2015年1月24日土曜日

126/200 『女子力男子』原田曜平(博報堂ブランドデザイン)


読破っ!!
女子力男子』
原田曜平(博報堂ブランドデザイン)
発行:2014年12月 宝島社
難易度:★☆☆
資料収集度:★
理解度:★
個人的評価:★★
ページ数:238ページ



【本のテーマ】
新消費者『女子力男子』の思考を徹底調査!
・「速水もこみち」「羽生結弦」「織田信成」も女子力男子?
・信用できる情報源は「女友達」と「お母さん」?
・硬派もマッチョもダサい?!若者のカッコイイ意識とは?
・女子力男子に響く 新商品・サービスのアイデアの芽


【目次】
序論 「男子は女子より元気がない」説は本当か
第一章 違和感だらけ?女子力男子の実態
第二章 「若者の消費離れ」、読み解くカギは女子力男子にあり
第三章 女子力男子はなぜ急増したのか
第四章 日本で世界で男子の女子化はとまらない
第五章 リアル女子力男子81人大解剖
第六章 女子力男子に響く新商品・サービスのアイデアの芽
第七章 リアルな思考丸わかり!女子力男子座談会

【感想】
「マイルド・ヤンキー」、「さとり世代」などの表現を生み出してきた原田氏の新刊。
かつての「男性像」というものが変わりつつあり、
「男性の女性化」というと、なよなよした感じをイメージされがちですが、
そうではなく、前向きな意味として、「女子力」を持つ男性が増えている。
という感じの主張が伝わってきました。
女子になりたいわけではない、あくまで男子として女子のような
「美しさ」や「優しさ」に憧れる。
かつての「男らしさ」に、「女らしさ」を取り入れた。
そんな新しい「男性像」を感じ取ることができました。
しかし、「女子力男子」があくまで「男子」なのであって、
「男性」というある一定の年齢以上の男性像を意味しないという点では、
「女子力男子」が数年後、さらに大人になった際に、
どういう言葉で、どういう風にカテゴライズされていくのか、ということを考えました。
女子力男子の中でさらに四つの領域にカテゴライズされていたのも、
とても興味深かったです。その中のいくつの「女子力男子」が、
さらに歳を重ねても同じ生き方をキープできるのでしょうか。

「今時の男はなっとらん!男はこうでないと!」みたいな、かつての「男性像」を持っている
年上の世代の人に是非読んでもらいたいです。

そして、数十年後、様々なかつての「女子力男子」が、生きて行きやすい
世の中であることを願っています。

125/200 『となり町戦争』三崎亜記(作家)


読破っ!!
『となり町戦争』三崎亜記(作家)
発行:2006年12月 集英社文庫
難易度:★
感動度:★★
共感度:★★
個人的評価:★★
ページ数:272ページ




【本の紹介】(裏表紙より抜粋)
ある日、突然にとなり町との戦争が始まった。だが、銃声も聞こえず、
目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。
それでも、町の広報誌に発表される戦死者数は静かに増え続ける。
そんな戦争に現実感を抱けずにいた「僕」に、町役場から一通の任命書が届いた・・・・・・。
見えない戦争を描き、第17回小説すばる新人賞を受賞した傑作。
文庫版だけの特別書下ろしサイドストーリーを収録。


【目次】
第一章 となり町との戦争がはじまる
第二章 偵察業務
第三章 分室での業務
第四章 査察
第五章 戦争の終わり
終章
別章

【感想】
すっきりしない本でした。
まず、読み初めに、このストーリーの舞台であったり、時代設定であったり、
そういう背景がよく分からないままに進んでいきました。

そしてストーリーが進んでいくと、主人公がその戦争に少しずつ巻き込まれていく
様子が描かれているのですが、
となりまちとの戦争が密かに行われているとはいえ、
戦死者数も出ているのに、銃声ひとつ聞こえないって、
どういう戦い方してるんだ?
っていう素朴な疑問が出てきました。

主人公の付き人みたいな感じの人が出てきたり、
主人公を危機から救うために人が死んだり。
というか、そもそもなんで主人公が諜報員?的な奴に選ばれたのか、
他にも選ばれた人がいなかったのか?とか、
なんだかすごく主人公を中心にストーリーが回ってる感があって、
色んな点において、ちょっと中二病感が漂う物語でした。

けど、実感がわかないところで戦争が起こっている、ということや、
自分が無関係だと思っていることが、戦争に関係しているかもしれない、
というテーマが描かれているのは伝わってきました。

所々に役所に提出する戦争関連の書類がそのまま書かれていて、
戦争という非現実的なものと、役所の書類という味気のない現実的なものが
まじりあっているというのが、不思議な感じでした。

2015年1月2日金曜日

124/200 『未来いそっぷ』星新一(作家)


読破っ!!
『未来いそっぷ』星新一(作家)
発行:2001年9月 新潮文庫
難易度:★
感動度:★★
共感度:★★
個人的評価:★★
ページ数:272ページ




【本の紹介】(表紙帯より抜粋)
<アリとキリギリス><ウサギとカメ>など、誰でもごぞんじの寓話の世界。
語り継がれてきた寓話も、星新一の手にかかると、ビックリ驚く大革命。
時代が変われば話も変わるとはいえ、
古典的な物語をこんなふうに改作してしまっていいものかどうか、
ちょっぴり気になりますが――。
 表題作など、愉しい笑いと痛烈な風刺で別世界へご案内するショート・ショート33篇。


【目次】
いそっぷ村の繁栄
シンデレラ姫の幸福な人生、表と裏、頭の大きなロボット、
底なしの沼、ある商品、無罪の薬、新しがりや、
余暇の芸術、おカバさま、利口なオウム、怪しい症状、いい上役、
電話連絡、やさしい人柄、つなわたり、オフィスの妖精、健康な犬、
熱中、別れの夢、少年と両親、ねらった金庫、価値検査器、企業内の聖人、
夢の時代、ある夜の物語、旅行の準備、どっちにしても、不在の日、
奇病、ふしぎなネコ、やはり、たそがれ
【感想】
いそっぷ村の繁栄では、有名な寓話に新たな解釈を加えていた。
分かりやすい文章で、短い文章でありながら、
どの短編も奇想天外なストーリーであり、星さんの才能を感じました。

印象的な中でも特に印象的だった話が2つ。

少年と両親
反抗的な少年と、言いなりになる両親、
よくある反抗期のシーンと思いきや、
最後の真実には驚きました。
両親が子供を甘やかしていた理由もすっきりしました。

不在の日
この話は短編小説の中でも異色を放っていました。
何しろ「作者が不在の小説」という世界観。
ショートショートの中では少し長く、
どこに着地するのかと不安定な感じがした後の最後のオチは、
「なるほど」と思わせられる哲学的なものでした。

今回「未来いそっぷ」ということもあり、未来的なSFが多かったです。
、、、星さんの作品は毎回割とSFが多かった気もしますが。

星新一さんのショートショートの魅力は、
おっ!と思わせられる「オチ」があることと、

随所に哲学的な教訓をさりげなく取り入れているところだと思います。

123/200 『男女1100人の「キズナ系親孝行、始めました。」』牛窪恵(マーケティングライター)


読破っ!!
『男女1100人の「キズナ系親孝行、始めました。」』
牛窪恵(マーケティングライター)
発行:2012年8月 河出書房新社
難易度:★☆☆
資料収集度:★☆☆
理解度:★☆☆
個人的評価:★★
ページ数:228ページ


【本のテーマ】(Amazonの商品紹介文より抜粋)
親孝行に“いつか"はない!
震災後、そう気づいた20~40代の男女たち。
本書では、彼ら1100人への大規模なアンケート調査とインタビューを通じ、
平成のいまに相応しい「キズナ系親孝行」のヒント100件以上を、
親子の感動ストーリーとともに紹介します。
お金や時間がなくてもすぐ実践できる、平成親子の“つながり"術が満載。
二世代、三世代向けビジネスを模索する、企業担当者も必見です。

【目次】
第一章 親孝行の理想と現実
第二章 趣味と親孝行
第三章 旅と親孝行
第四章 暮らしと親孝行
第五章 同居と親孝行
第六章 就活と親孝行

【感想】
かつての「結婚して子供を産み、家を買ってあげる」というような親孝行の理想像は、
もはや過去の物であって、団塊世代は子供達に自由に生きてほしいと願っている人が
以前よりも増えている。それよりも、親孝行のハードルを下げ、
親子間のキズナを実感できるような、
小さな日々の中での親孝行の方が現実的であり、
その小さな親孝行の例を実際の例を基にレポートしていた。

社会人になってからも「実家にいること」は、
物理的に自立していない、たまに甘えてしまうという点で「親不孝である」面がある一方、
親の手伝いをしたり、親に関心を持つことができるという点では「親孝行である」面がある。
しかし、「甘える」ことで、親の親心を満足させてあげている、
というちょっと複雑な親孝行も存在していると報告していた。
(子どものちょっとした外出でも車で送りたがる親と、それに付き合う子どものエピソード等)

また、親の趣味に関するプレゼントは、
親に関心があるということを伝え、また、第二の人生的な趣味を応援している、
ということが伝わりやすいので、親孝行としては適している。
しかし、親の方が詳しいことがあり、失敗すると「もったいない」と言われるリスクもある。

親に贈る旅行に関しては、バリアフリーであることが重要だと述べていた。
あとは、母娘二人旅行が増えてきていること、新婚旅行に親を連れて行くケースもあるなどの
エピソードが語られていた。

親孝行阻害要素としての「三大ない」
「お金がない」「時間がない」「ぎこちない」
その3つをいかにクリアし、自然な形で親孝行をするかがポイントである。

家のリフォーム等に関しても、「親の老い」を理由にするのは嫌がられるケースが多いので、
ペットや兄弟などの別の理由を用意したほうが親に受け入れてもらいやすい。
終活に関しても、「エンディングノート」というものが話題にあがっていたが、
もう少し説明がほしいところだった。

牛窪さんの本は、さらっと読めてしまい、インタビューをまとめたものなので、
データとして記憶に残るというよりも、こういうケースもあるんだなぁ。という程度に留まる。
けれども、読み終わってからも、「あれってどういうものなんだろう」って好奇心をくすぐられ、
そこから先は自分で調べていく、みたいな感じで、
知的好奇心のきっかけをくれる、情報をくれる著者だと思います。