『ビジネスで活かす電通「鬼十則」仕事に誇りと自信を持つ』
柴田昭彦(コンサルタント)
発行:2011年3月 朝日新書
難易度:★★☆☆☆
資料収集度:★★★☆☆
理解度:★★★☆☆
個人的評価:★★★☆☆
ページ数:207ページ
【本のテーマ】(表紙そでより抜粋)
未曾有の広告不況にも強さを見せる電通。第四代社長・吉田秀雄が半世紀以上前に創った
社訓「鬼十則」の教えは、今も古びない。
辣腕をふるった元電通マンが、自らの仕事に十則をどう実践してきたか。
あなたのビジネスに直結する「十則」活用術。
未曾有の広告不況にも強さを見せる電通。第四代社長・吉田秀雄が半世紀以上前に創った
社訓「鬼十則」の教えは、今も古びない。
辣腕をふるった元電通マンが、自らの仕事に十則をどう実践してきたか。
あなたのビジネスに直結する「十則」活用術。
【目次】
鬼十則第一条 仕事は自ら「創る」べきで、与えられるべきでない。
鬼十則第二条 仕事とは、先手先手と「働き掛け」て行くことで、受身でやるものではない。
鬼十則第三条 「大きな仕事」と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
鬼十則第四条 「難しい仕事」を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
鬼十則第五条 取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、目的完遂までは・・・・・・。
鬼十則第六条 周囲を「引きずり回せ」、引きずるのと引きずられるのとでは、
永い間に天地のひらきができる。
鬼十則第七条 「計画」を持て、長期の計画を持っていれば、
忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
鬼十則第八条 「自信」を持て、自信がないから君の仕事には、
迫力も粘りも、そして厚みすらながない。
鬼十則第九条 頭は常に「全回転」、八方に気を配って、一部の隙もあってはならぬ、
サービスとはそのようなものだ。
鬼十則第十条 「摩擦を怖れるな」、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
【感想】
熱かった!!電通は体育会系だとは聞いていたけれども、
この「鬼十則」はその内容も熱く、そして、
この著者の方が、それぞれの条を細かく自分なりに真摯に捉えようとしていている
その姿勢が熱かったです。
「熱い」、と言っても、「むさくるしい熱さ」、「勢い任せの熱さ」ではなく、
本や著名人の言葉を所々に引用しながらの、「知的な」熱さがあり、読んでいるだけで、
刺激ややる気をもらいました。
半世紀以上前に作られた、ということもあり、
鬼十則第五条の取り組んだら「放すな」、殺されても放すな、なんていうのは、
少し過激にも思われ、「昭和の香り」がするところもありますが、
その点を除けば、現代にも十分重宝される考え方であると思いました。
特に印象に残ったのは、第八条と第九条でした。
鬼十則第八条 「自信」を持て、自信がないから君の仕事には、
迫力も粘りも、そして厚みすらながない。
「自信を持つ」ということの難しさ。他者からの評価によるものではなく、自分を自分で裁く。
その一方で、「傲慢」になってしまってもよくないので、「自信」と「謙虚さ」を共立させる。
その二つの存在は矛盾するものではない。ということが書かれていて。
それが自分の高校の時の担任が言っていたことともろ被りしていたので、驚きました。
鬼十則第九条 頭は常に「全回転」、八方に気を配って、一部の隙もあってはならぬ、
サービスとはそのようなものだ。
第九条では、常に気を配る。ことの大切さを思い出させてくれます。
これは、サービス業だけに特化した話ではなく、日々の仕事の上でも、
小さな気遣いというのが積み重なって、お客様への「サービス」になると思うので、
妥協を許してしまわないようにしなければ。と気が引き締まりました。
また、著者が日本人の「空気」の感覚について、山本七平の「空気の研究」を引用しており、
自分の卒論研究の内容と被っていて驚きました。
著者も、日本人には「空気」による影響を受けやすいところがあると批判していました。
「自己啓発系本」としては、読みやすく、
引用も多く、説得力のある、エネルギッシュな本であると思いました。
また、「鬼十則」それ自身も、深みのある、捉え方によっては様々な解釈ができる
教訓であると思いました。
社会人経験をまた数年経てから読み直すと、意味が違ってより深く感じられるのではないかな。
と思いました。