発行:2012年11月 PHP文庫
難易度:★★☆☆☆
感動度:★★★★☆
共感度:★★★★☆
個人的評価:★★★★☆
ページ数:210ページ
【本の紹介】(裏表紙より抜粋)
個性、持ち味を大切にすれば、悩み、迷いがなくなる。
無駄はない、「見切る」ことができるか、力を借りる、忘れること、客観的に見ること、
キャンセル待ちをする、思い通りにならない自分を楽しむ
【目次】
第一章 直感は、磨くことができる
第二章 無理をしない
第三章 囚われない
第四章 力を借りる
第五章 直感と情報
第六章 あきらめること、あきらめないこと
第七章 自然体の強さ
第八章 変えるもの、変えられないもの
【感想】
プロの将棋棋士である羽生さんが、人生を通して学んだ教訓がたくさん書かれていました。
一章の中の節ごとの文章が短いので、短い時間でも細切れに読める本でした。
しかし、ところどころハッとさせられる言葉が書かれていて。深いなぁ。と思いました。
いくつか深いなと思った言葉(概要)を紹介させていただきます。
自分なりの理解でまとめているので、本文とは少し違うかもしれませんので、気になる方は自分で読んでみてください!
モチベーションとは天気のようなものだ、しかし、モチベーションが上がらなくても、そんな中で必死に頑張ることが大切だ。
本来、将棋の世界では師は弟子に簡単に答えを教えない。もがき苦しみ、悩む弟子を師は暖かく見守る。そして、悩んだ末に答えを出すことが、弟子の成長に繋がり、そうして掴んだものは、簡単に答えを与えられてしまうよりも、長い間記憶の中で消えないからだ。逆に簡単に答えを教えてしまう、ということは、親切な事のように見えて、実はそうでないことがある。
将棋の世界に限らず、弟子は最終的には自分の力だけで生きていくという覚悟が必要だ。
そのためには、簡単に答えを得るのではなく、ベストではなくても、自分の納得のいく、自分らしい選択をすることが必要である。
ミスをしたときには、それまでの予定が狂ってしまい、焦り混乱しミスを取り戻そうとしたりして、さらなるミスをしてしまうことが多い。そんな時は、一息ついて、「自分は今、この盤面をもし「初めて」見たとしたら、自分はどんな手を打つか」と考えるのが良い。それまでの連続した局面を忘れ、新たな気持ちで落ち着いて局面に向き合うことで、さらなる失敗をしなくてすむ。
将棋とは基本的に自己否定のゲームである。現在の局面には否定的、しかし、全体としては楽観的。そのような態度で挑んでいる。人生においても、将来に否定的にならず、現状を楽観視しない姿勢が大切である。
将棋の世界も日々刻一刻と変化し続けている。棋士もそれに合わせて変化しないと、古くなり、淘汰されてしまう。しかし、かと言って、「急激な改革」をしたとしても、それはそれで失敗することが多い。少しずつ、長い時間をかけて、方向性を見失わないまま変化していくのが望ましい。
想像力と創造力について。想像力とは、過去から現在までの現状を分析し、そこから少し未来のことを想像する力。創造力とは、その想像した未来を実現するために具体的に行動に移すこと。その二つのサイクルを繰り返し続けることが大切である。
日本文化は、「水面下」を読むことを伝統的文化としている。短歌も俳句も、茶道も、将棋も、長い時間をかけて「よりコンパクトに」なり、現在の姿となった。そしてその「コンパクトさ」の中に、当事者がおかれた時間や世界観を読み取り、それを「追体験」することが日本文化の神髄であるといえる。現代における半導体技術の躍進、コンビニ文化の発達、Twitterなどにも、そこに共通する日本の精神が隠れている。
羽生さんが将来を思い描くとき、「こうなりたい」と思い描いていたものと違うものになることを理想としている。思い通りになると面白みがない。アクシデントや偶然や運、ツキなどによって変化する自分の周りの環境に対して、納得しながら変化する自分を楽しみたい。と述べていた。