました。
原田さんの著書を読むと、自分の価値観を見つめ直させられます。
なぜなら、バブルを経験した大人たちが、自分たちの感覚で
若者たちに物を申し、価値観を押し付けてきた時、
自分の中では、何かが違う、と違和感を感じながら、
でもそれをうまく言葉にして主張できないと感じることがあるからです。
わかりやすい例で言うと、「ガツガツしろ」とか、「今時の男子は草食系だ・・・」とか。
高度成長の時代を経て、成熟社会と呼ばれるようになった今、
必要な人生観は、「現状維持に満足」することなのではないでしょうか。
かつての価値観を引きずったまま、「気合」や「根性」だけで、
緩やかな経済上昇をかつてのように押しあげさせようとするのは、
無理があるのではないでしょうか。
あとがきに書かれた、ベネチアのゴンドラ漕ぎの青年の話がとても印象に残りました。
観光者向けのゴンドラを漕ぐ仕事を三代前からしている青年。
幼い著者がその青年にそんなちっぽけな人生に満足なのかと、
父を通して英語で聞いてもらったところ、
「祖父と父と同じ仕事ができて、すごく幸せだ」という答えが返ってきた。
著者が推測するに、ヨーロッパはもともと階級社会である上に、
その頃にはすでにヨーロッパ全体が低成長期にはいっており、
「現状維持」に満足できる価値観をその青年が持っていたのではないか。
現代の日本の若者もその青年と同様に、
「日本という成熟社会の中でいかにして幸せに生きていくのか」という問いについて、
しっかりと向き合わなければならないのではないでしょうか。
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